中鎖脂肪 (MCT) の吸収および代謝利用を長鎖脂肪 (LCT) のそれと比較する目的で, 正常ならびにアルコールにより肝障害を起させたシロネズミに1位の炭素を
14Cで標識したMCTとLCTを経口および経静脈的に投与して, 吸収およびその後の代謝を
14CO
2呼出速度,
14Cの組織分布その他から検討し, 次の成績を得た. すなわちMCTの吸収は容易で速やかであり, 胆汁の影響が少ない. また, 胆汁酸とリパーゼの存在下では, 盲腸からも吸収される. アルコールによる急性肝障害ネズミでは, MCT•LCTともに著明な吸収利用障害を示し, 寒天で固化して調製した実験飼料を与えて作つた慢性アルコール障害ネズミでは, MCTの吸収利用はLCTと異なり, ほとんど障害されなかつた.
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