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菅野 健太郎
2000 年 97 巻 4 号 p.
407-415
発行日: 2000/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
ヘリコバクター・ピロリ(
HP)は,すくなくとも2つの異なる菌株の全ゲノム構造が明らかにされた最初の細菌である.ゲノム構造の解析や比較によって,
HPは変異に富む細菌でありそれが限られたゲノムサイズにかかわらず環境に適応し生存を可能にする仕組みであると考えられる.本総説では,特に臨床的に問題となる
HPの病原因子の遺伝子や機能,薬剤耐性の分子機構などに焦点を絞って
HPの分子細菌学の最新の知見を紹介し,それによって導かれるいくつかの仮説や今後の研究課題を述べた.
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西尾 浩志, 中澤 三郎, 芳野 純治, 乾 和郎, 若林 貴夫, 奥嶋 一武, 小林 隆, 中村 雄太, 嘉戸 竜一, 渡辺 真也
2000 年 97 巻 4 号 p.
416-425
発行日: 2000/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
化学療法が行われた胃癌26症例に対して超音波内視鏡検査(EUS)による治療効果判定を行った.EUSによる効果判定は胃癌取扱い規約(規約)を準用して腫瘍の最大断面積の縮小率で行い,50%以上の縮小をU-PR,50~-25%の縮小をU-NCとした.その結果,U-PRが11症例,U-NCが15症例であった.規約の効果判定でNCとされた3症例がU-PRと判定された.この3症例は臨床的には明らかな治療効果が認められ,EUSによる効果判定が臨床所見に一致した.U-PRとU-NC症例との間に一般化Wilcoxon検定で累積生存率に差が認められた(p<0.05).EUSによる治療効果判定は規約では評価不可能な病変も含めすべて縮小率で評価が可能であり,客観的な方法である.
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豊田 美幸, 越智 一秀, 南 武志, 大森 美和, 中西 徹, 辻村 崇浩
2000 年 97 巻 4 号 p.
426-431
発行日: 2000/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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3型胃癌の26歳女性の1症例.血清AFP,CEA,CA19-9,CA125が高値を示し,化学療法にて一時的に腫瘍の縮小と各腫瘍マーカーの低下を認めたが,再度腫瘍の増大と各腫瘍マーカーの上昇を認め死亡した.腫瘍組織の免疫染色にてAFP,CEA,CA19-9の局在が明らかとなった.AFP,CEA,CA19-9,CA125の4者が同時に高値を呈し,治療経過に一致してそれらの推移が確認された胃癌症例の本邦での文献的報告は認められず,本邦第1例目と考えられた.
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尾形 靖一郎, 高橋 泰人, 新井 まり子, 飯野 四郎, 佐伯 光明, 佐藤 孝司, 打越 敏之
2000 年 97 巻 4 号 p.
432-437
発行日: 2000/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
症例は67歳女性,タール便を主訴に当院受診.精査にて胃穹窿部後壁に乳頭腺癌を認め,胃全摘術が施行された.組織学的には粘膜固有層にとどまる乳頭腺癌で,その間質に著明なリンパ球浸潤をともなっていた.しかし,
H. pyloriは免疫組織化学染色と培養で陰性,Epstein-Barr virusはin situハイブリダイゼーション法で陰性であった.著明なリンパ球浸潤をともなう胃癌は数%
1)~7)にしかみられず,興味がもたれる症例なので報告する.
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安田 貢, 青木 利佳, 木村 好孝, 中本 次郎, 藤澤 明彦, 坂下 修, 竹内 義員, 梶 雅子, 福家 浩三, 高田 淳子, 大黒 ...
2000 年 97 巻 4 号 p.
438-442
発行日: 2000/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
症例は70歳男性で,6年前に直腸炎の既往あり.平成9年12月,粘血便が増悪し,大腸内視鏡検査にて,直腸および右側横行結腸から中部上行結腸にびまん性の発赤,粗糖,易出血性粘膜が認められた.左側結腸と盲腸は血管透見良好で正常なハウストラであった.臨床像と内視鏡所見より,直腸と右側結腸の一部にskipした潰瘍性大腸炎と診断した.潰瘍性大腸炎におけるこの様な病態はまれであり,若干の文献的考察を加え報告する.
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西村 宏達, 瀬尾 充, 久部 高司, 岡田 光男, 中原 束, 坂本 清人
2000 年 97 巻 4 号 p.
443-448
発行日: 2000/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
症例は19歳女性.主訴は右下肢痛および血性下痢.活動期全大腸炎型の潰瘍性大腸炎(以下,UC)に血栓性静脈炎および肺塞栓症を合併していた.治療としてステロイド経口投与,ウロキナーゼ点滴静注を行い,血性下痢の改善とともに左下肢痛も平行して軽快した.UCに血栓性静脈炎,肺塞栓症の合併はまれであるが血栓塞栓症の治療だけでなく,UCの速やかなコントロールが重要と考えられた.
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伊藤 啓, 結城 豊彦, 石田 一彦, 佐藤 匡, 片倉 芳樹, 平澤 大, 野田 裕, 藤田 直孝, 土屋 誉, 山崎 匡, 宇月 美和, ...
2000 年 97 巻 4 号 p.
