最近10年間の胆石症697例を結石存在部位と黄疸の有無から区分し, 術前の黄疸が手術成績, 予後に及ぼす影響を検討した.
胆石症には高度黄疸のものは少ないが, 黄疸例では肝機能異常, 胆汁培養陽性, 胆嚢病変高度, 肝組織所見でも炎症性病変をみるものが多い. 術後黄疸はほとんどが急速に消退し, 黄疸例が無黄疸例に比して成績不良とはいえない. 手術成績不良例は胆管結石例に頻度が高い (13.8%). 手術死亡は高年者, 胆管結石例, 急性炎症手術例に高率であつて, 黄疸の程度には相応しない. しかし黄疸が高度なものほど局所変化, 肝病変が強い傾向がある. 黄疸発現の原因となる胆道の局所病変, 手術時期, 年令が手術成績に影響する.
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