日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
69 巻, 11 号
選択された号の論文の9件中1~9を表示しています
  • 加藤 活大
    1972 年 69 巻 11 号 p. 1137-1150
    発行日: 1972/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    肝障害時のXylitol代謝を臨床的, 実験的にGlucose代謝との関連のもとに検討した. 肝障害時セにはXylitol代謝も障害されたが, これはGlucose代謝障害により二次的に生ずるだけでなく, XylitolからのGluconeogenesisが低下することより, Xylitol代謝の初期段階の障害とも密接な関連を有すると考えられる. 一方, 動物実験で肝障害時においてもXylitol代謝はGlucose代謝よりも速かであり, Glucose共存の影響を受けにくいこと, また, 臨床的にもXylitolは尿中に少量しか排泄されず, 体内でほぼすべてが代謝されることも確認した.さらに, Xylitol負荷後の血清Glucose濃度の変動に関しても実験成績をもとに若干の考察を加えた.
  • 長町 幸雄
    1972 年 69 巻 11 号 p. 1151-1162
    発行日: 1972/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    実験的Cinchophen胃潰瘍の成因として胃液分泌の役割を検討した. Cinchophenを犬に大量静注投与すると, 胃底腺領域にビラン・出血を発生するが, この場合の胃液ペプシン分泌およびHCI分泌は著明に減少し胃粘膜内ペプシノーゲンは逆に著しく増加することがわかつた.この種の急性実験的胃潰瘍の成因における胃液の意義は, 胃内腔に分泌されたものだけを調べても完全とは言えず, ペプシンが粘膜内で産生される段階から胃液となつて胃内腔に出る迄を連続的に調べる必要性を認めた. 本橋ではstress型の急性ビランや出血の原因を胃粘膜内のdigestionで説明し, ことに成因として胃液構成成分のうちのペプシンを重視した.胃粘膜内ペプシン残存率 (PRR) を計算すると粘膜障害の程度を知る示標となることを確かめ, 実際にHistamine, InsulinおよびDexamethasoneを動物に注射して種々の時間におけるPRRを調べた結果, HistamineおよびInsulinでは無処置動物のPRR値とほぼ同じ値を示した.すなわち, これらの胃液分泌刺激剤によつて胃底腺領域粘膜内のペプシノーゲンが増しても胃液として十分に胃内腔に排泄され, 粘膜内での残存がない訳である.
    他方Dexamethasoneの大量投与では, Cinchophenの場合と同様に著明なPRR増加が認められた.
    以上の結果から, グルココルチコイドを大量に投与した場合には, Cinchophen投与によつて起る内因性のグルココルチコイドの放出による胃液ペプシ、ン分泌動態と類似を示し, 粘膜内に高単位を保つたまま残存しているペプシンと実験的胃粘膜損傷の病態生理には深い関連性が認められた.また副腎皮質ホルモンが生理的に胃液ペプシン分泌調節に主要な役割をもつことが示唆された.
  • 土屋 幸浩
    1972 年 69 巻 11 号 p. 1163-1172
    発行日: 1972/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    著者の施行しているX線テレビ応用の経皮的胆道造影 (肝内胆管穿刺法) は, 安全性と確実性が高く, 広く内科疾患にも応用できる内科的検査法であることを実証した.
    (1) 十二指腸ゾンデを応用することにより, 肝内胆管穿刺が安全かつ確実に行なえる.
    (2) 554例の多数に本法を施行し, 512例 (92.4%) に成功した.特に非閉塞性黄疸には, 51例中36例70.6%の高率に胆管像を得た.
    (3) 主な合併症は胆汁漏出の疑2例, 腹腔内出血1例, 持続性高熱4例, 血圧低下4例, 気胸2例であり, 外科的緊急手術を要したものはなかつた.
  • 西川 博美
    1972 年 69 巻 11 号 p. 1173-1182
    発行日: 1972/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    隆起あるいは陥凹を示さない早期胃癌の診断を目的として, 胃癌症例70例について, 胃壁, 粘膜皺襞, 粘膜微細X線像の各所見を分類した.各所見の出現頻度を, 同じ基準で検討した萎縮性胃炎30症例と比較した.
    胃癌症例に多くみられた所見は, 胃壁の鼡歯状, 粘膜皺襞では巾の増大, 念珠状, 鼡歯状, 粘膜微細X線像では小顆粒状, 島状, 不整網目状, 波打状, 繊細線維状である.萎縮性胃炎症例に多くみられた所見は, 網目状, 疣状であつた.
    この結果を採点法により検討した結果, 胃癌と萎縮性胃炎を区別することが可能であつた.胃癌症例に多くみられた小顆粒状, 島状, 不整網目状, 波打状, 繊細線維状の各所見は隆起あるいは陥凹を示さない早期胃癌診断微細X線像の解析の可能性を示唆するものと考える.
  • 杉浦 光雄, 島 文夫, 市原 荘六, 二川 俊二, 七沢 武, 石田 正統
    1972 年 69 巻 11 号 p. 1183-1190
    発行日: 1972/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 4例のアルコール性肝傷害を中心に
    太田 五六, 北川 鉄人
    1972 年 69 巻 11 号 p. 1191-1196
    発行日: 1972/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    アルコールを主因とする肝炎2例および肝硬変2例の肝内に出現しているMallory体を観察した.これを繊細型と粗剛型にと分けると, 前者を主とする肝3例, 後者を主にする肝1例であつた.粗剛型はRNAを含んだ抗酸性の塩基性蛋白から成り, これを含んだ肝細胞の変性融解が強い.これに対し, 繊細型はピロニン好性も抗酸性もともに乏しいか, または欠除している塩基性蛋白であり, 細胞障害性は粗剛型より軽い.原発性胆汁性肝硬変症とDiethylaminoethoxy hexoestrol剤中毒性肝硬変の肝にもMallory体がみられたが, 組織化学上ではアルコール性のものと相違がない.
  • 第2報マロリー・ワイス症候群
    田中 三千雄, 竹本 忠良, 横山 泉, 近藤 台五郎, 遠藤 光夫, 鈴木 博孝, 矢沢 知海
    1972 年 69 巻 11 号 p. 1197-1204
    発行日: 1972/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    アルコール飲料摂取後の悪心, 枢吐が直接の原因となつたマロリー・ワイス症候群について次の観点から検討した.1) 自験例の臨床, 病理, 2) 本症候群および飲酒による悪心, 嘔吐の発生機序, 3) 本症候群において, 成因として飲酒後の悪心, 嘔吐が占める割り合い, 4) 上部消化管出血の中で本症候群の占める位置, 5) 診断と治療上の問題点.
    従来原因不明とされて来た上部消化管出血の中には, 本症候群が含まれていた可能性は大きい.内視鏡検査の発達とよつて本症候群も比較的診断が容易になつてきたが, ことに飲酒後の嘔吐とひきつづいておこった吐血患者に対しては, 必ず本症候群を念頭に入れて検査をすすめる必要がある.
  • 1972 年 69 巻 11 号 p. 1205-1244
    発行日: 1972/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1972 年 69 巻 11 号 p. 1245-1264
    発行日: 1972/11/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
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