隆起あるいは陥凹を示さない早期胃癌の診断を目的として, 胃癌症例70例について, 胃壁, 粘膜皺襞, 粘膜微細X線像の各所見を分類した.各所見の出現頻度を, 同じ基準で検討した萎縮性胃炎30症例と比較した.
胃癌症例に多くみられた所見は, 胃壁の鼡歯状, 粘膜皺襞では巾の増大, 念珠状, 鼡歯状, 粘膜微細X線像では小顆粒状, 島状, 不整網目状, 波打状, 繊細線維状である.萎縮性胃炎症例に多くみられた所見は, 網目状, 疣状であつた.
この結果を採点法により検討した結果, 胃癌と萎縮性胃炎を区別することが可能であつた.胃癌症例に多くみられた小顆粒状, 島状, 不整網目状, 波打状, 繊細線維状の各所見は隆起あるいは陥凹を示さない早期胃癌診断微細X線像の解析の可能性を示唆するものと考える.
抄録全体を表示