ラット肝の門脈枝結紮を行い, 結紮葉と非結紮葉の糖質代謝律速酵素活性の変動を検討し次の結果を得た. 1) 結紮葉では肝に特異なG6Pase, FDPase, GKの活性低下, 逆に肝に非特異なHK, G6PDH, PK-M
2, の活性増加が見られ, 非結紮葉でも結紮葉ほど著明ではないが, G6Pase, GK, PK-L, の活性低下とHK, G6PDH, PK-M
2の活性増加が見られた. 2) 結紮葉でのG6Pase, FDPase, GKの活性低下はs-GPTの正常化した術後7日以降も持続し, 壊死又は壊死後の再生による変化というよりも, 門脈血欠乏による肝細胞の萎縮に伴う変化の為と考えられた. 3) これら酵素活性の変化は, 肝の固有機能の抑制と, 非特異的形質発現による適応現象と考えられた.
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