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原口 靖昭, 坂本 惇夫, 比嘉 昭彦, 坂本 英典, 大門 佳弘, 吉田 隆亮, 田仲 謙次郎
1988 年 85 巻 1 号 p.
1-5
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
GRPは胃組織内では神経組織に存在し, ガストリン, 胃酸の分泌を刺激する事が知られている.今回, 水素ガスクリアランス法を用いて麻酔下ラットの胃組織内血流を測定し, GRPが血流を減少させる事を示した. さらに, その作用はアトロピンで抑制されず, GRPはコリン作動性ニューロンを介さず作用している事が示唆された.
各種ストレス潰瘍では胃組織血流の減少が知られているので, ストレス潰瘍のモデルである水浸拘束ラットを用いて, 急性潰瘍と胃組織内GRP量の変化を経時的に検討した. 胃底腺領域及び幽門腺領域のGRP濃度は水浸拘束後, 2時間より増加して4-6時間後にピークを示しており, 潰瘍形成が6時間目より著増している事との関連が示唆され, 潰瘍発生の要因である可能性が考えられた.
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内視鏡所見との対比
高升 正彦, 布施 好信, 佐藤 達之, 西田 博, 時田 和彦, 辰巳 嘉英, 川本 克久, 藤野 博也, 辻 秀治, 光藤 章二, 古谷 ...
1988 年 85 巻 1 号 p.
6-13
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
十二指腸球部の内視鏡所見を正常およびびらん, 発赤, 結節, 粗〓, 顆粒, 血管透見に細分し, 生検材料 (一部切除標本) の得られた88例について, Whitehead の十二指腸炎の組織学的 Grade 分類に基づき, 内視鏡所見と対比検討した. その結果, びらん, 発赤, 結節, 粗〓を呈するものが間質の細胞浸潤, 絨毛の扁平, 短縮化, 上皮の欠損, 胃型上皮の出現など十二指腸炎としての組織学的所見が高度であつた. このことより, 十二指腸炎の内視鏡診断にあたつては, これら4型に分類するのが妥当と考えられた. また結節型では絨毛上皮の変化に加え切除標本の検索にて Brunner 腺が肥厚している所見が観察された. 一方, 顆粒型の本態はリンパ濾胞の増生によるものと考えられ, 血管透見型は切除標本の検索で Brunner 腺の菲薄化がみられ, いずれも十二指腸炎としての所見は軽度であつた. 十二指腸炎,とくにびらん型では陰窩欠損部においてその深部に存在する Brunner 腺が再生上皮に連続している所見が観察され, びらんの修復に Brunner 腺も関与している可能性が示唆された.
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鈴木 宏, 佐田 通夫, 矢野 洋一, 鴨井 三朗, 池田 英雄, 佐々木 英, 豊永 純, 安倍 弘彦, 谷川 久一
1988 年 85 巻 1 号 p.
14-19
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
炎症性腸疾患 (IBD) であるクローン病 (CD), 潰瘍性大腸炎 (UC) 患者血清中の2-5oiligoadenylate Synthetase (2-5AS) 活性, 及びCDにおけるナチュラルキラー活性 (NK活性) を測定した. さらにCD患者へのインターフェロン (IFN) 投与の試みを行ない以下の結果を得た. 1) 血清中の2-5AS活性は, CDでは活動期において, 正常群に比し活性が有意に上昇しており, 緩解期には正常化することが示された. 2) UCでも活動期には上昇していたが, その程度はCDより低く, 緩解期にはむしろ正常以下に低下する傾向がみられた. 3) CDにおけるNK活性は, 活動期に低下し, 緩解期に正常化していた. 4) Sulfasalazine 投与が有効でなかつたCDの症例に, IFNを投与して症状及び検査所見の著明な改善がみられた.
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中尾 昌弘, 山田 英明, 小野 時雄, 黒木 哲夫, 小林 絢三, 山本 祐夫, 門奈 丈之
1988 年 85 巻 1 号 p.
20-27
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
HBワクチンを用いた能動免疫を医療従事者80名に施行した. その結果, 3回のワクチン接種後4週目では73例中51例 (69.9%) にHBs抗体陽性となつた.
ワクチン接種後3年目の時点で, HBs抗体陽転例27例中5例(18.5%)でHBs抗体が再び陰性となり, このHBs抗体再陰性化例5例全例とも, 3回のワクチン接種後のHBs抗体価50以下 (RIA) の症例であつた.
これらの成績より, ワクチン接種後のHBs抗体価の動き, さらに, ワクチンの追加接種の時期の目安に, ワクチン接種後4週目のHBs抗体価が役に立つことがわかつた.
ワクチン追加接種の時期については, HBs抗体価が50以上を示した高力価群では, 少なくとも3年間は追加接種の必要性はないと考えられる.
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加藤 俊之, 野浪 敏明, 笠井 保志, 原田 明生, 中尾 昭公, 高木 弘
1988 年 85 巻 1 号 p.