449-454
発行日: 2000/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は66歳女性で,嘔気を主訴とし来院.上部消化管内視鏡検査で十二指腸球部から下行脚に,巨大な粘膜下腫瘍を認めた.超音波内視鏡検査では比較的均一な高エコーの中に,無エコー領域,管腔構造の混在を認めた.内視鏡切除は困難と判断し外科的に腫瘍切除を行った.病理組織学的には脂肪組織,ブルンネル腺過形成を主体とするブルンネル腺過誤腫であった.術前の超音波内視鏡像は切除標本の病理学的変化をよく反映しており本症の診断に有用と考えられたので報告した.
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斉藤 次郎, 志和 忠志, 松田 玲圭, 松丸 清, 橋本 正敏, 泉谷 明, 富田 尚彦, 千葉 英子, 川名 一朗, 宮本 一行, 梅村 ...
2000 年 97 巻 4 号 p.
455-459
発行日: 2000/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は23歳男性.早期梅毒による急性肝炎にて入院となったが,CRPの上昇とともに,繰り返す発作性の右季肋部痛をともなっていた.胆道系には原因と考えられる病態は見当たらず,絶食および抗生剤投与により速やかに改善した.同部位に圧痛のみられた早期肝梅毒の報告はあるが,胆石症様の症状をともなった症例はまれと思われ,若干の考察を加えて報告する.
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伊藤 善基, 片山 和宏, 内藤 雅文, 前山 晋吾, 柄川 悟志, 横井 豊彦, 長澤 昌史, 石橋 一伸, 東 正祥, 柏木 徹, 小林 ...
2000 年 97 巻 4 号 p.
460-465
発行日: 2000/04/05
公開日: 2008/02/26
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症例は75歳男性.非B非C型肝硬変にて通院中,肝S6に径15mmの低エコー領域を指摘された.超常磁性酸化鉄造影を含むMRIなどの画像検査と組織診から腺腫様過形成と診断した.同部は経動脈性門脈造影下CT(CTAP)で濃染されたが,腺腫様過形成のCTAPでの濃染の報告はなく,本症例での門脈血流増加の機序は明らかでない.近年CTAPで濃染される他の肝腫瘤性病変も報告されてきており,その臨床的意義は今後検討が必要である.
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間宮 康貴, 金沢 秀典, 楢原 義之, 長田 祐二, 吉本 均, 中塚 雄久, 小泉 信人, 斉藤 整, 多田 教彦, 松坂 聡, 黒田 ...
2000 年 97 巻 4 号 p.
466-471
発行日: 2000/04/05
公開日: 2008/02/26
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症例は63歳男性,肝硬変.門脈血栓性完全閉塞を有しportal hypertensive gastropathy(PHG)からの難治性出血に対しTIPSを施行した.TIPSにより門脈は再開通し,門脈下大静脈圧較差は370mm水柱から30mm水柱へと低下し止血が得られた.術後2年が経過しているがTIPS路は開存しており,その後消化管出血は認めていない.門脈血栓性閉塞例においてもTIPSは可能な場合があり,門脈血栓症による消化管出血の治療法の一つとしてTIPSは有用なことが示唆された.
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藤田 淳, 稲垣 恭孝, 米井 嘉一, 大塚 征爾, 中澤 敦, 塚田 信廣, 鈴木 修, 桐生 恭好, 水野 嘉夫
2000 年 97 巻 4 号 p.
472-477
発行日: 2000/04/05
公開日: 2008/02/26
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症例は45歳男性の特発性ヘモクロマトーシス.皮膚色素沈着,糖尿病,肝線維化,下垂体性腺機能低下を呈しHLAはA11,A31(19),B46,B60(40),Cw1,Cw7でHFE遺伝子変異(C282Y,H63D)を認めなかった.更にHLAの記載のある本邦報告25例につき文献的に検討した結果欧米症例で高率なHLAA3,B7,B14の頻度は本邦症例では極めてまれであり人種差が認められた.
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黒木 光恵, 宇都 浩文, 井戸 章雄, 桑田 剛, 中間 哲文, 落合 俊雅, 堀 剛, 弘野 修一, 林 克裕, 丸塚 浩助, 坪内 博 ...
2000 年 97 巻 4 号 p.
478-483
発行日: 2000/04/05
公開日: 2008/02/26
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症例は73歳,女性.肝に浸潤した胆嚢癌に対して化学療法を行い,2週間後に白血球増多と高力ルシウム血症が出現し,血清中のgranulocyte-colony stimulating factor(G-CSF)とparathyroid hormon related protein(PTHrP)は増加していた.剖検診断は中分化型胆嚢腺癌であった.腫瘍細胞の免疫組織化学染色ではG-CSFが陽性で,樹立した細胞株の培養上清中にG-CSFを検出したが,PTHrPはいずれも検出できなかった,腫瘍随伴症候群の原因として胆嚢癌細胞によるG-CSF産生が示唆され,またPTHrP産生も疑われた.
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森 秀明, 羽木 裕雄, 山川 忠弘, 西川 かおり, 岸野 智則, 深井 利花, 山口 嘉和, 石田 均, 高橋 信一
2000 年 97 巻 4 号 p.
484
発行日: 2000/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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2000 年 97 巻 4 号 p.
487
発行日: 2000年
公開日: 2008/04/21
ジャーナル
フリー
『日消誌』掲載論文(97(3)319-326, 2000)の著者より, 以下のような訂正依頼がありました.
(誤)(訂正前)30~120分まで (訂正前) The number of capsules remaining in the distal stomach from 30min up to 120min was significantly larger in the patients. (P<0.05).
(正)(訂正後)15~120分まで (訂正後) The number of capsules remaining in the distal stomach from 15min up to 120min was significantly larger in the patients.(P<0.05).
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