日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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76 巻, 9 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
  • 特に消化管出血との関連について
    福田 一雄, 里見 隆彦, 岩崎 正高, 豊永 純, 安元 真武, 江村 武志, 谷川 久一
    1979 年 76 巻 9 号 p. 1743-1750
    発行日: 1979/09/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    門脈圧亢進症48例で血中のendotoxinを経過を追つて測定し,食道静脈瘤の内視鏡所見ならびに上部消化管病変,静脈瘤破綻との関連について検討した.
    2週間以上持続するendotoxemia群では,内視鏡的にみるとred-coloredsignの出現した食道静脈瘤が50%と多く,食道静脈瘤破綻も75%と高い.更にendotoxin陽性群では58.3%にビランを含む消化性潰瘍性病変を認め,陰性例の23.8%に比べ高頻度であつた.食道静脈瘤の破綻にはendotoxinのもつ門脈圧上昇作用あるいはhistamineなどのchemical mediatorを介する局所の循環不全などが関与すると推察された.
  • 螢光抗体法によるIgAおよびSCの検索
    酒井 秀朗, 井戸 健一, 木村 健, 後藤 敦
    1979 年 76 巻 9 号 p. 1751-1756
    発行日: 1979/09/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    我々は胃粘膜における局所免疫の一端を明らかにする目的で本研究を行なつた.対象は正常胃粘膜9例,萎縮性胃炎粘膜15例,胃潰瘍辺縁の再生上皮4例について,SC (Secretory Component)及びIgAの局在について検討を行なつた.結論,1)正常胃粘膜の腺窩上皮にはSCはあまり認められず,萎縮性胃粘膜の腺窩上皮で強く認められる傾向がある.2)正常胃粘膜の腺窩上皮でIgAは殆んど認められないが,萎縮性胃炎粘膜の腺窩上皮ではやや強く認められる傾向がある.3)幽門腺,体部腺,噴門腺でのSC及びIgAとの反応は,正常群では認められず,萎縮群では少数認められた.4)胃潰瘍辺縁の再生上皮ではSC及びIgA共強く認められた.
  • とくにα-L-フコシダーゼの消長と胃潰瘍
    伊藤 喜和
    1979 年 76 巻 9 号 p. 1757-1767
    発行日: 1979/09/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    胃潰瘍形成時における胃α-L-フコシダーゼ活性および胃粘膜糖蛋白について検討した.実験潰瘍はウイスター系雄性ラットにヒスタミン,およびビタミンAを投与し作製した.ヒスタミン投与後早期よりα-L-フコシダーゼ活性は上昇した.ビタミンA投与時には胃壁蛋白結合型フコースの減少と胃液遊離フコースの増加がみられた.またビタミンA大量投与時の胃粘膜のDEAE-カラムクロマト法を行ない糖蛋白分析を行なうと3つの画分に分かれ,第一画分においてフコースの著しい減少がみられた.以上から,α-L-フコシダーゼは胃潰瘍形成時に胃粘膜糖蛋白代謝を司さどり,潰瘍形成に重要な働きをなす攻撃因子の1つと考えられた.
  • 堀江 良秋, 三島 好雄, 武藤 徹一郎, 重松 宏, 山城 守也
    1979 年 76 巻 9 号 p. 1768-1781
    発行日: 1979/09/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    一過性病変14例,潰瘍狭窄形成性病変18例(内obstructive colitis 8例),壊死穿孔性病変13例の阻血性腸病変45例について,発症の原因や誘因として主要血管の閉塞,明らかな血管閉塞のない病変(non-occlu-sive ischemia)の他に腸壁内微小血管閉塞が多くの症例にみとめられた.一過性および壊死性病変では発症は急激であるが,手術後や脳卒中,ショックなど誘因を明らかにできる症例が多いこと,さらに心疾患や動脈硬化性疾患に起因する色々の状態が発症やその進展に重要な影響を与えていることが明らかにされた.潰瘍狭窄性病変は原因の明らかなものが多かつた.以上の検討より,阻血性腸病変の発症機転の一面を理解できるとともに,発症に関しての予測や早期診断も可能であることが示唆された.
  • 楠本 征夫
    1979 年 76 巻 9 号 p. 1782-1792
    発行日: 1979/09/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    長崎県五島富江町の潜在性肝疾患とHBウイルスとの関係を検討した.(1)住民3,521名(5~87歳)中HBs抗原(+)は5.5%,抗体(+)22.0%.抗原陽性率の年齢分布は20代の10.9%を頂点とし以後減少した.(2)20歳以下のHBウイルス感染者の30%はCarrierとなる.(3)抗原(+)73名の追跡で64名が陽性持続,9名が抗体転化,陰転,不定を示した.(4)家族調査で抗原集積家族は母子感染,その他は水平感染が推定された.(5)抗原陽性は肝疾患家族歴(+)25.2%,既往歴(+)16.5%,肝機能異常(+)27.3%と高率であつた.(6)組織像を確認した肝癌1,肝硬変4,慢性肝炎4,肝線維症1例でHBs抗原(+)であつた.以上のごとく肝疾患の原因の一つにHBウイルス関与が強く示唆された.
