non-ulcer dyspepsia 患者 (NUD群) 144例を対象とし, その病態に関して胃酸分泌や胃排出能(GE) などの胃生理機能および
Helicobacter pylori (H. pylori) 感染について検討し, 無症候群34例と比較した. その結果, NUD群ではGEの有意な遅延と electrogastrography (EGG) で約半数に食後期の周波数に異常を認めたが, 胃酸および gastrin 分泌能,
H. pylori 陽性率に有意差を認めなかった. 臨床症状による subclass 別では dysmotility-like dyspepsia はGE遅延が著明であり, reflux-like dyspepsia は胃酸分泌能が他群より高く, GE遅延も認められた. cisapride 7.5mg/日, 4週間経口投与はGE遅延群において, 症状スコアおよびGEの改善に有用であった. 以上より, NUDにおける subclass 分類はその背景病態をある程度反映し, 特にdysmotility-like dyspepsia の病態には食後期の胃運動機能異常が密接に関連しており, またその検出に胃排出能検査およびEGGは有用であると考えられた.
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