日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
101 巻, 5 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
総説—第45回大会から—
  • —その実態と提言—
    寺野 彰
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 101 巻 5 号 p. 471-476
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/05/13
    ジャーナル フリー
    我が国の医療事故発生は日ごとに増加の傾向にあり, 国民の厳しい批判を浴びている. 消化器病領域においても, 内視鏡治療, 肝癌治療などをめぐって問題が発生してきている. 最近の特徴として医療事故が刑事裁判化してきていることがあげられる. 医師法第21条に基づく異状死の報告義務も, 医療事故の扱いとして注目されている. このような傾向の中で, 学会としてどのような対応をすべきか, 専門医の養成という面で大きな課題を担っている. 本論文は, 第45回日本消化器病学会大会の会長講演の記録である.
今月のテーマ : 早期大腸癌—診断・治療の進歩—
  • —診断の進歩—
    鶴田 修
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 101 巻 5 号 p. 477-485
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/05/13
    ジャーナル フリー
    表面平坦・陥凹型大腸腫瘍の存在は日本のみならず欧米でも認められはじめているが, 種々の検討によると大腸癌の発育・進展の肉眼的初期像としてはやはり隆起型の方が多く, 主経路としての平坦・陥凹型の重要性には疑問を投げかける意見も多い. しかし, 平坦・陥凹型腫瘍は確実に存在し他形態の癌と比べ, より小サイズのうちにsmへ浸潤する病変が多いのも事実である. 臨床的にはその存在を意識しながら注意深い検査法で発見に努めなければならない. 病変の発見, 特に平坦・陥凹型には拡大内視鏡を併用した内視鏡検査が有用である. 深達度診断には形態を問わず従来のX線, 通常内視鏡検査のみでなく拡大内視鏡, 超音波内視鏡検査の併用が有用である.
  • —内科治療の進歩—
    田中 信治, 岡 志郎, 茶山 一彰
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 101 巻 5 号 p. 486-494
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/05/13
    ジャーナル フリー
    早期大腸癌に対する内科治療の進歩について, 内視鏡治療と化学予防を中心に概説した. 内視鏡的粘膜切除術 (EMR) の手技が大腸領域にも導入され処置具などの改良もともない, 表面型腫瘍や大きな結節集族病変などのEMRが可能となった. さらに, 他の消化管癌とは異なる大腸癌の病理組織学的特徴も明らかになり, 分割EMRやsm癌への内視鏡治療の適応拡大が積極的に行われている. 最近, 切開・剥離EMRが登場し, 従来のスネアEMR法では一括切除できない大きな腫瘍にも一括切除が可能となったが, 大腸の解剖学的および生理学的特性, 手技の難易度や安全性, また早期大腸癌の病理学的特性などの点で解決すべき問題が多く, 現時点ではまだ一般的な手技ではない. 一方, COX-2 inhibitorが大腸腫瘍の化学予防に有効であるとともに, 大腸癌の浸潤・転移能も抑制することが明らかになってきており, 今後の臨床応用が期待される.
  • 渡邊 昌彦
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 101 巻 5 号 p. 495-501
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/05/13
    ジャーナル フリー
    早期大腸癌に対する内視鏡外科は, 胆石症の次に急速に普及した. その理由は大腸の血管系が単純であり内視鏡下の処理が容易で, 大腸自体が弾力性に富んでいるため小さな創から体外に露出可能であったためである. 従来開腹手術が行われたような早期癌は内視鏡外科の良い適応と考えられた. その結果腸切除でも内視鏡外科の低侵襲性は損なわれることはなく, 予後も良好なため現在では早期大腸癌の標準的治療と認知されるに至った. 一方, 進行癌においては当初欧米で創部再発が頻発したため普及か一時的に滞ったが, その後技術の稚拙さに起因することが明らかとなった. したがって, 現在各国で開腹と比較する無作為臨床試験が行われている.
原著
  • 古屋 智規, 添野 武彦, 小松 眞史
    原稿種別: その他
    専門分野: その他
    2004 年 101 巻 5 号 p. 502-509
    発行日: 2004年
    公開日: 2005/05/13
    ジャーナル フリー
    Bacterial translocation (BT) は続発性膵感染の主因とされるが, 臨床的な関与の程度は明らかでない. そこで, 重症急性膵炎45例で, 持続動注療法 (CRAI), 選択的消化管浄化法と経腸栄養 (SDD/EN) の治療成績から関与の程度を明らかにした. CRAI, SDD/EN非施行17例の感染率58.8%, 死亡率23.5%で膵感染の起因菌はmethicillin-resistant Staphylococcus aureus (MRSA) が多かった. 一方, 両施行16例の感染死亡は1例のみで, 死亡例は感染併発前に便から緑膿菌, 肺炎杆菌が証明され, 剖検時に膵からこれらの菌とともにMRSAが証明された. CRAI, SDD/ENが続発性膵感染を抑止したことはBTの関与を強く示唆する結果と考える. しかし, 他の感染ルート, 耐性菌出現も考慮しなくてはならない.
症例報告
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