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セルレインの影響
氏家 裕明, 本郷 道夫, 佐竹 賢三, 奥野 洋, 後藤 由夫
1988 年 85 巻 11 号 p.
2351-2358
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
アカラシア患者15例に対し, 基礎LES圧連続測定記録を行なつたところ, 7例で嚥下と関係のないLES弛緩 (T-LESR) を認めた. そこで, アカラシア患者における節後抑制神経の機能を見る目的で, 同神経刺激作用を有すると言われるセルレインの負荷を行なつた. その結果, 15例中8例でLESRを認め, 12例でLES静止圧の著明な低下を認めたが, 2例では著明な上昇を認め, 1例では不変であつた. 以上より, アカラシアでもLESRに関与する最終神経機構が保たれている場合があり, CCKあるいはCCK感受性機序の関与が推測される. 更に, アカラシアでは, 神経障害のレベル, 程度に違いのあることが推測される.
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荒川 正博, 鹿毛 政義, 井上 林太郎, 永田 一良, 豊永 純
1988 年 85 巻 11 号 p.
2359-2364
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
食道静脈瘤に対する内視鏡的硬化療法 (EIS) が施行され, その後何らかの原因で死亡した56剖検例の食道壁の変化を組織学的に急性病変と慢性病変に分けて, その病変の拡がりについて検討した. その結果, 急性病変の拡がりは高度で, 外膜まで病変がおよぶ例が41例中30例もあり, この拡がりの程度とEISの注入回数, 注入量との間に明らかな関連はみられなかつたが, 深い潰瘍とS-B tube の併用には関連が示唆された. 慢性病変は組織の線維化であらわされるがこの拡がりは急性病変に比し軽度であつた. この差は救急出血例と出血予防例に対する手技の相違が大きいと考えられるが, 組織学的にみられる浮腫, 出血, 炎症細胞浸潤などの急性病変が完全に吸収されて, 慢性病変として残らなかつた部分があることも考えられた.
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野尻 裕之, 田中 三千雄, 稲土 修嗣, 佐々木 博
1988 年 85 巻 11 号 p.
2365-2371
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
経内視鏡的に使用可能な熱勾配式組織血流測定法用細径プローブ (φ2.5mm) を開発し, 胃粘膜血流における測定精度を水素ガス•クリアランス法と比較検討した. (1)成犬2頭を用いた開腹実験においては, 熱勾配式組織血流計による測定値と水素ガス•クリアランス法による粘膜血流量Fはきわめて良好な相関関係 (r=0.954, p<0.001) を認めた. (2)健常男性4名を対象に経内視鏡的に熱勾配式組織血流計と電解式組織血流計を用いて胃粘膜血流を測定した. 両測定値もまたきわめて良好な相関関係(r=0.932, p<0.001) を認めた. また理論式にもとづいて本法による測定値を血流量に換算することが可能であつた.
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吉田 憲正, 吉川 敏一, 内藤 裕二, 小山田 裕一, 上田 茂信, 谷川 徹, 竹村 俊樹, 田井中 憲三, 森田 豊, 宮川 晴雄, ...
1988 年 85 巻 11 号 p.
2372-2379
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ラット熱傷負荷後の胃粘膜病変形成におけるフリーラジカルの関与について検討した. 潰瘍係数は, SOD, カタラーゼ, SODとカタラーゼ併用投与群で有意に抑制され, SOD, カタラーゼ投与群では粘膜内の脂質過酸化も有意に抑制された. SODとカタラーゼ併用投与により, 熱傷負荷後の胃液量と酸分泌量は有意に抑制されたが, 胃液pH•総酸度, 胃壁血流量, 胃粘膜内ヘキサミン量には有意な変化は認められなかつた. アロプリノール投与により潰瘍係数は有意に抑制されたが, 多核白血球低下ラットでは抑制されなかつた. 以上より, ラット熱傷負荷後の胃粘膜病変形成に, キサンチンオキシダーゼ由来の活性酸素, 粘膜内での脂質過酸化が関与することが示唆された.