  • 肝親和性色素との結合能および色素間の競合について
    杉本 元信
    1979 年 76 巻 9 号 p. 1793-1801
    発行日: 1979/09/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肝の色素取り込み機構を明らかにする目的で,rat肝ligandinを抽出精製しagarose beadsに結合させ,種々の肝親和性色素を用い親和性chromatographyの手法を応用して検討した.その結果,BSPとalbuminとの結合力はligandinとの結合力に較べ約3倍強い.ligandinにおいて2倍mol量までのICG, BSP,bilirubin各色素は競合を示さず,ICG, BSPは10倍mol量までの負荷でも競合を示さない,等molのalbumiu溶液中ではICG, BSP, bilirubinの順の強さでligandinと結合する,などのことが確められた.ligandinの色素親和力はalbuminより弱く,また肝の色素排泄機構における各色素間の競合はligandinにおける競合ではないと考えられる.
  • 国政 徹明, 住谷 彰夫, 山下 征紀, 竹崎 英一, 竹 本学, 松尾 信孝, 盛生 宏一, 中西 敏夫, 橋本 久勝, 川上 広育, 三 ...
    1979 年 76 巻 9 号 p. 1802-1808
    発行日: 1979/09/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    健康成人および各種肝疾患において血清γ-GTP値の性差を年齢別に比較検討した.健康成人の40歳以下では女性の血清γ-GTP値は男性より有意に低値であり,50歳以上では男女間に殆んど差を認めなかつた.女性の40歳以下と50歳以上では前者で有意に低値を示した.急性肝炎,慢性肝炎,肝硬変症でも健康成人と同様に若年女性では男性および高齢女性より低値を示した.血清γ-GTP高値の高齢女性肝硬変症に外因性Estrogen:Ethinyl Estradiolを投与すると血清γ-GTP値は下降し,中止すると再上昇した.
    以上の結果よりEstrogenと血清γ-GTP値の抑制との関連性を示唆する所見を得た.
  • 溝口 靖紘, 志 波孝, 東森 俊博, 大西 文明, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 森沢 成司
    1979 年 76 巻 9 号 p. 1809-1814
    発行日: 1979/09/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    薬物アレルギー性肝炎患者6例の末梢血リンパ球に起因薬物と肝特異抗原分画を添加してin vitroで刺激すると,感作リンパ球が活性化され,培養上清中にmacrophage activating factor(MAF)の活性が検出された.このMAFを含む培養上清をモルモットの腹腔浸出macrophage(mφ)に添加培養後,mφを分離し,分離モルモット肝細胞と混合培養して,肝細胞障害性を3H-L-ornithine放射活性のアルブミンのとりこみで検討した.その結果,起因薬物によつてリンパ球幼若化反応が認められた症例全例にMAFの形成が認められ,それによつて活性化されたmφは分離肝細胞におけるアルブミン生合成を抑制した.以上の成績から薬物アレルギー性肝炎における免疫学的肝障害に活性化mφを介する肝障害機構がある可能性が示唆された.
  • 北見 啓之
    1979 年 76 巻 9 号 p. 1815-1825
    発行日: 1979/09/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    リンパ球刺激試験により起因薬剤を明らかにし,診断を確定した薬剤過敏性肝障害の170例について臨床的観察を行なつた.起因薬剤の1/3は抗生物質であり,30歳台を頂点とする年齢分布があり,性差はみられなかつた.82%の例が投薬後8週以内に発病し,初発症状には黄疸,発熱,胃腸症状が多く,検査成績では白血球増多と好酸球増多が多く,transaminaseの上昇は軽度であつたが,ALPの上昇は比較的高度であつた.80%の例では12週以内に治癒したが,transaminaseとALPの最高値を示した時期が一致した例では治癒期間が短縮していた.8例が広範性あるいは亜広範性肝壊死により死亡した.
  • 渡辺 明治, 芳原 準男, 長島 秀夫
    1979 年 76 巻 9 号 p. 1826-1835
    発行日: 1979/09/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Sprague-Dawley系ラットを,0.1%または0.05% Azathioprine (AZP)含有粉末飼料で3~4週間飼育すると,血清γ-Glutamyl transpeptidase (γ-GTP)とAlkaline phosphatase (A1-Pase)活性が増加し,肝臓は硬化,腫大し,その表面は細穎粒状を呈した.小葉中心部の肝細胞壊死とミトコンドリアの増生と異形性が観察された.またAZPの代謝物質である6-Mercaptopurine (6-MP)と6-Thioinosine ribose (TIR)を0.1~0.03%含有する粉末飼料で飼育しても,AZPと類似の生化学的,形態学的変化を伴う肝障害がみられた.還元型グルタチオン(GSH)の投与は,AZP投与による急性ならびに慢性肝障害を軽減させず,また6-MPの分解酵素Xanthine oxidaseの阻害剤4-Hydroxypyrazole (3,4-)pyrimidine (HPP)の経口投与でも,AZPとくに6-MP投与後の急性肝障害を増強させた.
