日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
75 巻, 7 号
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  • 京 明雄, 岡本 英三, 桑田 圭司, 菅原 一郎, 朱 明儀, 連 利博, 中尾 宣夫
    1978 年 75 巻 7 号 p. 973-979
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    食道静脈瘤に対し経皮経門脈造影法を利用し, 食道静脈瘤への副血行路を遮断すべく胃冠状静脈, 短胃静脈群の血栓性栓塞を惹起せしめ, その効果を臨床的, レ線的, 内視鏡的に検討した.
    本法は合併症もなく安全に施行し得たが, 経験し5例中2例に栓塞静脈の再開通を認めた. その効果は食道上中部では軽度であつたが, 食道下部, 噴門部で顕著であり, 最長12カ月の follow up でも食道静脈瘤の増悪傾向は認められなかつた.
    本法は, 術後栓塞静脈の再開通が見られる場合があるが, 手術不能な高度肝障害例あるいは緊急手術を回避する手段として有用であると考えられた.
  • 林 哲明, 関根 毅, 山崎 匡, 斉藤 洋一
    1978 年 75 巻 7 号 p. 980-989
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    犬に Heidenhain pouch を作成し, 膵管結紮を行なつた後, とくに膵酵素投与時と非投与時の食餌刺激による胃酸分泌, 血清ガストリン値, 血清グルカゴン値, 血清インスリン値の変動について検討した.
    食餌刺激による酸分泌量は膵管結紮後1週より増加を示し, 4週で peak に達したのち, 漸減する傾向を示した. しかし, 2週以降では膵酵素投与時の酸分泌量は非投与時のそれに比して有意に抑制された(P<0.02). 血清ガストリン値は2週より上昇を示し, 以後6週まで上昇する傾向がみられ, 膵酵素投与の影響は認められなかつた. 血清グルカゴン値は膵管結紮後1週より上昇し, 膵酵素投与時では非投与時に比して有意に高値を示した(P<0.02). 血清インスリン値は膵管結紮後2週以降では低値を示した. IVGTTでは膵管結紮後, 耐糖能の明らかな低下がみられた. また, 膵管結紮後8週では膵は著明に硬化萎縮し, 胃には多発性びらんがみられたが, 潰瘍形成は認められなかつた. 以上の成績から, 膵機能障害時の胃酸分泌亢進には, 幽門洞のガストリンのほかに, 膵グルカゴン, 胃分泌抑制ホルモン (GIP) などが複雑に関与していることが推定された.
  • 石井 裕正, 神谷 知至, 小田 義英, 奥野 府夫, 高木 敏, 相磯 貞和, 吉沢 守, 土屋 雅春
    1978 年 75 巻 7 号 p. 990-996
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    膵グルカゴンの消化管運動抑制作用を応用して低緊張性十二指腸造影法を試みた. 25例の消化器疾患患者に対して空腹時に十二指腸ゾンデを挿入後, グルカゴンを1mg筋肉注射し, 5分後にさらに同量を静注し十二指腸造影を施行した. 対照として16例の消化器疾患患者に Scopolamine butylbromide (Scop. b.b.) 20mgをグルカゴンと同じ方法で投与した. 両薬剤の効果を低緊張性と低運動性の両面から比較検討したがグルカゴンは Scop. b.b. に優るとも劣らぬ効果を示し, 副作用の出現もグルカゴン群では有意に低率であつた. 以上よりグルカゴンは, 低緊張性十二指腸造影に使用して有効であり, 今後の応用が期待される.
  • 浦上 慶仁, 北村 嘉男, 伊東 進, 木村 倍士, 竹内 一彰, 岸 清一郎
    1978 年 75 巻 7 号 p. 997-1003
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    傍乳頭部総胆管十二指腸瘻に対する内視鏡的瘻孔切開術 (endoscopic fistulotomy) の意義について報告した. 十二指腸乳頭開口部より総胆管に乳頭切開用メス (papillotome) を挿入し, 高周波電流を用いて乳頭開口部から瘻孔までの切開を行う. この手技により総胆管末端部は大きく開放されるため, 本症に合併する総胆管遺残結石の自然排泄やバスケットカテーテルなどの処置具による結石除去が容易となる. 本法を7症例に施行し, うち総胆管結石を合併する6症例では, 全例安全に結石の除去が可能であつた. 本法は非観血的治療法であり, 患者に与える侵襲もきわめて軽いため, 特に高齢者や high risk 例において有効な治療法と考えられる.
  • 呼吸活性の検討
    林 紀夫, 佐藤 信紘, 松村 高勝, 鎌田 武信, 阿部 裕
    1978 年 75 巻 7 号 p. 1004-1010
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    アルコール投与時の小腸吸収障害の一因としての, 小腸粘膜エネルギー代謝を検討した. 急性エタノール投与では, ラット小腸粘膜の呼吸障害は認められなかつたが, 慢性エタノール投与では著明なコハク酸を基質とした呼吸障害が認められ, 慢性エタノール投与による小腸粘膜ミトコンドリア障害が示唆された. しかし, 肝臓と異なり小腸粘膜ミトコンドリアのチトクローム量とその比率には変化は認められなかつた. この成績は慢性のアルコール多飲者の小腸吸収障害に, 小腸粘膜エネルギー代謝障害が関与することを示唆するものである.
