急性肝炎症例, 特に重症化および遷延化症例に対し, 血清ヒト肝細胞増殖因子 (human hepatocyte growth factor: hHGF) について検討した. 当院における急性ウイルス肝炎症例63例のhHGF値を測定し, 原因ウイルス別, さらにhepaplastintest40%未満の重症化症例, aminotransferaseの正常化に13週以上を要した遷延化症例について, 病態との相関関係を解析した. その結果, A型, B型, C型肝炎ウイルスの型によって急性肝炎急性期のhHGF値に差はなかった (
p<.60). 一方, hepaplastintestとhHGF値は相関を示し (
p<.01), 重症化症例では非重症化症例に比し有意に高値を示すが (
p<.001), 肝機能の改善に伴い正常化した. しかし, 遷延化症例のhHGF値では非遷延化症例に比較して, 有意差は示さないが, 急性期より軽度高値にとどまる傾向があった (
p<.47). 以上, hHGFは重症化の指標として有用であり, また肝機能改善期間の指標にもなりうることが示唆された.
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