日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
107 巻, 1 号
選択された号の論文の14件中1~14を表示しています
特別企画
  • 名越 澄子, 中澤 晶子
    2010 年 107 巻 1 号 p. 1-7
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/01/07
    ジャーナル フリー
    女性医師が医師として社会的使命を遂行するには,チーム主治医制導入を中心とする新たな勤務体制の推進や育児支援,再就職支援などの社会的な支援策が必要となる.昨今,行政および各医学会や医師会を中心にさまざまな取り組みが進められているが,その実現にはすべての医師における過酷な労働環境の改善が前提となろう.一方,女性医師もその使命を自覚し,出産·育児の体験をも生かして,社会貢献できる医師へと自らを向上させる努力を怠ってはならない.さらに,指導的立場にある医師は,若い世代においてワーク·ライフ·バランスが重視されつつあることを認識し,女性医師を正当に評価して夢を与え,その成長を支援することが現代では必須要件となる.
今月のテーマ:肝硬変の包括的マネージメント
  • 池田 健次
    2010 年 107 巻 1 号 p. 8-13
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/01/07
    ジャーナル フリー
    ウイルス性肝炎は高齢者·肝硬変の症例が増加しており,肝癌発癌抑制などを目指す有効な治療が急務である.C型肝硬変では,治療効果の良い低ウイルス·2型ウイルスなどでインターフェロン治療によるウイルス排除により発癌率低下が得られる.高齢·進行肝病変·副作用などを理由に強いインターフェロン治療が困難な症例では,インターフェロン少量長期投与によりALT安定低値化が得られることも多く,これら症例で発癌抑制につながるデータが集積されつつある.B型肝硬変(代償期·非代償期)では,核酸アナログ製剤による肝病変進行予防·発癌抑制を積極的に試みるべきである.
  • 鈴木 一幸
    2010 年 107 巻 1 号 p. 14-21
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/01/07
    ジャーナル フリー
    肝硬変に起因する肝性脳症の病態には肝細胞障害と門脈大循環短絡の2つの要因が相互に関連している.肝性脳症は精神神経障害の程度により昏睡I度からV度までに分類されるが,最近,明らかな精神神経症状がなく定量的精神神経機能検査ではじめて異常を指摘される潜在性(ミニマム)肝性脳症の病態が注目されている.しかし,その診断法についてのコンセンサスはいまだ得られていない.治療では血液アンモニア濃度のコントロール,アミノ酸代謝異常の是正を目標に合成二糖類,難吸収性抗菌薬,特殊組成アミノ酸製剤(分岐鎖アミノ酸製剤)などが用いられているが,その効果は肝の重症度に大きく影響される.肝不全が高度の例に対しては血液浄化療法,肝移植も行われている.蛋白·エネルギー代謝異常の是正が肝性脳症の顕性化予防,長期予後の改善には重要な対策と考えられる.
  • 上本 伸二
    2010 年 107 巻 1 号 p. 22-27
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/01/07
    ジャーナル フリー
    脳死肝移植が進まないわが国においては年間400例∼500例の生体肝移植が行われており,肝硬変末期患者は救命と社会復帰を求めて生体肝移植を受けるチャンスがある.肝移植の適応時期は,Child-PughスコアやMELDスコアの客観的な指標を参考に決められるが,腹水,胸水,意識障害,黄疸などの臨床的観察評価も重要である.一方,肝移植はすべての患者に平等に提供できる医療ではなく,患者の家族環境に大きく左右されるということを認識しておく必要があり,その上で適切な時期にこの治療を提示することが大切である.また,肝移植後も肝硬変にいたった原疾患の治療の継続が大切であり,ともに肝臓内科医の重要な任務である.
座談会:肝硬変の包括的マネージメント
原著
  • 白井 聖一, 酒匂 赤人, 朝山 直樹, 尾上 淑子, 中島 亮, 西村 崇, 藤谷 啓一, 矢田 智之, 山田 晃弘, 赤澤 直樹, 櫻井 ...
    2010 年 107 巻 1 号 p. 48-60
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/01/07
    ジャーナル フリー
    急性膵炎の新厚労省重症度判定基準が2008年10月より施行された.旧判定基準に比べ簡便で,重症例の検出にも有用とされるが,今回当院での急性膵炎症例を対象に,その有用性や問題点につき検討を行った.新判定基準では入院時の判定予後因子の欠損項目が少なく,また重症判定症例が少ない結果となった.新旧判定基準ともに生命予後予測についてのROC解析において有用性が示された.一方で,入院時軽症から重症への移行例,死亡例が,新判定基準で散見され,生命予後予測についてのROC解析において現行のスコアリングではその感度が低い結果となった.新判定基準においての経時的な重症度判定の重要性が示唆された.
症例報告
Letters to the Editor
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