日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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98 巻, 2 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 消化管の増殖と分化
    寺野 彰, 堀江 かおり, 羅 偉生, 吉浦 健太, 島田 忠人, 平石 秀幸
    2001 年 98 巻 2 号 p. 135-143
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    トレフォイルファクター(TFF)は,3つのペプチドが同定され,いずれも6個のシシテイン残基による三つ葉のクローバー様構造を有する.このペプチドは,全消化管に分布しており,粘液産生細胞によって分泌されている.その生理機能は,細胞保護作用と細胞遊走作用が主なものであり,消化管の創傷治癒作用に密接に関連している.さらに最近では,消化管の悪性腫瘍との関連も指摘されるようになった,TFFが受容体を介して作用しているか否かは現在のところ不明であり,今後の展開が期待される.
  • 消化管の増殖と分化
    田久保 海誉, 上西 紀夫
    2001 年 98 巻 2 号 p. 144-150
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    加齢や癌を含めた疾患にともなうヒトの消化管粘膜のテロメア長の変化について記述した,食道粘膜のテロメア長は,年間60bpの短縮があり,扁平上皮癌では,非癌部よりも3~4kbp短い.胃粘膜のテロメア長の短縮は,年間47bpであり,腸上皮化生と腺癌では,有意に短縮している,腸粘膜のテロメア長の短縮は年間42~59bpであり,癌組織では非癌部よりも短い.ヒト組織を構成する細胞が更新する時間は,組織により数日から年余と大きく異なるが,テロメアの年間短縮率は約60bpを越えることは少なく,短縮率と組織の更新時間との間に直接的な関係は,薄いことが知られてきている.テロメア長の変化と,ヒトの個体の老化や癌を含めた疾患との関係については不明な点が多く,解明すべき問題点が山積しているが,テロメレースやテロメア機能の抑制による癌治療の可能性が期待されている.
  • 長沼 誠, 岩男 泰, 緒方 晴彦, 船越 信介, 高木 英恵, 中野 雅, 一松 収, 江崎 俊彦, 久松 理一, 井上 詠, 日比 紀文 ...
    2001 年 98 巻 2 号 p. 151-156
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    遠位潰瘍性大腸炎におけるメサラミン(ペンタサ)注腸の有効性について検討した,治療前の臨床背景は全例ステロイド抵抗性または依存性の症例であった,肉眼的血便が消失した例は2週後3例(1896),4週後8例(5096)であった.治療前後のCAIスコアは8.1から3.6に減少していた(p<0.001),また経口平均プレドニゾロン量は1カ月間で128mgから7.3mgに減少していた(p<0.01).3例は注腸による腹部違和感のため,1例は発熱・発疹のため治療が中止された.患者の年齢,性別,罹病期間,病型,経ロステロイド量については血便消失例,非消失例で差は認められなかったが,血便が消失しなかった例はCAI,Mattsの重症度スコアが有意に高く,より重症例が多かった.以上よリメサラミン注腸は軽症から中等症のステロイド抵抗性・依存性遠位潰瘍性大腸炎の臨床症状の改善,ステロイド減量効果に有用である可能性が示唆された.
  • 佐々木 一晃, 高坂 一, 川崎 浩之, 大野 敬祐, 中山 一郎, 松永 隆裕, 高岡 朝子, 青木 繁雄, 濱松 千秋, 平山 とよ子, ...
    2001 年 98 巻 2 号 p. 157-161
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    今回,多数の肺転移を有する大腸癌症例に対し,原発巣切除術後に外来での週1回少量CPT-11と5'-DFUR投与を試みた.35日後には腫瘍の良好な縮小(PR)と高値を示していたCEA値が著しく低下した.重篤な有害事象を示さず350日間,週1回の外来治療を施行することが可能で,318日間のPRを持続することが出来た,本治療法は進行大腸癌に対する有効な化学療法であるとともに,有害事象の少ない外来的治療法のひとつになりうると考えられた.
  • 川嶋 啓揮, 榊原 啓, 綾川 忠男, 芳金 弘昭, 滝 徳人, 荒川 大吾, 春田 和廣, 大島 陽一, 吉田 昌弘, 中村 正直, 肥田 ...
    2001 年 98 巻 2 号 p. 162-166
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は53歳の男性.上腹部痛,黄疸の精査目的で入院となった.各種術前画像所見にてVater乳頭近傍の巨大有茎性腫瘤が十二指腸水平部に逸脱,嵌頓していると診断し,開腹手術時の胆道造影,迅速凍結標本にて腫瘤は十二指腸乳頭部癌と確定診断された.本症例は有茎性乳頭部癌が十二指腸水平部に逸脱し,その茎部が大動脈と上腸間膜動脈の間に挟まれ嵌頓状態となり,十二指腸の通過障害と閉塞性黄疸を来したと考えられた.
