日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
97 巻, 3 号
選択された号の論文の11件中1~11を表示しています
  • 船越 顕博, 宮坂 京子
    2000 年 97 巻 3 号 p. 311-318
    発行日: 2000/03/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    肥満,高脂血症,糖尿病は動脈硬化を増悪させるとともに寿命を縮める要因となる.我々は,最近,肥満,糖尿病を自然発症するラットが,遺伝子異常によりCCK-A受容体を全く発現しないことを発見した.肥満,糖尿病等は中年以降に発症する生活習慣病である.それ故欠損そのものが,単独でこれらの病因になっている可能性は考えにくく,CCK-A受容体欠損という病態は生活習慣病発症の増悪因子であるのではないかということが,我々のオリジナルな仮説である.その後,大規模な疫学調査により,CCK-A受容体遺伝子多型が生活習慣病の上流に位置する肥満と有意のかかわりがあることを明らかにすることが出来た.すなわち,CCK-A受容体遺伝子プロモーター領域多型は,肥満(体脂肪増加),血清レプチン,インスリン濃度上昇,胆石症との有意の関連性が示唆された.今後,CCK-A受容体遺伝子のプロモーター領域の多型は肥満,および胆石症の早期発見,予防の一助になると期待される.
  • 鈴木 剛, 山本 佳洋
    2000 年 97 巻 3 号 p. 319-326
    発行日: 2000/03/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    造影剤含有カプセル法は,近位・遠位胃の各機能を経時的に把握し得る可能性がある検査法であるが,カプセルサイズ,質量,摂取カロリーなどが適切かどうかといった基礎検討が必要である.そこで,これらの条件を変更し造影剤含有カプセルの胃内動態を観察した.その結果,造影剤含有カプセルのサイズは00号が,また摂取食物はOKUNOS Aが実用的評価法であると考えられた.また,前記条件による臨床的検討によりFD症例の近位胃・遠位胃の機能障害が観察され,同疾患の診断や薬剤の効果判定の客観的指標として今後の応用も可能であると考えられた.
  • 沖田 将人, 国崎 主税, 黒沢 治樹, 望月 能成, 篠原 健太郎, 根岸 由佳, 山口 茂樹, 嶋田 絋, 渡辺 真一郎
    2000 年 97 巻 3 号 p. 327-330
    発行日: 2000/03/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は61歳の男性で,既往は高血圧のみ.嚥下困難を主訴に発見された食道癌である.入院時凝固機能検査を含め異常はなかった.精査で術前診断はIm,Circ,type 3,A2,N1,Pl0,M0で右開胸開腹胸部食道切除術,胸骨縦切開による3領域郭清術,胸骨亜全胃管再建術を施行した.術後7日間で濃厚赤血球30単位,新鮮凍結血漿90単位を輸血し,炎症反応が消退しないため抗生物質を計7種類使用した.その他は概ね順調に経過していたが,術後13日目より突然PT,APTTが延長しはじめ,15日目にピークに達し,24日目に正常範囲内に戻った.経過中,臨床的に出血症状は見られなかった.Mixing testにより第V因子の出現を知った.後天的に第V因子が出現した症例は8例程の報告を見るがその原因は定かではない.しかし,過去の1報告例以外は出血症状を示さずインヒビターも自然消失している.自然消失する理由は不明だが,臨床的に出血症状を示さないのは血小板内に含有されている第V因子が捕捉を免れるためと考えられている.
  • 由谷 逸朗, 汐見 幹夫, 川端 一史, 大野 恭裕, 井上 良一, 工藤 正俊, 青木 矩彦, 山住 俊晃, 吉川 栄人, 奥野 清隆
    2000 年 97 巻 3 号 p. 331-336
    発行日: 2000/03/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    患者は40歳,男性.心窩部痛のため,当院受診.上部消化管内視鏡検査,腹部CT検査等にてφ約10cmの胃壁外発育型粘膜下腫瘍と診断し手術を施行した.病理組織学的検査では,多角形細胞のびまん性増殖を認め,核分裂像は認めなかった.免疫組織学的検査では,SMA染色・S-100蛋白染色陰性で,CD34染色陽性を示し,組織由来が明らかでない狭義のGastrointestinal stromal tumorと診断した.本疾患の概念については,まだ議論が多く,若干の文献的考察を加え報告する.
