Bacterial translocation (BT) は続発性膵感染の主因とされるが, 臨床的な関与の程度は明らかでない. そこで, 重症急性膵炎45例で, 持続動注療法 (CRAI), 選択的消化管浄化法と経腸栄養 (SDD/EN) の治療成績から関与の程度を明らかにした. CRAI, SDD/EN非施行17例の感染率58.8%, 死亡率23.5%で膵感染の起因菌はmethicillin-resistant
Staphylococcus aureus (MRSA) が多かった. 一方, 両施行16例の感染死亡は1例のみで, 死亡例は感染併発前に便から緑膿菌, 肺炎杆菌が証明され, 剖検時に膵からこれらの菌とともにMRSAが証明された. CRAI, SDD/ENが続発性膵感染を抑止したことはBTの関与を強く示唆する結果と考える. しかし, 他の感染ルート, 耐性菌出現も考慮しなくてはならない.
抄録全体を表示