慢性胃炎の12点生検法により, 加令と共に増加する慢性胃炎性変化の一つと考えられている腸上皮化生について萎縮性胃炎との関係およびその分泌機能の一端について考察を試みた.
その結果, 慢性胃炎における腸上皮化生は萎縮性胃炎の程度と平行して出現し, かつ程度を増していくことが認められた. 又, 腸上皮化生中の杯細胞の占める比率 (杯細胞比) は, 60才以上の高年者群では59才以下の中年者群に比して低下している傾向が認められ, 表在性炎症性変化が存在するとさらに低下する傾向がある. そこで, 杯細胞は, 表在性炎症に際し粘液を分泌すると考えられ, 60才以上の高年者群の分泌機能低下を推測した.
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