  • 中井 誠二, 森田 翼, 内田 善仁, 佐々木 陽介, 鎌野 周平, 渡辺 精四郎, 西岡 幹夫, 合田 文則, 岡田 節雄, 前場 隆志
    2000 年 97 巻 3 号 p. 337-341
    発行日: 2000/03/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は57歳男性.肝膿瘍と診断され入院したが,肝生検の結果,悪性腫瘍が疑われ精査を行ったところ胃に隆起性病変を認めた.胃の生検でも確定診断されず,外科的切除後に胃原発の悪性線維性組織球腫と診断された.加えて化学療法を施行したが効果無く,不幸な転帰をたどった.胃原発例は本症例を含め現在まで7例が報告されているにすぎず,非常にまれな疾患であると考えられた.
  • 吉崎 秀夫, 竹内 和男, 奥田 近夫, 本庶 元, 山本 貴嗣, 櫻井 則男
    2000 年 97 巻 3 号 p. 342-346
    発行日: 2000/03/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    他疾患の経過観察中に肝嚢胞に感染を併発した2症例を経験した.2症例とも腹部超音波では嚢胞内部にスラッジエコーが出現し,単純CTでは内部のdensityの上昇,造影CTでは嚢胞壁の濃染などの所見が認められた,いずれも抗生剤の全身投与に加え嚢胞ドレナージを施行して,炎症は改善した.感染をおこした嚢胞は,6カ月後には縮小あるいは消失していた.
  • 増田 淳一, 大曲 勝久, 野元 健行, 玻座真 博明, 大場 一生, 山口 香苗, 木下 秀樹, 村瀬 邦彦, 片山 明香, 関根 一郎, ...
    2000 年 97 巻 3 号 p. 347-352
    発行日: 2000/03/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は48歳,男性.上顎癌の再発に対する治療中に発熱が出現.好中球を主体とする白血球増多があり,画像診断にて肝S3に径5×3cmの腫瘤を認めた.肝腫瘍生検にて未分化癌の診断を得たが,多発肝内転移および癌性腹膜炎で死亡した.経過中白血球数は50000/μl(好中球93%)まで増加し,血清G-CSFは213pg/mlと高値を示した.剖検にて肝内胆管癌と診断し,免疫組織化学染色にてG-CSF産生腫瘍が示唆された.G-CSF産生肝内胆管癌の報告は本邦3例目であり,発熱をともなう場合には肝膿瘍との鑑別が必要であり,貴重な症例であると考えられた.
  • 土屋 玲, 土屋 嘉昭, 梨本 篤
    2000 年 97 巻 3 号 p. 353-357
    発行日: 2000/03/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は58歳,女性.褐色尿を主訴に近医受診し膵癌の疑いにて当科で精査施行され,慢性膵炎の診断で退院.その後発熱,腹痛を繰り返し4カ月後再度精査を行うが前回と著変なし.血液検査で好酸球,γ-Globulinの上昇を認めAIPを強く疑い開腹下膵生検施行.高度線維化とリンパ球の浸潤・濾胞様集簇を認めAIPと診断.Steriod投与開始後2週目に画像上著明な改善を認めた.AIPの診断には生検による組織診が重要と考えられた.
  • 樋口 良太, 渡邊 文利, 堀尾 嘉昭, 景岡 正信, 岩崎 央彦, 杉本 健, 本田 聡, 甲田 賢治
    2000 年 97 巻 3 号 p. 358-361
    発行日: 2000/03/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は,54歳の女性.腹部超音波検査で,膵体部の低エコー腫瘤と主膵管の拡張を認め精査のため入院.CTで,造影早期に濃染し,内視鏡的逆行性膵管造影では,膵体部に4mmの狭窄像を認めた.膵内分泌腫瘍を疑いながらも小膵癌を否定できず手術が施行された.病理組織学的に,悪性膵内分泌腫瘍であった.本症が膵管造影で狭窄像を示す例はまれで,また,本例は,膵液細胞診で術前に診断できた可能性があり考察した.
  • 女澤 慎一, 本間 久登, 土居 忠, 高田 弘一, 茎津 武大, 西堀 佳樹, 萩原 誠也, 中野 洋一郎, 新津 洋司郎
    2000 年 97 巻 3 号 p. 362-365
    発行日: 2000/03/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は42歳男性.貧血および消化管出血で他医より紹介となる.CTおよび腹部エコー検査で膵頭部の腫大と仮性嚢胞が,造影CTで仮性嚢胞内に動脈瘤の存在が疑われた,血管造影所見では,背側膵動脈に仮性動脈瘤を認めたため,同部位からの出血と考え,マイクロカテーテルを超選択的に挿入し,金属コイルを用いた動脈塞栓術を行った.術後現在まで出血を認めていない.
  • 相原 真理子, 吉田 利明, 日比野 清富, 高木 律子, 水野 真理, 長瀬 文孝, 宮田 充樹, 田中 彰, 春日井 邦夫, 藤内 都, ...
    2000 年 97 巻 3 号 p. 366-368
    発行日: 2000/03/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
feedback
Top