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樋下 徹哉, 海崎 泰治, 細川 治, 真崎 竜邦, 伊藤 重二, 瀧波 慶和, 北島 竜美, 白崎 信二
2005 年 102 巻 10 号 p.
1275-1280
発行日: 2005年
公開日: 2005/10/05
ジャーナル
フリー
患者は52歳女性.健診での胃内視鏡にて多発性隆起性病変を指摘.生検で胃カルチノイドと診断した.高ガストリン血症を認めるが,A型胃炎をともなっていなかった.全身検索の結果,下垂体腫瘍の既往が疑われ,多発性内分泌腺腫症1型にともなうもの(Type II)に類似した病態と考えられた.多発性胃カルチノイドにA型胃炎をともなわないものは本邦ではまれとされており,その背景の病態を十分に検索する必要があると考えられた.
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檜沢 一興, 相島 慎一, 八尾 隆史, 中原 束, 松本 主之, 飯田 三雄
2005 年 102 巻 10 号 p.
1281-1285
発行日: 2005年
公開日: 2005/10/05
ジャーナル
フリー
症例は84歳女性.成人スチル病の診断でステロイド治療中に大量下血を生じ,2003年6月4日,当科緊急入院となった.直腸に巨大潰瘍あり,生検組織像にて虚血性変化と薬剤性粘膜障害の所見を認めた.さらにCMVantigenemia陽性のためgancyclovir併用し,中心静脈栄養療法を継続した.経過中antigenemia再上昇にともない下血が再燃した.gancyclovir継続後は下血なく,2004年3月16日,成人スチル病のため死亡した.
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新倉 則和, 長谷部 修, 海野 純, 今井 康晴, 長田 敦夫, 保坂 典子, 赤松 泰次
2005 年 102 巻 10 号 p.
1286-1292
発行日: 2005年
公開日: 2005/10/05
ジャーナル
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症例は63歳男性.便潜血陽性にて当科を受診した.胃と直腸にMALTリンパ腫を認め,
H. pylori除菌治療を施行したが無効であり,S状結腸に新たに病変を認めた.低位前方切除術施行時の術中小腸内視鏡検査にて空腸にもMALTリンパ腫を認め,小腸部分切除を追加した.胃のMALTリンパ腫に対しては計36Gyの放射線治療を施行し,その後再発・転移を認めていない.多発症例に対する治療法については今後更なる検討が必要と考えられた.
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横山 卓剛, 葦沢 龍人, 日比 康太, 岡田 了祐, 鈴木 芳明, 高木 眞人, 篠原 靖, 杉本 勝俊, 青木 達哉
2005 年 102 巻 10 号 p.
1293-1298
発行日: 2005年
公開日: 2005/10/05
ジャーナル
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症例は48歳,男性.主訴は嘔吐.CT・UGI・GIFにより十二指腸球部に直径3 cmの嵌頓結石を確認し,2回のEHLにより結石を破砕しイレウスを解除しえた.胆石イレウスのうち十二指腸球部に嵌頓し,胃の排出障害をきたした場合Bouveret's syndromeと呼ばれ,本邦では自験例を含め9例のみの報告であり極めてまれである.従来の8症例は全て開腹術が施行されており,EHLは負担も少なく全麻ハイリスク症例には有効な治療法といえる.
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市川 剛, 上西 崇弘, 広橋 一裕, 田中 宏, 山本 隆嗣, 首藤 太一, 竹村 茂一, 田中 肖吾, 酒部 克, 山本 訓史, はい ...
2005 年 102 巻 10 号 p.
1299-1304
発行日: 2005年
公開日: 2005/10/05
ジャーナル
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症例は72歳,女性.C型肝炎に対する経過観察中,肝内に径2 cmの占拠性病変を指摘された.肝細胞癌または肝内胆管癌の診断の下,肝動脈塞栓術を施行したが効果不十分であったため,開腹下マイクロ波凝固療法(MCT)を施行したところ,術後長期無再発生存を得た.なお肝生検の結果,肝内胆管癌と診断された.リンパ節転移のない小型腫瘤形成型肝内胆管癌ではMCTも治療法の一つになりうると考えられた.
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山田 聡志, 伊藤 晶子, 良田 裕平, 三浦 努, 関 慶一, 柳 雅彦, 薄田 浩幸, 江村 巌, 高橋 達
2005 年 102 巻 10 号 p.