  • HBs抗原と肝硬変の合併について
    木村 洸, 賀古 真, 鳥居 正男, 高築 勝義, 藤原 研司, 堺 隆弘, 遠藤 康夫, 鈴木 宏, 織田 敏次
    1979 年 76 巻 9 号 p. 1836-1841
    発行日: 1979/09/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    最近15年間の東大第一内科における原発性肝細胞癌患者59例を対象に,肝硬変とHBs抗原との関連性を検討した.
    HBs抗原は,肝硬変合併群49例では,血清に30%,組織に46%の陽性率が認められたが,非合併群10例では,血清,組織のいずれにも検出されなかつた.両群間に家族歴,診断時平均年齢,臨床症状,肝機能検査成績,診断以降の生存期間,死因,剖検所見に差がみられたが,診断時の平均年齢は,HBs抗原の有無に関係し,HBs抗原陽性群は発癌年齢も低い.その他は肝硬変の有無に基づくものと推定された.
    したがつて,HBウイルスは,肝硬変のない肝では原発性肝細胞癌の発癌に関連した主要因とは考えにくい.また,HBウイルスに関係した肝硬変では,肝硬変とあいまつて発癌に関与すると推定された.
  • 膵肝胆系疾患の膵外分泌の評価とP-S試験との相関性
    井久保 伊登子, 原田 英雄, 春藤 哲正, 武田 正彦, 矢部 英幸, 花房 英二, 木村 郁郎
    1979 年 76 巻 9 号 p. 1842-1850
    発行日: 1979/09/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    PFTの診断的価値評価のため正常29例,膵胆肝疾患220例にPFTを実施し,116例でP-S試験との相関性を検討して以下の結論を得た.1)PFTは慢性膵炎,膵石症,膵臓癌,肝胆疾患で有意に低下した.2)PFTはP-S試験3因子全てと有意の相関性を示した.3)P-S試験1,2,3因子低下群のPFT異常率は各々62.5%,92%,100%であつた.4)P-S試験1因子でも中等度以上に低下した例の殆んど全てがPFT異常であつたが,軽度低下例では半数のみが異常を示した.5)P-S試験3因子共正常でPFT異常の2例は十二指腸液中のキモトリプシンのみが低下していた.これらの結果からPFTは中等度以上の膵外分泌機能障害を知るための簡便で有用な検査法と考えられる.
  • 武藤 徹一郎, 上谷 潤二郎, 沢田 俊夫, 小西 文雄, 草間 悟, 梅田 典嗣, 池田 栄一
    1979 年 76 巻 9 号 p. 1851-1856
    発行日: 1979/09/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 長谷田 祐一, 森 清男, 佐藤 隆, 小野江 為久, 三輪 梅夫, 河村 洋一, 大家 他喜雄, 木下 弥栄, 山本 誠, 竹田 亮祐
    1979 年 76 巻 9 号 p. 1857-1863
    発行日: 1979/09/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 本間 清和, 斉藤 征史, 丹羽 正之, 佐藤 幸示, 小越 和栄, 前田 政克, 赤井 貞彦, 鈴木 正武
    1979 年 76 巻 9 号 p. 1864-1870
    発行日: 1979/09/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 川崎 智子, 武田 和久, 植田 昌敏, 渡辺 明治, 渡辺 誠, 島村 淳之輔, 岡崎 悟, 三谷 健, 中田 憲一, 遠藤 浩, 長島 ...
    1979 年 76 巻 9 号 p. 1871-1877
    発行日: 1979/09/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 武知 桂史, 時光 直樹, 田島 恒雄, 亀谷 正明, 辻 孝, 大高 征, 高桑 薫, 岡野 康正, 中村 茂義, 中島 鉄男, 松下 捷 ...
    1979 年 76 巻 9 号 p. 1878-1882
    発行日: 1979/09/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    A case of hepatic artery aneurysm in a 78 year-old female is reported. She was admitted to our hospital with chief complaint of epigastric discomfort and jaundice. Laboratory findings showed obstructive jaundice and inflammation. Abdominal plain film revealed a calcification in diameter of 1.7×1.2cm.
    According to Upper GI series and PTC, the calcification had no relation to upper GI tract, common bile duct and gallbladder. Angiographic examination disclosed hepatic artery aneurysm with calcification on hepatic artery division of coeliac artery.
    Hepatic artery aneurysm is rare. This is the 14th case reported in Japanese literature according to our survey.
  • 三橋 利温, 村山 正昭, 安海 義曜, 五嶋 武, 西元寺 克礼, 本多 純, 高橋 唯郎, 岡部 治弥, 平井 三郎, 佐藤 光史
    1979 年 76 巻 9 号 p. 1883-1887
    発行日: 1979/09/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 藤本 茂, 石神 博昭, 宮崎 勝, 伊藤 健次郎
    1979 年 76 巻 9 号 p. 1888
    発行日: 1979/09/05
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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