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平田 一郎, 林 勝吉, 折野 真哉, 斉藤 治, 藤田 亨, 芦田 潔, 鄭 鳳鉉, 島本 史夫, 三好 博文, 大柴 三郎
1988 年 85 巻 11 号 p.
2380-2388
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
健常者末梢血および健常消化管粘膜 (胃•小腸•大腸) DLTにおけるリンパ球サブセットとDR抗原発現状態の比較検討を行い両者間に相違をみとめた. すなわち末梢血ではleu3/2比が約1.4でありB cell が約10%, DR抗原陽性T cell が約5%に認められた. 一方, 消化管粘膜DLTではLPL leu3/2比は胃約1.2, 腸約2.0であり, B cell とDR抗原陽性IELはほとんど認められなかつた. また, 小腸は胃•大腸に比しleu4
+およびleu2
+IELとleu4
+およびleu3
+LPLが高値を示し, 上皮DR抗原発現も特異的に認められた. したがつて小腸は胃•大腸に比し潜在的に高い免疫活性を有し, このことと小腸における悪性腫瘍の発生頻度が少ない事実との間に何らかの関連性が示唆された.
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慢性肝疾患を中心として
早川 富博, 片桐 健二, 白木 茂博, 中井 富夫, 竹島 彰彦, 川村 益生, 大西 勇人, 星野 信, 塚田 勝比古, 宮治 真, 武 ...
1988 年 85 巻 11 号 p.
2389-2395
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
慢性肝疾患に対するウルソデオキシコール酸 (UDCA) の薬理作用を,
99mTc-PMTを用いた胆道シンチグラフィーを指標として検討した. UDC投与により,
99mTc-PMTのKu, Ke は改善傾向を示し, ことに肝における摂取, 排泄の総合的な結果である Peak time は全例短縮し, Al-P, γ-GTPと正の相 関を示した. 肝機能も全般に改善を示し, ことにγ-GTPは有意な改善であつた. これらの結果はUDCAは障害肝における物質, ことにアニオンの摂取を高め, 胆汁中への分泌を促進する薬理効果を有するものと思われる.
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小坂 大策, 平岡 俊仁, 幸田 忠裕, 梶山 梧朗, 隅岡 正昭, 平田 研, 今川 勝, 石田 正典
1988 年 85 巻 11 号 p.
2396-2401
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
我々は健常者, 急性肝炎, 慢性肝炎, 肝硬変症患者それぞれについて, 血中胆汁アルコールの主要構成成分である27-nor-5β-cholestane-3α, 7α, 12α, 24, 25-pentol と5β-cholestane-3α, 7α, 12α, 25, 26-pentol を isotope dilution-mass spectrometry 法にて測定した.
健常対照群においては, これら2つの胆汁アルコール合計平均は10.3±3.7ng/ml (mean±S.D.) であつた. 肝疾患患者での両胆汁アルコール合計平均は, 急性肝炎で44.8±18.2ng/ml, 慢性肝炎で18.2±5.6ng/ml, 肝硬変においては, Child A群で37.9±26.0ng/ml, Child B群で42.7±22.0ng/ml, Child C群で71.2±24.2ng/mlであつた.
5β-cholestane-3α, 7α, 12α, 25, 26-pentol と7-nor-5β-cholestane-3α, 7α, 12α, 24, 25-pentol との比率は Child C群において, 健常対照群と比較して増加傾向を認めた.
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抗 Mallory body 抗体を用いた免疫組織によるアルコール性肝障害の臨床病理学的検討
小山 恒
1988 年 85 巻 11 号 p.