1305-1314
発行日: 2005年
公開日: 2005/10/05
ジャーナル
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Enteropathy type T cell lymphomaの2例を経験した.症例1は穿孔による汎発性腹膜炎で発症,上部消化管内視鏡検査にて十二指腸に腫瘍によるVater乳頭の破壊所見と隆起,潰瘍性病変を認めた.症例2は大腸から直腸に広範な浮腫を認め,両症例とも生検にて確診し得た.症例1は保存的治療にて第49病日に死亡,症例2は化学療法にて粘膜浮腫の改善を認めたが,約3カ月後死亡した.
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秋元 正年, 鎌田 敦志, 阿部 福光, 佐藤 眞, 渡辺 純夫, 南條 博
2005 年 102 巻 10 号 p.
1315-1320
発行日: 2005年
公開日: 2005/10/05
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67歳男性.下腹部痛,下血のため入院.大腸内視鏡検査では粘膜壊死,注腸X線検査では直腸からS状結腸に拇指圧痕像をそれぞれ認め壊死型虚血性大腸炎と診断した.腹膜刺激症状を呈さず,高カロリー輸液にて症状は改善したが,経過中,S状結腸の高度狭窄,S状結腸・小腸瘻を認め待期的に直腸前方切除術,小腸部分切除術を施行した.S状結腸・小腸に瘻孔を形成した壊死型虚血性大腸炎は極めてまれな症例と考えられた.
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高氏 修平, 松本 昭範, 柴田 直美, 吉田 暁正, 折居 史佳, 藤井 常志, 垂石 正樹, 三代川 斉之
2005 年 102 巻 10 号 p.
1321-1326
発行日: 2005年
公開日: 2005/10/05
ジャーナル
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患者は78歳の女性.15年前に左上顎歯肉部の悪性黒色腫の手術の既往あり.胆道系酵素優位の肝障害のため入院.腹部超音波検査で肝内に多発する嚢胞性病変あり,CTで嚢胞内に液面形成と,嚢胞壁に造影効果を認めた.肝生検を行い,悪性黒色腫と診断した.左副腎,頸部リンパ節,胸椎にも同様の病変が見られたが,全身の皮膚,上顎歯肉部,消化管,眼窩に原発巣はなかった.本症例は悪性黒色腫術後15年目に転移再発した点,嚢胞様の肝転移をきたした点で極めて貴重な症例であり報告する.
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西本 哲郎, 桐山 和雄, 籔 道弘, 加藤 貴代, 山本 幸子, 姫野 誠一
2005 年 102 巻 10 号 p.
1327-1332
発行日: 2005年
公開日: 2005/10/05
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症例は68歳男性.平成10年S状結腸癌にて結腸部分切除術施行.平成14年6月肺転移を指摘され,8月肺部分切除術と術後に5-FU/LV療法が施行された.平成15年1月,肝機能異常を発症.抗核抗体高値と,画像上膵胆管系の不整狭窄,組織上門脈域の強い線維化を認めた.硬化性胆管炎と診断された.ステロイドパルス療法など施行も,約5カ月の経過で肝不全に陥り永眠された.5-FU/LV投与と自己免疫機序が発症要因と推測する.
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中山 新士, 久保田 佳嗣, 山本 伸, 今井 義仁, 田橋 賢也, 古川 富紀子, 川村 梨那子, 岡崎 和一
2005 年 102 巻 10 号 p.
1333-1338
発行日: 2005年
公開日: 2005/10/05
ジャーナル
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症例は48歳の女性.慢性膵炎にて経過観察中に左側胸水精査目的で入院した.MRCPで膵尾部に径1 cmの嚢胞を認め,左胸腔に連続する液体貯留(瘻孔)が描出された.ERCPで膵尾部の嚢胞から左胸腔への造影剤の漏出を確認した.経鼻膵管ドレナージ2週間,膵管ステント留置18週間の計20週間の内視鏡的膵管ドレナージにより治癒した.MRCPによる術前情報が,内視鏡的膵管ドレナージカテーテルの留置部位の決定やチューブ径の選択に有用であった.また,経乳頭的ドレナージ術は膵液瘻の有効な治療法であると考えられた.
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