  • 佐藤 英司
    1978 年 75 巻 7 号 p. 1011-1022
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    各種肝疾患の肝組織内HBs抗原の局在につき, アルデハイド•フクシン染色法を用い検討し, 以下の結論をえた. (1) 陽性頻度は asymptomatic HBsAg carriers (77%), 肝硬変 (70%), 肝癌を伴う肝硬変 (79%) で高く, 急性肝炎 (35%), 亜急性肝炎 (17%) では低かつた. (2) 肝組織内HBs抗原陽性肝細胞の多寡では, 多いものは asymptomatic HBsAg carriers や肝硬変にみられ, 急性肝炎, 慢性肝炎, 亜急性肝炎では少ないものが多数例であつた. (3) 肝細胞質内局在では, 細胞質び漫型, 細胞質周辺型, 細胞質内封入体型が多く, 細胞膜型は asymptomatic HBsAg carriers と肝硬変に少数みられた. (4) 肝小葉内分布では, 周辺帯,中間帯に多く, 中心帯のみにみられるものはなかつた.
  • 第1編 慢性活動性肝疾患における肝細胞膜抗原に対する白血球遊走阻止試験の検索成績とHB抗原感染との関係
    竹内 孝男, 佐野 萬瑳寿, 伊藤 憲一
    1978 年 75 巻 7 号 p. 1023-1030
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ルポイド肝炎8例を含む慢性活動性肝疾患50例, 慢性非活動性肝疾患31例等につき Meyer の肝細胞膜抗原を添加抗原としLMTを実施し, HB抗原感染と肝細胞膜抗原に対する細胞性免疫成立との関係を検討した. 活動性肝疾患ではLMTの陽性率は59.5%であり, 陽性例の81.2%はHB抗原感染の既往を有した. 非活動性肝疾患でのLMT陽性率は29.0%であつたが, 陽性例の75.0%はHB抗原感染の既往を有していた.従つてHB抗原感染と肝細胞膜抗原に対する細胞性免疫の成立とは深い関係を有することが示唆された. しかしルポイド肝炎ではHB抗原感染の既往と関係なく, 症例の87.5%に肝細胞膜抗原に対し細胞性免疫が成立しており, 特異な疾患と考えられた.
  • 第2編 原発性胆汁性肝硬変症における胆管上皮抗原に対する白血球遊走阻止試験
    竹内 孝男, 佐野 萬瑳寿, 伊藤 憲一
    1978 年 75 巻 7 号 p. 1031-1036
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    PBC 9例, 各種の胆汁うつ滞症34例, 活動性慢性肝炎23例を対象とし, ヒト胆汁中より得た胆管上皮抗原及び肝細胞膜抗原を添加抗原としてLMTを実施した. PBCでは胆管上皮抗原に対するLMTは全例陽性を示し, 肝内胆汁うつ滞症, 肝外性閉塞性黄疸, 活動性慢性肝炎では夫々36.0%, 25.0%, 43.5%がLMT陽性を示した. しかしPBC以外の胆汁うつ滞症の症例では黄疸の消失と共にLMTは陰性化した. またPBCでは50.0%において肝細胞膜抗原に対するLMTが陽性であつた. 以上の成績から, PBCにおいては胆管上皮抗原に対する細胞性免疫の成立が, 成因的に重要であり, かつ活動性慢性肝炎との間に細胞性免疫の上でかなりの overlap があるとの結論を得た.
  • 山田 尚, 溝口 靖紘, 針原 重義, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 森沢 成司
    1978 年 75 巻 7 号 p. 1037-1047
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    アルコール多飲疾患53例について, 微量全血培養法によりエタノール添加によるリンパ球幼若化を検討し, 19例にリンパ球幼若化に伴うDNA合成促進を認めた. なおこの際, リンパ球幼若化現象を形態学的に確認し, またマクロフアージ遊走阻止因子が産生されることを認めた. アルコール多飲疾患患者の末梢血リンパ球培養法において, 自己血清を除くとリンパ球の幼若化はエタノールによつて誘導されないが, 肝ミクロゾーム分画の添加と同時にエタノールを加えると, リンパ球の幼若化が認められた. 以上の結果より, 長期アルコール多飲肝障害者では, エタノールおよび肝細胞成分による免疫学的感作状態が成立する可能性が示唆された.
  • 水溶性造影剤の検討を中心に
    吉本 信次郎, 近藤 健爾, 左近 賢人, 疋田 邦彦, 平井 健清, 栗田 清, 別府 真琴, 村井 紳浩, 谷口 積三, 安井 浩一, ...
    1978 年 75 巻 7 号 p. 1048-1053
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    我々は, 膵疾患の形態診断法として内視鏡的膵実質造影法を行つているが, 今回水溶性造影剤としてSodium & Meglumine Diatrizoate と Sodium Iothalamte とを本法に用い, それらおのおのによる膵実質造影成績を比較検討した. Na塩剤である Sodium Iothalamte を用いた場合には約92%に良好な膵実質造影像が得られ, 一方 Sodium & Meglumine Diatrizoate を用いた場合には33%に良好な膵実質造影像が得られた.