2402-2410
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
抗 Mallory body 抗体を用いて, 本邦のアルコール性肝障害 (ALD) 88生検肝の免疫蛍光 (IF) 染色を行い, Mallory bodies (MBs) の出現頻度と臨床的意義について検討した. IF法ではMBsは27.3%とHE染色の12.5%に比し有意に高率に検出され, 本邦のALDのMBs陽性率はIF法で検討すると, 従来の報告より高いことが明らかとなつた. 一方, 肝線維症 (HF) でもIF法では47組織中6組織にMBs陽性となつた. 臨床データの比較から, このMBs陽性肝線維症群は, アルコール性肝線維症群に属し, アルコール性肝炎 (ALH) とは異なる病型と考えられた. HFとALH症例についてMBsと予後との関連を検討したが, MBs陽性群がMBs陰性群より予後不良とは言えなかつた.
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抗癌剤の血中濃度との関係について
池田 健次, 熊田 博光, 荒瀬 康司, 茶山 一彰, 郡司 俊秋, 吉場 朗, 煎本 正博
1988 年 85 巻 11 号 p.
2411-2419
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝動脈塞栓術を施行した肝細胞癌52例を, tegafur 600mg/日内服群(A群)27例, tegafur 400mg+uracil 合剤内服群 (B群) 25例の2群に分け, このうち1ヵ月以上内服を続けたA群24例, B群23例を対象とし, 抗癌剤長期投与の副作用を検討した. 6ヵ月以内に腹水•脳症の出現したのは, A群8例(33.3%), B群7例 (30.4%) と高率で, ビリルビンや凝固能の悪化例も多かつた. 肝機能の悪化は, 年齢が55歳以上でかつICG15分値30%以上の症例に高率であつた. 抗癌剤投与開始3ないし5ヵ月後の抗癌剤の血中濃度測定では, 5FUが12pg/ml以上の例で腹水•脳症の出現率が高かつた. 肝硬変例に対する内服抗癌剤使用は, 肝機能の悪化に注意すべきである.
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ステロイド療法無効例に対するウルソデオキシコール酸 (UDCA) 療法の臨床的意義
大西 弘生, 森脇 久隆, 高村 敦子, 友田 隆, 名倉 一夫, 加藤 正孝, 山田 昌夫, 武藤 泰敏, 清島 満, 清水 勝, 小畠 ...
1988 年 85 巻 11 号 p.
2420-2429
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
30例の肝内胆汁うつ滞 (IHC) を対症療法, ステロイド療法, UDCA療法に分け臨床的検討を行い, 以下の結果を得た. 1) ステロイド療法での有効率は53.3%(8例/15例)であつたのに対し, UDCA療法では75.0% (6例/8例) と高率であつた. 2) UDCAによる利胆は, 血清および胆汁中胆汁酸の検討より臨床的にも分泌型利胆によることが示唆された. 3) 血清総ビリルビン濃度が治療前値の1/2になるまでの日数 (T1/2) は対症療法例では8.8日であり, ステロイド療法有効例では17.5日であつた. すなわち, IHCではT1/2が8.8日以上の症例に対しては対症療法以外の治療が必要と考えられた. そしてUDCAの利胆機序からみて, transaminase 高値を伴う症例ではUDCA投与により肝細胞障害がさらに進行することも考えられ, そのような症例にはステロイド療法を, transaminase 上昇を伴わない症例にはUDCA療法を行うべきと考えられた. またステロイド療法を行つてもT1/2が17.5日以上の症例に対しては, 速やかにUDCAを投与することにより良好な減黄効果が得られるものと考えられた.
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鈴木 彰
1988 年 85 巻 11 号 p.
2430-2435
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ハムスター胆嚢内 Methylcholanthrene (MC) Beeswax pellet ないし Beeswax pellet の挿入により誘発した胆嚢癌15例と非癌病変26例について杯細胞の検出頻度と分布程度を検討した. 杯細胞の検出頻度は胆嚢癌例で56% (癌巣部20%, 周囲粘膜53%) と対照群の34%より高率であつたが有意差はなかつた. 杯細胞の分布程度は両群とも軽度ないし中等度で, その割合にも差を認めなかつた. 組織型別では高分化型癌例の杯細胞検出頻度が83%と最も高かつたが癌巣部, 周囲粘膜とも杯細胞を認めたのは, そのうちの40%のみで, しかも分布程度はいずれも軽度ないし中等度であつた. 以上の成績から, ハムスターのMC誘発胆嚢癌において腸上皮化生は前癌病変として重視されえないと考えられた.
