膵癌 (通常型浸潤性膵管癌) は膵管上皮を起源とするが, その発生過程には膵管上皮よりいきなり異形の強い癌病変として発生する過程de novo carcinoma (de novo ca) と腺腫を経て発生する過程adenoma-carcinoma sequence (ACS ca) とがある. de novo caはさらに発生してすぐに周囲へ浸潤する型intraductal non-spreding typeと膵管内をある程度広がったのちに浸潤する型intraductal spreading typeがある. 前者の膵管内の組織型像は平坦な増殖を示す癌 (Flat type) であり, 後者は丈の低い乳頭性増殖を示す癌 (Low papillary type) である. ACS caの大部分は膵管内乳頭性粘液腫瘍 (IPMN) であり, 遺伝子分析によってもACSの関係が証明された. この癌はたとえ浸潤癌であっても強い線維化内の浸潤でありその予後は良い.
膵癌の発生母地は粘液細胞過形成であることが遺伝子分析により明らかとなったが, この上皮がどのくらいの期間後に癌化するか, またこの上皮からどのくらいの頻度で癌が発生するかの問題が残っている.
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