日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
114 巻, 8 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
総説
  • 伊佐山 浩通, 中井 陽介, 藤澤 聡郎
    2017 年 114 巻 8 号 p. 1401-1406
    発行日: 2017/08/05
    公開日: 2017/08/05
    ジャーナル フリー

    超音波内視鏡ガイド下胆管ドレナージ(endoscopic ultrasound-guided biliary drainage;EUS-BD)は消化管壁を介して胆道ドレナージを行う手技であり,ERCP困難・不能症例が対象である.内瘻術であるため患者QOLは高く,PTBDと代わり得る手技と考えられている.手技の発展や,高い成功率で膵炎も避けられるために適応は広がりつつある.EUS-BDは癒着のない2つの管腔をつなぐ手技であるため,胆汁や腸管内容物の漏出による腹膜炎などの重篤な偶発症がおきる可能性があるため,導入には慎重な態度が必要であり,術者の教育のみならず施設としても体制を整える必要がある.

今月のテーマ:胆膵内視鏡診療における新たな展開
  • 山下 泰伸, 北野 雅之, 糸永 昌弘
    2017 年 114 巻 8 号 p. 1407-1414
    発行日: 2017/08/05
    公開日: 2017/08/05
    ジャーナル フリー

    超音波内視鏡(EUS)は,他の画像診断に比べ空間分解能が優れており,胆膵領域において小病変の描出における有用性が示されている.第二世代経静脈性超音波造影剤を用いることにより,造影ハーモニックEUSが可能となり,実質染影像が認められるとともに,病変内に流入する微小血管像が連続的に観察され,周りの実質との明瞭なコントラストが得られるようになった.造影を用いることにより,EUSで検出される小病変の診断,特に膵充実性病変あるいは胆囊病変の質的診断,膵囊胞内の壁在結節と粘液塊との鑑別,膵癌および胆囊癌のステージングにおける有用性について多数報告されており,今後,胆膵領域の画像診断において,不可欠な検査手技になることが期待される.

  • 原 和生, 奥野 のぞみ, 桑原 嵩通
    2017 年 114 巻 8 号 p. 1415-1422
    発行日: 2017/08/05
    公開日: 2017/08/05
    ジャーナル フリー

    胆膵領域疾患に対する共焦点レーザー内視鏡の有用性について現状を述べた.共焦点レーザー内視鏡には,直接プローブを押し当て観察するpCLEと,EUS-FNAの穿刺針内に装填して観察を行うnCLEの2種類がある.性状不明の胆管狭窄や膵囊胞性腫瘍に有用性が高いと報告されている.画像の典型像はすでに報告されており,典型的な所見が得られた場合には診断は容易である.今後のデータの蓄積によって,どのような症例が真に有用性が高いのかを証明していく必要がある.

  • 土屋 貴愛, 糸井 隆夫
    2017 年 114 巻 8 号 p. 1423-1435
    発行日: 2017/08/05
    公開日: 2017/08/05
    ジャーナル フリー

    胆道鏡は経口胆道鏡と経皮経肝胆道鏡が,膵管鏡は経口膵管鏡が主な検査法である.経口胆道鏡のうち直接胆道鏡は画像が鮮明で,鉗子口径が太いなどの有用性から改良がなされている.胆道病変の診断は,病変を直接観察し直視下に狙撃生検を施行することで診断能が向上する.膵疾患診断には,膵管内発育し,主膵管拡張をともなうIPMNが良い適応である.治療は通常のERCPでの結石除去困難症例に対し,胆道鏡下でEHLやレーザーを使用した治療の有用性が報告されている.また,ESWLで破砕困難な膵石に対し膵管鏡下に結石が視認できればEHLやレーザーなどを用いて砕石する方法も有用である.偶発症は通常のERCP施行時と同程度に発生するため,十分注意する必要がある.

症例報告
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