28-34
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝硬変症127例を対象として, 全身血行動態および酸素需給動態を検討し, 肝硬変症における hyperdynamic systemic circulation の意義について酸素需給面から考察した. その結果, 肝障害が軽度な症例では酸素需給異常は軽度であつた. 肝障害が高度でかつ hyperdynamic な症例では, 全身の酸素需給は hyperdynamic systemic circulation によつて代償され, 酸素消費量が維持されていた. 一方, 肝障害が高度でかつ normodynamic な症例では酸素消費量が減少し, 全身の酸素需給の代償不全に陥る傾向を認めた. 以上より, 肝硬変症における hyperdynamic systemic circulation は全身の酸素需給の維持に代償的な意義を有すると考えられた.
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伴 信之, 森安 史典, 玉田 尚, 川崎 俊彦, 宋 泰成, 中村 武史, 西田 修, 内野 治人
1988 年 85 巻 1 号 p.
35-41
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
家兎において, 門脈•肝動脈同時結紮及び解除による肝の虚血時及び血流再開時のエネルギー代謝の変化を, in vivo でP-31磁気共鳴スペクトロスコピーによつて検討した. スペクトロスコピーは, 静磁場強度2.0テスラの全身用MRI装置を用い, 開腹下に表面コイルを肝に装着して行つた.
19分の虚血3例では, 虚血後, 急速なβ-ATPピークの低下, 及び無機リンの上昇を来たし, 19分の虚血後には, 各々20%, 347%になつた. 血流再開25分後でもβ-ATPはコントロール値の77%であり完全な回復はみられず, 無機リンも155%で同様であつた.ホスホモノエステルのピークも虚血後上昇がみられ, 血流再開25分後にはほぼ虚血前のレベルにもどつた. ホスホジエステルは, 虚血時及び血流再開時に軽度の低下が認められるのみであつた.
虚血後のATPの低下は, これまでに報告されている生化学的測定法による値とほぼ同様であつた. 19分の門脈•肝動脈の虚血でも, 血流再開後のATPの完全回復は認められず不可逆的変化が起きると考えられた. 虚血後のホスホモノエステルの増加は, 虚血による嫌気性解糖の亢進を反映していると考えられた.
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伊東 進, 岩崎 明温, 春藤 譲治, 石原 昭彦, 辻 泰弘, 和田 哲, 清水 一郎, 岸 清一郎, 森 博愛, 伊井 邦雄
1988 年 85 巻 1 号 p.
42-47
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
種々のカラムクロマトを用い, ヒト肝 Guanase (GU) を精製し, GU抗体を採取した. 本抗体は各段階の粗製GUとの間に1本の沈降線しかみられず, 抑制試験ではほぼ完全にGU活性を抑制し, 良質の抗体と考えられた. peroxidase 標識抗体を用いたGUの免疫組織化学的染色では, DABの反応産物は肝細胞, 小腸粘膜, 腎近位尿細管および胃の腸上皮化生の部分にGUの局在に一致して見られた.
本法は簡便なGUの免疫組織化学的染色法として, 肝のみならず腎や小腸に関する研究にも広く利用出来るものと思われた.
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佐藤 四三
1988 年 85 巻 1 号 p.
48-54
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝 Kupffer 細胞機能を評価する目的で, planar dynamic scintigraphy と single photon emission computed tomography を併用することにより,
99mTc millimicrosphered albumin (HSA-MM) の臓器分布, 肝 Kupffer 細胞による処理を定量化する方法を考案した. この方法により肝硬変症の肝 Kupffer細胞機能を検討した.
肝硬変症では肝集積率の低下, 脾集積率の増加があり, 網内系全体における肝 Kupffer 細胞の異物取り込み能の低下をみとめた. また肝硬変症ではHSA-MMの肝排泄率, 初期60分処理率の低下があり, 肝 Kupffer 細胞の代謝能の低下が示唆された. 本法は肝網内系機能検査法として有用と考えられた.
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秦 温信, 内野 純一, 佐々木 文章, 亀田 博, 宇根 良衛, 内藤 春彦, 森田 穣, 井上 和秋, 藤岡 保範, 阿部 章彦
1988 年 85 巻 1 号 p.
55-61
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝未分化肉腫は Stocker と Ishak によつて提唱された疾患概念であるが, 本邦における報告はきわめて少ない.
5歳の女児と男児の肝非上皮性腫瘍を経験した. 両者の臨床像, 組織像とと Stocker と Ishak の提示した症例にきわめて類似していた. 剖検後, 肝腫瘍の詳細な組織学的な検索を行つたところ, 大部分は未分化肉腫の組織像で占められていたが, 女児例では一部に横紋筋肉腫の成分を, 男児例では成人型肝細胞癌の成分を混じていた.
このような組織像を呈した症例は本邦集計例にみられなかつた. 肝未分化肉腫が分化の可能性を有することを示唆していると思われた.
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依田 英俊
1988 年 85 巻 1 号 p.
