日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
111 巻, 2 号
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総説
  • 安藤 暢敏
    2014 年 111 巻 2 号 p. 243-252
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    わが国の食道癌根治術は,頸胸腹3領域郭清に至り局所領域制御効果はその限界に達した.食道扁平上皮癌は,化学療法や放射線療法に対する感受性が比較的高く,外科的,非外科的治療を組み合わせた集学的治療modalityが,JCOG食道がんグループを中心に開発されてきた.術前/術後化学療法を比較した最新のJCOG9907の結果を基に,Stage II/IIIに対する標準治療は術前化学療法に替わった.根治的化学放射線療法は外科手術の代替療法として,Stage Iからすべての病期に対する治療選択肢の1つとなっている.欧米での標準治療である術前化学放射線療法が本邦でも受け入れられるかを,術前化学療法と比較検証中である.
今月のテーマ:食道癌集学的治療の現状と展望
  • 浜本 康夫, 北川 雄光
    2014 年 111 巻 2 号 p. 253-259
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    切除可能な胸部食道癌に対する治療は外科的治療を中心に行われてきたが,根治性を高める目的の補助療法も前向き試験として多数検証されている.本邦ではCDDP+5-FU術前療法後の手術が標準治療として普及している一方,海外では術前化学放射線療法が標準治療として確立しており,治療方針に乖離がみられている.国内外の臨床試験結果をレビューし,今後の展望について解説する.
  • 伊藤 芳紀
    2014 年 111 巻 2 号 p. 260-268
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    食道癌に対する根治的化学放射線療法は,臨床試験を通して,切除不能例に対しては標準治療として,切除可能例に対しては食道温存を図ることができる治療選択肢として,提示されるようになっている.化学放射線療法により根治性が高まる一方で,心肺毒性などの遅発性有害事象の問題や遺残・再発例に対する救済治療(救済内視鏡治療,救済手術)の安全性に関する問題も認識されるようになり,さらなる治療成績向上のためにはこれらの対策が重要である.根治的化学放射線療法の現状について,日本で施行された臨床試験の治療成績をまとめ,新規抗癌剤,新規放射線治療技術や放射線治療機器も含めた成績向上を目指した治療開発の状況について解説した.
  • 坪佐 恭宏
    2014 年 111 巻 2 号 p. 269-275
    発行日: 2014年
    公開日: 2014/02/05
    ジャーナル フリー
    食道癌に対する3領域郭清手術が普及し,治療成績は大きく改善した.しかし手術単独での治療成績は限界で,補助療法を組み合わせた集学的治療が主流となっている.一方で3領域郭清のためのアプローチとして胸腔鏡下手術が徐々に普及してきているが,安全性や根治性に対するエビデンスの確立が必要である.食道癌の根治療法として化学放射線療法の実施数も増え,それとともにサルベージ手術の実施数も増加している.術後合併症率や在院死率が高い手術であるが,さまざまな工夫により安全性は高まってきている.手術成績の変遷,胸腔鏡下手術の現状,T4食道癌に対する手術とサルベージ手術について,筆者らの成績も含め概説する.
原著
症例報告
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