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税所 宏光, 山口 武人
1999 年 96 巻 4 号 p.
369-376
発行日: 1999/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
近年の画像診断の進歩により,年々,膵疾患に関する臨床的な理解が深まるようになってきたが,膵癌をはじめとして,その早期診断は未だに困難な状況にある.この背景には,検診の経済効率など診断技術とは別に一般的な事情もあるが,先端技術の粋を集めた画像診断にかかる期待は大きい.従来の超音波,CT,MRIに加え,最近,らせんCTやMR cholangiopancreatographyが実用化されたほか,核医学方面ではFDG-PETの膵癌検出能が注目される.また,超音波を用いたEUSやIDUSは局所の詳細診断法として評価される.今後,開発されつつある各種造影剤と3D画像技術の応用が大いに期待される.
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山田 剛太郎
1999 年 96 巻 4 号 p.
377-384
発行日: 1999/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
慢性肝炎の新しい組織分類として本邦では新犬山分類が,欧米ではDesmetらの新ヨーロッパ分類ともいうべき新しい分類が相次いで発表されている.C型肝炎ウイルスの血清学的診断が確立され,B型,C型慢性肝疾患のほぼ全経過が明らかにされ,さらには抗ウイルス剤を中心とした治療が広く実施されるようになるとともに慢性肝炎における肝生検の診断的意義も大きく変化してきた.このような時代に即した分類として,いずれの新分類も病変の進展度を線維化のstagingで,壊死・炎症の活動度をgradingに分けて評価する新しい診断基準となっている.診断基準の詳細を紹介するとともに,臨床応用として自験例を用いた若干の検討を供覧した.
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二木 修司, 松林 宏行, 溝上 俊朗, 水口 泰宏, 真田 淳, 武井 和夫, 三輪 一彦, 堀部 俊哉, 新戸 禎哲, 関 知之, 川口 ...
1999 年 96 巻 4 号 p.
385-391
発行日: 1999/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
われわれは十二指腸潰瘍におけるtransforming growth factor-α(以下TGF-α)の役割を解明する目的で,十二指腸潰瘍の内視鏡生検材料を用いて,免疫組織染色によるTGF-α発現の局在と発現時期を潰瘍ステージ別に比較検討した.さらに
Helicobacter pylori(以下
Hp)感染の影響も検討した.TGF-αはブルンネル腺,未熟な腺管および十二指腸上皮に発現を認めたが,十二指腸粘膜の胃上皮化生の部位には認めなかった.TGF-αの発現は潰瘍ステージでは活動期に比して,治癒期から瘢痕期に増強していた.TGF-αの発現は,
Hp感染には影響を受けなかった.
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木岡 清英, 森吉 靖子, 中井 隆志, 佐野 弘治, 青木 哲哉, 倉井 修, 根引 浩子, 大川 清孝, 岡 博子, 針原 重義, 宋 ...
1999 年 96 巻 4 号 p.
392-397
発行日: 1999/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
C型慢性肝炎78例を対象として,インターフェロン(IFN)β投与による高トリグリセリド(TG)血症の出現率とその危険因子について検討した.IFN投与前より高TG血症(血清TG値150mg/d
l以上)を合併していた症例は9%であったが,IFN投与中の血清TG値の平均値が150mg/d
l以上(高TG血症)を示した症例は82%であった.また,IFN投与中に1回でも血清TG値が500mg/d
l以上まで増加した症例は13%存在した.stepwise法による重回帰分析から,IFN投与による高TG血症の危険因子として,投与前血清TG高値,投与前ALT高値,およびIFNβの1日2回投与が考えられた.
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杉浦 敏昭, 岩切 勝彦, 林 良紀, 琴寄 誠, 山田 久木, 中川 義也, 川上 明彦, 坂本 長逸, 小林 正文, 渡 淳, 大國 真 ...
1999 年 96 巻 4 号 p.
398-402
発行日: 1999/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
症例は52歳,女性.胸痛精査のため冠動脈造影検査を施行.左前下行枝7番に90%の狭窄を認め,経皮的冠動脈形成術を施行した.その後も胸痛が持続するため上部消化管を精査.内視鏡検査では特記所見なし.食道内圧検査では,下部食道括約部圧,蠕動性に異常を認めないが,平均下部食道収縮波高は209mmHgと高値を示し,nutcracker esophagusと診断した.狭心症との合併はまれであり,文献的考察を加え報告する.
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小関 啓太, 飯田 聡, 榎本 雅之, 長内 孝之, 山下 俊樹, 大橋 健一, 市川 度, 伊藤 雅史, 仁瓶 善郎, 杉原 健一
1999 年 96 巻 4 号 p.
403-407
発行日: 1999/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
症例は49歳の女性で,4年6カ月前にS状結腸のIs型の腺腫内癌のポリペクトミーが施行された.経過観察中に同部位に降起性病変と肝S3,S8に転移巣を認めた.H2,P2,SE,N2の開腹所見にてS状結腸切除,肝部分切除を施行した.腫瘍は4.2cmで粘膜下進展を主体として正常粘膜に覆われ,中分化腺癌,se,ly3,v1,n2(+)であった.初回ポリペクトミー標本の再検にてsm浸潤とリンパ管侵襲が確認され,癌の遺残による再発と考えられた.