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中野 知幸, 藪田 育男, 今井 幸子, 下村 英明, 林 需, 石川 兵衞
1988 年 85 巻 11 号 p.
2436-2443
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
急性肝炎59例の胆嚢形態を超音波で観察し, 急性肝炎にみられる胆嚢壁肥厚の臨床的意義を検討した. 超音波検査で38例 (64%) に3.5~20mmの胆嚢壁肥厚がみられた. 胆嚢壁厚は, 肝機能検査のうち総ビリルビン, 直接ビリルビン, 間接ビリルビン, GPTとの間にそれぞれ正の相関を示した. さらに28例の詳細な経過観察の結果, 胆嚢壁厚の変化は直接ビリルビン (総ビリルビン) の増減とよく一致したが, GPTの増減とは一致しなかつた. 以上より, 急性肝炎にみられる胆嚢壁肥厚は血清直接ビリルビン値の上昇をもたらす肝の病態に関連すると推測され, 急性肝炎における胆嚢の超音波検査は黄疸の予後判定に有用と考えられる.
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小金井 一隆, 深野 雅彦, 山崎 安信, 杉田 昭, 福島 恒男, 土屋 周二, 山本 倬司, 佐々木 隆敏
1988 年 85 巻 11 号 p.
2444-2449
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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筋田 和文, 奥野 府夫, 平野 芳昭, 江藤 澄哉, 荒井 正夫
1988 年 85 巻 11 号 p.
2450-2455
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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川北 啓喜, 関 守一, 荒川 哲男, 貫野 徹, 岡 博子, 北野 厚生, 鎌田 悌輔, 黒木 哲夫, 針原 重義, 溝口 靖紘, 小林 ...
1988 年 85 巻 11 号 p.
2456-2460
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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大越 裕文, 佐多 斉, 奥山 早苗, 河辺 朋信, 高橋 宏樹, 渡辺 文時, 宮崎 寛, 中島 尚登, 青山 南圭, 嵐山 恭志, 安藤 ...
1988 年 85 巻 11 号 p.
2461-2465
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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玉田 尚, 森安 史典, 伊藤 恭子, 近藤 晃史, 小野 成樹, 伴 信之, 山下 幸孝, 木村 達, 川崎 俊彦, 中村 武史, 内野 ...
1988 年 85 巻 11 号 p.
2466-2470
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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村田 博司, 酒井 正俊, 川野 真一, 中島 正臣, 宮瀬 秀一, 飯田 三郎, 吉田 健, 藤山 重俊, 佐藤 辰男, 相良 勝郎
1988 年 85 巻 11 号 p.
2471
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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木村 修二, 荒川 哲男, 根引 浩子, 佐久間 裕之, 福田 隆, 佐藤 博之, 中村 肇, 田村 堅一, 島岡 正幸, 小林 絢三
1988 年 85 巻 11 号 p.
2472
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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富谷 智明, 尾形 逸郎, 林 茂樹, 藤原 研司
1988 年 85 巻 11 号 p.
2473
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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阪上 吉秀, 溝口 靖紘, 筒井 ひろ子, 坂口 浩樹, 申 東桓, 久保井 広志, 関 守一, 小林 絢三, 森澤 成司, 山本 祐夫
1988 年 85 巻 11 号 p.
2474
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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斉藤 栄一, 名富 仁美, 菅野 健太郎, 関 敦子, 高久 史麿, 安村 隆二, 松尾 裕
1988 年 85 巻 11 号 p.
2475
発行日: 1988年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー