日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
108 巻, 6 号
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総説
  • 八尾 建史, 高木 靖寛, 長浜 孝, 松井 敏幸, 岩下 明徳
    2011 年 108 巻 6 号 p. 887-898
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/06
    ジャーナル フリー
    近年,さまざまな画像強調内視鏡が開発され実際の臨床に応用できるようになった.しかしながら,電気的信号処理に依存した光学的手法を用いているのは,狭帯域光観察narrow-band imaging(NBI)のみである.本方法の原理・臨床効果・臨床応用について概説する.NBIは,415nmと540nmの2波長を中心波長とする青色と緑色の狭帯域光を粘膜に投射し,粘膜表層の微小血管構築像と表面微細構造を明瞭に視覚化する臨床効果を有する.主な上部消化管領域における臨床応用については,消化管のみならず,頭頸部と食道扁平上皮癌の存在診断・質的診断,Barrett食道腺癌の質的診断,慢性胃炎粘膜の腸上皮化生の診断,胃炎と胃腺癌の鑑別診断,早期胃癌の術前境界診断,胃癌と腺腫の鑑別診断における有用性などが報告されている.本方法を内視鏡観察に併用することで,従来の内視鏡観察法では限界があった,微細病変の臨床診断が可能となった.
今月のテーマ:消化器疾患診療における画像診断の進歩
  • 飯沼 元, 三宅 基隆
    2011 年 108 巻 6 号 p. 899-907
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/06
    ジャーナル フリー
    マルチスライスCTの急速な普及により,CT検査は放射線診断の中心的な存在になった.その薄いスライス幅による高速スキャンによって,革命的な画質改善と検査の効率化が達成され,空間分解能に優れた画像データを活用した各種臓器の三次元診断が研究されている.消化管では大腸のCT三次元表示がCT colonographyとして,スクリーニングへの応用が世界的に拡がっている.わが国でも胃や大腸の術前診断におけるCT三次元診断の有用性が認められるようになり,実臨床に導入する施設が増えている.消化管CT三次元診断は簡便に実施可能で,診断画像に客観性・再現性があるため,検査法の標準化が可能である.さらに断層画像を含めた多彩な三次元表示により,効果的な消化管の術前診断に貢献し,スクリーニングへも応用されるようになるであろう.さらなるCT装置と画像処理法の進歩により,デジタル画像の利点を生かしたCT三次元表示は今後の消化管診断において確実に大きな地位を築くと予想される.
  • 飯島 尋子
    2011 年 108 巻 6 号 p. 908-915
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/06
    ジャーナル フリー
    肝臓の硬さ診断は,長年触診法に委ねられてきた.超音波検査は形態診断に有用であるが,2003年頃から超音波弾性イメージング法が臨床応用されるようになった.非侵襲的に硬さを診断する方法がelastographyであり手法には静的と動的方法がある.また最近はMRI elastographyも開発されている.これらの弾性診断法は今後,各種慢性肝疾患の線維化診断として肝生検に代わる可能性も出てきた.インターフェロン治療効果や,発癌予測などに応用されつつある.またSonazoid®造影超音波は脂肪肝からNASHを拾い上げる方法として有用であるが,慢性肝疾患の肝機能診断にも応用できる可能性もある.それぞれの検査法をよく理解し適切な検査をすることが重要である.
  • 今井 康陽, 小来田 幸世, 井倉 技, 澤井 良之, 大濱 日出子, 福田 和人, 関 康, 高村 学, 岡田 真広, 村上 卓道
    2011 年 108 巻 6 号 p. 916-927
    発行日: 2011年
    公開日: 2011/06/06
    ジャーナル フリー
    近年,multidetector-row CT(MDCT),MRIの撮像高速化などの各種画像機器の技術開発は著しく,加えて超音波造影剤ペルフルブタン・Sonazoid®,MRI造影剤Gd-EOB-DTPAの新しい肝特異性造影剤の登場により,形態,血流面からだけでなく,肝網内系や肝細胞機能からも診断が可能となり,肝細胞癌の非侵襲的な画像診断法は飛躍的に進歩した.また,Volume navigation®,Real time virtual sonography®などのmultimodality fusion imagingも肝細胞癌の診断,治療支援に有用性が高い.このように多様化した各診断法の特性を理解し,相補的に組み合わせて肝細胞癌の診断を行うことが重要である.
原著
症例報告
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