日本消化器病学会雑誌
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71 巻, 12 号
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  • 磯部 賢士
    1974 年 71 巻 12 号 p. 1215-1228
    発行日: 1974/12/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    家兎を用いて竹内 (1965年) が腎の血流動態の研究に使用した, 標識赤血球及び小型G-M管を用いる方法によつて, 胃粘膜の血流動態を研究した.その実験成績から, この新しい・測定方法は現在まで測定困難であつた胃粘膜の局所における血流動態を知るには非常に有用であることを知つた.この方法と同時に血管弯縮の形態的所見として知られている動脈平滑筋周核空胞 (竹内) の出現状態から胃壁内の血流動態を検討した.対照群では胃体部に比較して幽門部の血流量は少ない.これは両部の血管構築の差異によるものと考える.
    noradrenaline投与群では注入後著明な血流の減少を認め, 動脈内の周核空胞の出現率 (周核空胞の数/動脈平滑筋細胞の核数×100=%) は高値を示し, 血流量と周核空胞の出現率は逆相関を示し, 周核空胞が血管弯縮の形態学的所見であり血流動態の指標であることを示唆した.gastrin投与群では胃体部において著明な血流の増加をみるが, 幽門部では増加をみず, 又周核空胞の出現率も低く, gastrinがvasodilaterとしての働きがあるのではないかと考える.ランタン潰瘍作製実験において, ランタン注入後初期は血流量は少く虚血状態を示し, 12時間以後は上昇する.周核空胞の出現率もこの血流状態に逆相関する.この事は血管弯縮による胃粘膜の虚血が潰瘍形成の大きな要因となる事を示している.これらの結果より著者の施行した血流測定法は胃粘膜局所の血流動態を知るには非常に有用であり, 又周核空胞の出現状態の観察を組合わす事により従来不充分であつた胃粘膜の血流動態の解析がより精細に研究出来ると結論する.
  • 第一報十二指腸液Phospholipase Aの意義について
    橋平 成章
    1974 年 71 巻 12 号 p. 1229-1240
    発行日: 1974/12/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    pancreozymin-secretin testにおいて, 十二指腸液内のphospholipase Aの分泌態度および各脂質成分との相互関係について検討した.膵より分泌されるphospholipase Aにより, 胆のう胆汁のlecithinはリゾ化を来たすが, 本酵素反応は胆汁酸塩, lysolecithinおよびアルブミンにて活性化され, 中性脂肪と遊離脂酸にて抑制される.
    phospholipase Aはamylaseと有意な正相関を示すとともに同様な分泌パターンを示したが, 一部で解離する例を認めた.慢性膵炎においてはphospholipase Aはamylaseに比べてより障害を受けにくい.
  • 大槻 真, 佐伯 進, 近藤 勤, 尤 芳才, 馬場 茂明
    1974 年 71 巻 12 号 p. 1241-1248
    発行日: 1974/12/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    血清, 尿中アミラーゼ活性は膵疾患だけではなく種々の疾患時に増大することが知られているが, アミラーゼ活性測定は現在もなお膵疾患診断のための主たる検査となつている.
    この問題に対して, アミラーゼをポリアクリルアミドゲル薄層電気泳動によりアイソザイムに分離し, 各々のアイソザイムについて起源臓器を検討した.その結果ヒト尿中には8つのアミラーゼアイソザイムを認めた.これらのアイソザイムの易動度は唾液腺あるいは膵アミラーゼアイソザイムの易動度と一致した.さらに唾液腺機能低下患者尿中からは流行性耳下腺炎患者尿中で活性が増大しているアミラーゼアイソザイムは消失しており, 膵全摘患者尿では流行性耳下腺炎患者尿で活性が増大しているアミラーゼアイソザイムのみが認められた.これらの事実より, ヒト尿中アミラーゼアイソザイムは唾液腺および膵に由来することを確認した.健常人尿中には, 唾液腺あるいは膵アミラーゼと易動度の一致する4-6つのアイソザイムを認めた.さらに正常人尿中に, Amy U-1よりも易動度の遅いアイソザイムAmy U-1sを認め, 家系調査の結果優性遺伝することを確認した.正常人尿ではAmy U-1に最大のアミラーゼ活性を認めた.一方慢性膵炎患者尿では寛解期にはAmy U-3の方がAmy U-1よりもアミラーゼ活性が大きかつたが, 膵炎再発時には, Amy U-1のアミラーゼ活性の増大を認めた.
