日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
113 巻 , 1 号
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特別寄稿―第101回総会会長講演―
  • 下瀬川 徹
    2016 年 113 巻 1 号 p. 1-10
    発行日: 2016/01/05
    公開日: 2016/01/05
    ジャーナル フリー
    慢性膵炎とは,非可逆性かつ進行性の膵の慢性炎症であり,膵実質の脱落と線維化を特徴とし,進行すると実質荒廃による膵内外分泌不全をもたらす疾患と定義されてきた.この定義に基づいた診断基準が長い間用いられ,その結果,進行した慢性膵炎を診断することに主眼が置かれてきた.慢性膵炎患者の平均寿命は短く,膵癌罹患率が高い実態が明らかにされており,早期診断と早期介入による病態の進行阻止が望まれる.遺伝性膵炎の原因遺伝子の同定,特発性膵炎の遺伝的背景の解明や膵星細胞の発見と機能の理解は,早期診断とともに,新しい治療法の可能性を示している.2009年に本邦から早期慢性膵炎の診断基準が提唱され,診断基準に基づいた早期患者群の病態や予後について実態が明らかとなりつつある.
総説
  • 榎本 平之, 西口 修平
    2016 年 113 巻 1 号 p. 11-19
    発行日: 2016/01/05
    公開日: 2016/01/05
    ジャーナル フリー
    C型肝炎ウイルスの発見から30年弱を経た.近年インターフェロン(IFN)治療は進化を遂げ,1型高ウイルス量のいわゆる「難治例」でもプロテアーゼ阻害薬の併用により90%近いウイルス排除(SVR)が可能となった.一方IFNを用いない経口薬のみでのHCV排除が開発され,その優れた治療成績が報告されている.そして今や経口薬がC型肝炎の標準治療であると世界的に認識されつつある.しかしながら高額な医療費や薬剤耐性,治療不成功例への対応,またSVR後の発がんを含む長期経過の評価や非代償期への治療など,まだ今後解決すべき課題が残っている.
今月のテーマ:HCV感染症撲滅へのマイルストーン
  • 坂本 直哉
    2016 年 113 巻 1 号 p. 20-24
    発行日: 2016/01/05
    公開日: 2016/01/05
    ジャーナル フリー
    Direct-acting antiviral(DAA)の登場により,HCV感染症の治療はインターフェロン(IFN)フリー治療が第1選択となり,多くの患者に治療適応が広がった.Daclatasvir+Asunaprevir併用療法により,宿主因子に影響されず高い治療効果を得られるようになったが,薬剤耐性変異ウイルス(RAV)の影響が大きいことが問題となった.核酸型ポリメラーゼ阻害薬Sofosbuvirは,複数のHCV genotypeに対して安定した効果を示す.Genotype 2型に対して,Ribavirinと12週併用投与することで,96.7%のSVRが得られる.Genotype 1型に対してはSofosbuvirとNS5A阻害薬Ledipasvirの複合錠の12週投与により100%の著効率を達成している.今後急速に変わっていく治療の動向を把握しつつ,認識を一新する必要がある.
  • 茶山 一彰
    2016 年 113 巻 1 号 p. 25-28
    発行日: 2016/01/05
    公開日: 2016/01/05
    ジャーナル フリー
    C型肝炎の治療はdirect acting antivirals(DAAs)の開発により画期的に改良され,100%に近い治癒が見込めるような治療が開発されてきている.わが国においては,患者が高齢化していることもあり,自然減少と相まって急速な患者の減少が期待されている.それでは,わが国,あるいは世界でHCVは根絶されるのであろうか? 感染を根絶するには,①新規感染の防止,②治療を受けていない患者の発見と治療への誘導,③根治に至る薬物療法の実施と改善の3点が必要である.この稿ではこれらの各点の現状と課題について考察を加える.
  • 黒崎 雅之, 泉 並木
    2016 年 113 巻 1 号 p. 29-35
    発行日: 2016/01/05
    公開日: 2016/01/05
    ジャーナル フリー
    インターフェロン治療によるC型肝炎ウイルス排除は,肝線維化を改善し,肝細胞がんの発生を抑制し,生命予後を改善してきた.直接作用型抗ウイルス剤による新規治療では,高齢者や線維化進展例でもウイルス排除に成功するため,これからのウイルス排除成功例は,ますます高齢化し,肝硬変の占める比率が大幅に増加すると見込まれる.これらの症例で肝線維化の改善,発がんの抑制がどの程度得られるのかは未知数である.ウイルス排除後の肝線維化評価や,肝硬変に対するトータルマネージメントはますます重要となり,発がんリスク評価に基づく適切な肝細胞がんサーベイランス方法の確立,あるいは治療介入可能な因子の是正が重要な課題である.
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