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渡辺 学, 石井 邦彦, 菅野 茂男, 野中 博子, 秋間 道夫
1999 年 96 巻 4 号 p.
408-412
発行日: 1999/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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症例は43歳男性.5歳時に虫垂切除術の既往有り.1995年1月,下腹部痛,発熱,下痢と右側腹部の圧痛をともなう腫瘤精査のため入院.回盲部憩室炎,周囲膿瘍と診断し開腹術を施行した.手術および病理所見では,回盲部に強い炎症性変化をともなう憩室と,遺残虫垂には粘液嚢胞腺癌を認めた.遺残虫垂に発生した粘液嚢胞腺癌は極めてまれな症例と思われ報告した.
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大下 恭弘, 原田 亘, 刈屋 憲次
1999 年 96 巻 4 号 p.
413-417
発行日: 1999/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
症例は60歳,男性.平成8年1月抗核抗体陽性,DNA抗体陽性,LEテスト陽性,持続性蛋白尿,貧血,リンパ球減少を認め,ARAの診断基準でSLEと診断.平成8年3月腹痛出現.腸雑音の低下および腹部X線写真にて小腸ガスと鏡面像を認め,麻痺性イレウスと診断.経口小腸造影検査では上部空腸間に瘻孔を認めた.イレウスの原因がSLEの血管炎と考えられ,プレドニン60mgより開始し,イレウスは改善したが,瘻孔は開存したままであった.
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小田 一郎, 乾 典明, 小野寺 義光, 堀本 正禎, 渡辺 秀樹, 潘 紀良, 辻 寧重, 篠原 正裕, 鈴木 宏明, 藤岡 保範, 佐藤 ...
1999 年 96 巻 4 号 p.
418-422
発行日: 1999/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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胆管原発の悪性リンパ腫はきわめてまれである.我々は,黄疸と肝機能障害を契機に胆管腫瘍が発見され,胆管癌の診断で手術を行ったところ胆管原発の悪性リンパ腫であった58歳,男性の1例を経験した.悪性リンパ腫はBmBsに発生したNon-Hodgkin's lymphoma,diffuse,mixed,small and large cell typeであり,後日剖検を行った結果,手術摘出標本以外にリンパ腫細胞を認めず,胆管原発の悪性リンパ腫と確定診断された.
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新妻 宏文, 石井 元康, 小島 敏明, 菊池 公美子, 鈴木 千晶, 小林 智夫, 五十嵐 勇彦, 真野 浩, 上野 義之, 小林 光樹, ...
1999 年 96 巻 4 号 p.
423-426
発行日: 1999/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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慢性B型肝炎患者を配偶者にもつ女性が,初診時すでに妊娠していたためにワクチンを施行せず妊娠を継続したところ,妊娠中にHBVに感染した.本例はHBV感染前からウイルス学的に経過を観察され,急性B型肝炎の発症前後の臨床データの経過が明らかになった.さらに,妊婦に対するワクチン使用の問題や周産期の急性肝炎の取り扱いの問題をかかえており,Gianotti-Crosti症候群を合併した点など示唆に富む症例であった.
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上平 晶一, 二村 貢, 藤原 俊文, 山中 桓夫, 井廻 道夫
1999 年 96 巻 4 号 p.
427-430
発行日: 1999/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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60歳男性が重症型アルコール性肝炎にともなう多臓器不全の経過中に左腸腰筋膿瘍と後腹膜多発膿瘍を合併した.CTガイド下経皮的ドレナージと抗生剤投与により軽快した.穿刺液より大腸菌が検出され起炎菌と考えられた.重症型アルコール性肝炎ではクッパー細胞の貪食能低下をはじめ肝網内系の機能が低下していることから,経門脈的に大腸菌が侵入し多発膿瘍を形成したと推定された.
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枝 幸基, 矢島 義昭, 渋谷 大助, 北川 靖, 阿部 靖彦, 宮崎 敦史, 大平 誠一, 松橋 俊夫, 長沼 廣
1999 年 96 巻 4 号 p.
431-436
発行日: 1999/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
フリー
32歳の女性が胃静脈瘤破裂を契機に,特発性門脈圧亢進症と診断された.肝内に2cm前後の結節性病変が多発しており,各種画像診断および生検所見より限局性結節性過形成(FNH)様病変と診断した.本例においては門脈血流不均等分布が存在し,FNH様結節は乏血域に存在していた.このことはFNHを含めた肝良性結節性病変の成因を考察するうえでも示唆に富むと考える.
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仲宗根 啓樹, 洲鎌 理知子, 岸本 邦弘, 福地 淳, 宮城 剛, 大城 勝, 知念 寛, 真喜志 知子, 高木 地孝, 又吉 亮二, 小 ...
1999 年 96 巻 4 号 p.
437-439
発行日: 1999/04/05
公開日: 2008/02/26
ジャーナル
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