62-72
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Interferon (IFN) 単独治療後18ヵ月間以上経過観察した HBeAg 陽性B型慢性肝炎30例の血清学的, 生化学的, 組織学的長期予後を非治療の70例と比較した. 治療群の HBeAg 消失率は治療後4, 12, 18ヵ月で各々43%, 53%, 53%で, 非治療群の6%, 13%, 11%に比し有意に高率であつた. 18ヵ月間の seroconversion (SC) 率も治療群 (20%) で有意に高率であつた (非治療群5.7%). HBeAg 推移の様相から治療効果判定は治療後1~1.5年の時点が妥当であると考えられた. 組織学的追跡では治療群は非治療群に比しLCへの進展が低率であつた. 治療群た HBeAg 消失群, 出没群, 持続群に分けて比較したところ, HBeAg 消失群は持続群に比し治療前血中DNA-p低値, s-GPT高値で, かつ, 組織学的活動性が強い傾向にあつた.
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日野 文明
1988 年 85 巻 1 号 p.
73-80
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ガスクロマトグラフィーにより胆汁脂質を同時測定し, 胆石形成指数を計算する方法が Yunker らによつて開発され, その有用性が評価されているが, 著者は, さらにこの過程に胆汁酸の酢酸メチルエステル化とキャピラリーカラムを採用することにより精度を向上させることができた. 胆汁脂質を加水分解後抽出し, 酢酸メチルエステル化後, 25mシリコンOV-1キャピラリーカラムを用い, 一段昇温(140→260°C) にて, リン脂質は脂肪酸メチルエステル誘導体, 胆汁酸は酢酸メチルエステル誘導体, コレステロールは遊離体として定量した. 本法により分離能, 感度, 再現性が向上し, 本法は簡便な方法として充分臨床に役立つと考えられた.
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神沢 輝実, 田畑 育男, 伊沢 友明, 江川 直人, 田島 強, 岡本 篤武, 深山 正久, 滝澤 登一郎, 小池 盛雄
1988 年 85 巻 1 号 p.
81-89
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
無黄疸性乳頭部癌の特徴を明らかにするために, 全経過無黄疸例4例と入院時肉眼的無黄疸例6例の計10例について, 臨床•病理学的検査を行なつた. 主症状は発熱, 腹痛で, ほぼ全例に血清ALPの高値を認めた. 十二指腸内視鏡像は黄疸例と大差なく, 9例が生検にて確診された.
病理学的には腫瘍の肉眼型, 大きさ, 組織型は黄疸例と差はなかつた. 浸潤様式としては, 乳頭部から肛側に主に発育するもの4例, 胆管内へ乳頭状に発育するもの2例, 乳頭共通管に限局した乳頭腺癌2例, 胆管粘膜を這うように進展するもの1例, リンパ管侵襲による著しい広がりを示すもの1例に大別された. 全例切除されており, 術後平均生存月数は50月で黄疸例に比し良好であつた.
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中澤 三郎, 乾 和郎, 内藤 靖夫, 木本 英三, 山雄 健次, 船川 武俊, 林 芳樹, 加納 潤一, 山田 昌弘, 服部 外志之
1988 年 85 巻 1 号 p.
90-94
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
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胆嚢癌切除例48例について胆石との関連性を検討したところ, 胆石の合併は48例中22例 (46%) であり, Stage I 20例では45%, Stage II以上の28例では46%と, 従来の報告と比べて低い結果であつた. 癌発生と胆石の関連性を検討するため, 癌発生から時間的経過の短い, Stage Iについて検討した結果, 壁深達度では, m癌で10%, pm 癌で67%, ss 癌で86%と早期の癌ほど胆石合併率が低かつた. 肉眼型別でみると胆石の有無により肉眼形態の差が認められたが, 胆石による修飾が加わつているものと推測された. したがつて, 胆石と胆嚢癌には関連はあるものの, 胆石が胆嚢癌の原因であるとは断定できない, と考えられた.
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江島 準一, 森岡 英次, 藤本 一真, 大塚 輝久, 岡村 孝, 渋谷 恒文, 仁保 喜之
1988 年 85 巻 1 号 p.
95-98
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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東 正祥, 井川 宣, 竹原 徹郎, 松田 裕之, 吉岡 博昭, 柏木 徹, 藤田 峻作, 満谷 夏樹, 小泉 岳夫, 三木 康彰, 桑田 ...
1988 年 85 巻 1 号 p.
99-102
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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小畠 正夫, 酒井 勉, 小木曽 和夫, 矢野 好弘, 多羅尾 信
1988 年 85 巻 1 号 p.
103-106
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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本邦報告例の集計
村田 育夫, 牧山 和也, 田中 俊郎, 千住 雅博, 長部 雅之, 船津 史郎, 伊津 野稔, 今西 建夫, 原 耕平, 江口 圭介, 吉 ...
1988 年 85 巻 1 号 p.
107-111
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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千葉 俊明, 石川 和克, 田沢 義人, 遠藤 稔弥, 渡辺 珠夫, 小番 英裕, 佐藤 俊一, 増田 友之
1988 年 85 巻 1 号 p.
112-116
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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森下 薫, 石原 和彦, 小原 進, 大川 博之, 堀田 恭子
1988 年 85 巻 1 号 p.
117
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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石山 広信, 今泉 隆, 山崎 勝也, 神辺 敏実, 荻野 景規, 岡 紳爾, 岡崎 幸紀, 竹本 忠良
1988 年 85 巻 1 号 p.
118
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー