日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
101 巻, 10 号
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総説—第45回大会から—
  • 柳澤 昭夫, 加藤 洋
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 101 巻 10 号 p. 1061-1071
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/05/13
    ジャーナル フリー
    膵癌 (通常型浸潤性膵管癌) は膵管上皮を起源とするが, その発生過程には膵管上皮よりいきなり異形の強い癌病変として発生する過程de novo carcinoma (de novo ca) と腺腫を経て発生する過程adenoma-carcinoma sequence (ACS ca) とがある. de novo caはさらに発生してすぐに周囲へ浸潤する型intraductal non-spreding typeと膵管内をある程度広がったのちに浸潤する型intraductal spreading typeがある. 前者の膵管内の組織型像は平坦な増殖を示す癌 (Flat type) であり, 後者は丈の低い乳頭性増殖を示す癌 (Low papillary type) である. ACS caの大部分は膵管内乳頭性粘液腫瘍 (IPMN) であり, 遺伝子分析によってもACSの関係が証明された. この癌はたとえ浸潤癌であっても強い線維化内の浸潤でありその予後は良い.
    膵癌の発生母地は粘液細胞過形成であることが遺伝子分析により明らかとなったが, この上皮がどのくらいの期間後に癌化するか, またこの上皮からどのくらいの頻度で癌が発生するかの問題が残っている.
今月のテーマ : 消化器癌の遺伝子治療
  • 栗山 茂樹
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 101 巻 10 号 p. 1072-1077
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/05/13
    ジャーナル フリー
    近年の分子生物学の進歩にともない, 種々の疾患において遺伝子レベルでの病態解明や遺伝子診断が可能になった. さらに, 遺伝子工学の発達により, 目的遺伝子の単離・増幅および遺伝子導入が可能になり, 種々の疾患に対する遺伝子治療の可能性が基礎的にも臨床的にも積極的に検討されている. 本稿では, 消化器癌に対する遺伝子治療の臨床治験成績を含め, 遺伝子治療の現状を概説する.
  • 高橋 稔, 新津 洋司郎
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 101 巻 10 号 p. 1078-1086
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/05/13
    ジャーナル フリー
    進行消化器癌は多くの治療法の進歩にかかわらずその治療成績は極めて不良である. その治療成績向上を目的に遺伝子治療が欧米を中心に行われ, 日本においても臨床研究が開始されている. しかし複製不能ウイルスベクター (RDV) を用いた遺伝子治療法では腫瘍への遺伝子導入効率が低いことから, 治療成績は満足できるものではないことが明らかになりつつある. 一方, 腫瘍融解ウイルス (OncoV) は感染腫瘍細胞の融解壊死・ウイルス放出・周囲非感染腫瘍への感染により, 従来のRDVを用いた遺伝子治療法と比較して格段に高い抗腫瘍効果を発揮する. すでに欧米を中心にOncoVを用いた各種臨床試験での有効例が報告されている. OncoVは消化器癌を始めとした難治性悪性腫瘍に対する新たな治療法となる可能性があり, 今後の発展が期待される.
症例報告
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