    Na塩剤は mathylglucamine 塩剤に比し, 膵管の透過性を亢進させる作用が強く, 本法に適した退影剤と言えた. 本法を行つた93症例で特別な合併症の経験はなかつた. 造影剤注入時に腹痛を訴えた例があつたが,腹痛は一過性であつた. 血清アミラーゼ値の上昇は約60%に認めたが, 臨床的に急性膵炎を惹起したと思われる症例はなかつた.
  • 今村 和之, 平井 義修, 松永 研一, 赤司 文廣, 七種 靱彦, 藤岡 利生, 中村 憲章, 森 厳, 神崎 清, 加藤 泰孝, 牧山 ...
    1978 年 75 巻 7 号 p. 1054-1061
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    昭和50年4月から昭和52年3月までに5例の macroamylasemia を経験し, このものについての免疫生化学的な検討を行つた. amylase isozyme pattern では全例 post β位に broad band の pattern を示し, column chromatography では19Sと7S間に amylase 活性の peak がみられた. また免疫グロブリンの抗血清を用いた検索では, このものは全例IgAと結合していた. 5例中4例は sephadex G100 superfine を用いた薄層 gel chromatography によるルーチン検査で見出され, この検査法は非常に有意義なものと考えられた. さらに amylase との結合を解離した患者蛋白分画 (IgA) は正常ヒト amylase と結合した. この事からmacroamylasemia の成因に免疫グロブリン側の異常が関係している事が考えられた.
  • シアール酸結合型マクロアミラセミアと思われる1症例をふくむ
    富士 匡, 河村 奨, 清水 道彦, 有山 重美, 東 光生, 前谷 昇, 中村 克衛, 竹本 忠良, 原田 善雄, 阿美古 秀美, 岩武 ...
    1978 年 75 巻 7 号 p. 1062-1068
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    われわれは膵疾患を疑診される全症例に血清アミラーゼアイソザイムの検出を施行している. 今回は高アミラーゼ血症の意義について解明を試みた.
    その結果, 29例の高アミラーゼ血症中, 26例 (93%) にアイソザイム上に何らかの異常所見がえられた. また慢性膵炎確診群においては, 血清アミラーゼ値が正常にとどまるものが多く, アイソザイムの検索により診断が向上することが判明した.
    特筆すべきことは, 29例の高アミラーゼ血症のうちに2例の macroamylasemia がふくまれていたことである. 1例はIgAとの結合型であつたが, 他の1例はシアール酸結合型と考えられるケースと思われたので症例を呈示した.
  • 仙波 大右
    1978 年 75 巻 7 号 p. 1069-1079
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    膵外分泌の内分泌, 特に insulin 分泌に及ぼす影響について in vivo, in vitro の検討を行つた. 膵管結紮直後の門脈血中への insulin 分泌量は対照犬のそれよりも多く, 又膵液の膵管内注入後の門脈血中 insulin分泌反応は, 生食水注入後のそれよりも明らかな亢進を示した. 次いで単層培養した膵島細胞に及ぼす膵液の影響を検討した. glucose を含む medium 中に膵液5,10Vol%を加えて島細胞を2時間 incubation した.incubation 後の medium 中の insulin 含量は, glucose 単独時のそれよりも有意の増加を示した. 以上より,膵管腺房系から組織間隙へ逸脱した膵液は, 生理的, 病態生理的に insulin 分泌に何等かの影響を及ぼしている可能性が示唆された.
  • 13年間 (1963年~1975年) における国立がんセンター剖検例について 第1編 頻度•病理学的事項および病因
    吉森 正喜, 中村 耕三, 尾崎 秀雄
    1978 年 75 巻 7 号 p. 1080-1089
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    膵悪性腫瘍の頻度, 病理学的事項, および病因を検討した. 1963年から1975年までに剖検された膵悪性腫瘍は80例で剖検総数の2.15%であつた. 80例の内訳は外分泌腺由来の癌78例, その他2例であつた. 腫瘍の占居部位は, 頭部50.0%, 体尾部41.3%, 全体が5.0% (残り3.8%は不明) であつた. 大きさの平均は頭部癌4.6cm, 体尾部癌7.7cm, 全体癌12.3cmであつた. 転移は肝, 肺, 腹膜などに多かつた. 患者の男女比は1.8:1, 男女ともに60歳代に最も多かつた. 家族歴に悪性腫瘍のあるもの21.3%, 既往歴に膵炎, 胆石, 糖尿病のあるものはそれぞれ0%, 3.8%, 12.5%であつた. 飲酒は48.7%, 喫煙は62%にみられた.
  • 清水 一彦, 島田 宜浩, 湯本 泰弘
    1978 年 75 巻 7 号 p. 1090-1094
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 奥野 府夫, 鈴木 康夫, 相機 貞和, 朝倉 均, 石井 裕正, 土屋 雅春
    1978 年 75 巻 7 号 p. 1095-1099
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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