  • 抗LDH単クローン性自己抗体の発見
    井本 勉, 内田 壱夫, 太田 美栄, 吉田 真理子, 井上 健三, 高月 清, 山沢 育宏
    1974 年 71 巻 12 号 p. 1249-1255
    発行日: 1974/12/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    Oxyphenisatin起因性ルポイド肝炎の1症例 (64才, 男) において, LDH第4分画のみ存在する異型ザイモグラムを見出し, かかる異常がLDH・M成分結合体の存在に基づくことを明らかにした.すなわち本例には微量のM成分が検出されたが, 血清LDH各分画はすべてこのM成分と結合し, ザイモグラム上, 結合体の泳動位置はLDH第4分画のそれに一致していた.M成分 IgG (k) をFab部とFc部に分ち検索を進めた所, LDH結合能はFab部のみに認められた.免疫グロブリンの抗体活性はFab部に局在しFc部に存在しない事実から, 本例のM成分は自己抗体 (様) 活性を有するものと推測された.抗LDH単クローン性自己抗体の存在を実証した報告はこれが最初である.
  • 土屋 雅春, 朝倉 均, 高木 桂三, 森田 證, 森下 鉄夫, 日比 紀文, 馬場 正三, 八木田 旭邦, 寺本 龍生, 三方 淳男
    1974 年 71 巻 12 号 p. 1256-1263
    発行日: 1974/12/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    直腸に進行癌1個と早期癌1個および虫垂に早期癌1個を有した43才の大腸ポリポージス例に, 胃ポリポージスと回腸末端部のlymphoid polyposisが認められた.家族には未だ大腸ポリポージスや大腸癌の発生はみていないが, 食道癌や胃癌で死亡した者がいた.隆起性病変を考察する上で興味ある症例と考える.
  • 滝野 辰郎, 小笠原 孟史, 北村 収, 河辺 泰徳, 杉原 恒臣, 岡上 武, 杉野 成, 高橋 示人, 石原 好弘
    1974 年 71 巻 12 号 p. 1264-1270
    発行日: 1974/12/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    40才の男, 20年前に黄疸の既往があるが, その後特に肝障害を指摘されたことはなかつた.入院20日前, 下痢に続いて腹水を認め, 肝硬変症の疑いで入院し, 第7病日に吐血を起し, 昏睡に陥り第50病日に死亡した. 剖検で甲′型肝硬変の像を示し, 同時に肝をはじめ, 肺, 膵, 腎, 胃, 腸管, 心外膜など全身の諸臓器に巨細胞性封入体を認めた. 更に合併症として, 胃, 回盲部の潰瘍と混合感染による肺真菌症, 脳室炎を認めた.
  • 第3報胃癌ならびにその肝転移例におけるα-fbtoproteinについての検討
    岡本 佳千
    1974 年 71 巻 12 号 p. 1271-1280
    発行日: 1974/12/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    α-fetoprotein (AFP) 陽性の胃癌とその肝転移例におけるAFP産生について検討した.胃癌14例, 胃癌の肝転移12例および既報のAFP陽性胃癌1例と胃癌の肝転移例2例を対象とし, それらの組織像と血清および組織中AFP濃度との関連を検討した.
    AFP濃度の測定は抗体寒天平板法およびradioimmunoassay (RIA) 法を用いて行つた.
    Immunoelectrosyneresis法でAFP陽性を示す胃癌の肝転移例は, RIA法でAFP陰性の胃癌の肝転移例に比べ特異な組織像を示した.この場合, 発病初期からAFPは産生されるが濃度は低く, 所属リンパ節からさらには肝へと転移が進むにつれて血清AFP濃度は増加した.
  • 中沢 三郎, 瀬川 昂生, 内藤 靖夫, 今井 健二, 松尾 信男, 山本 義樹, 塩原 正夫, 祖父江 国男, 山田 憲一, 早川 礼介, ...
    1974 年 71 巻 12 号 p. 1281-1285
    発行日: 1974/12/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1974 年 71 巻 12 号 p. 1286-1302
    発行日: 1974/12/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1974 年 71 巻 12 号 p. 1303-1335
    発行日: 1974/12/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
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