  • 小沢 俊文, 渡辺 秀紀, 奥山 裕子, 奥村 浩二, 土屋 豊一, 丹治 伸夫, 安斎 幸夫, 海上 雅光
    2001 年 98 巻 2 号 p. 167-173
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は48歳,女性.下腹部痛を主訴に注腸X線検査を施行され,上行結腸に17×15mm大の粘膜下腫瘍を認め,2年後には20×20mmと増大した.EUSでは第4層との連続性を有する低エコー腫瘤で,内部には無エコー部が観察された.手術を施行し,17×16mm大で内部に嚢胞を有する黄白色調の腫瘍を認めた.病理組織学的には神経鞘腫で,免疫染色ではs-100蛋白に強陽性,抗平滑筋抗体陰性であった.
  • 山本 章二朗, 宮田 義史, 南 寛之, 蓮池 悟, 宇都 浩文, 加藤 順也, 堀 剛, 井戸 章雄, 弘野 修一, 林 克裕, 関屋 亮 ...
    2001 年 98 巻 2 号 p. 174-178
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は55歳,男性,主訴は下血.小腸X線検査および小腸内視鏡検査で空腸に隆起性病変を認め,下血の原因と考え,小腸部分切除術を施行した.手術時の肉眼所見は分葉状の腫瘍で,病理組織学的には紡錐型から多角型の細胞増殖を認めた.免疫組織学検査ではCD34,c-kit染色は陽性,SMA,s-100染色は陰性であり,gastrointestinal stromal tumor(GIST),uncommitted typeと診断した.
  • 初野 剛, 末永 昌宏
    2001 年 98 巻 2 号 p. 179-183
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は48歳,男性.B型肝硬変を背景に発生した多発性肝細胞癌に対して非観血的治療を行って癌の消失を認め,初回発生後7年4カ月,治療終了後3年9カ月目に再度発生した肝細胞癌に対しては肝切除術を施行できた.発見された時には既に多発病巣である症例の予後は一般的に不良であるが,極めてまれには本症例のように集学的治療が著効することもあり,再発した場合にも肝機能や病変の状態の十分な把握を行った上での適切な対応が必要であることを再確認した症例であり報告した.
  • 大塚 淳司, 千布 裕
    2001 年 98 巻 2 号 p. 184-187
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は21歳女性.98年5月,食欲不振,悪心・嘔吐出現.4日後,40°C台の発熱,過換気,意識障害出現.Reye症候群を疑い,血漿交換,ステロイド投与を行ったが,入院後第5病日死亡した.肝臓necropsyにて中心核性脂肪肝の所見を認め,Reye症候群と診断した,Reye症候群は大部分が2歳以下に発症し,成人発症はまれである.今回我々は成人Reye症候群の1例を経験したため,文献的考察を加え報告する.
  • 千住 恵, 重松 宏尚, 道免 和文, 入江 康司, 石橋 大海
    2001 年 98 巻 2 号 p. 188-193
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は81歳,男性,79歳時にUS,CT,MRIにて膵体部から尾部にかけてび漫性腫大を認めるも患者の希望にて外来で経過観察した.2年後の1999年に心窩部痛にて当科を再受診した.上腹部に圧痛をともなう腫瘤を触知した.肝胆道系酵素,膵酵素,CA19-9,DUPAN-2,SPAN-1の上昇および高γグロプリン血症を認めるも各種自己抗体は陰性であった.US,CT,MRIにて膵頭部から尾部にかけてび漫性の腫大を認め,内視鏡的逆行性膵胆管造影(Endoscopic retrograde cholangiopancreatography,ERCP)では主膵管の不整な狭細化ならびに下部総胆管の辺縁平滑な狭小化を認めた.膵生検像では軽度のリンパ球浸潤をともなう著明な線維化を認めた,これらの所見より自己免疫性膵炎(Autoimmune pancreatitis,AIP)と診断し,プレドニゾロン(Prednisolone,PSL)40mg/日の内服を開始した.自覚症状の消失とともに膵酵素,肝胆道系酵素,IgGの速やかな正常化を認め,投与開始3カ月後には画像上も膵腫大は正常化した.典型的なAIPでは膵のび漫性腫大を特徴とするが,頭部あるいは体尾部に限局性の腫大を呈するAIPも報告されている.今回われわれは体尾部から頭部への膵腫大の進展の自然経過を画像にて追跡しえたAIP例を経験したので報告する.
  • 岡本 朋子, 猪熊 哲朗, 本田 豊彦, 松枝 重樹, 馬場 伸介, 神崎 剛志, 竹林 治朗, 内田 立身
    2001 年 98 巻 2 号 p. 194-197
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
  • 亀田 治男, 鈴木 宏, 飯野 四郎, 川崎 寛中, 鈴木 博
    2001 年 98 巻 2 号 p. 200-205
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
  • 飯野 四郎, 清沢 研道, 鈴木 宏, 亀田 治男
    2001 年 98 巻 2 号 p. 206-213
    発行日: 2001年
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
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