日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
110 巻, 9 号
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総説
  • 茶山 一彰, 越智 秀典, 三木 大樹
    2013 年 110 巻 9 号 p. 1577-1590
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/05
    ジャーナル フリー
    ゲノムワイド関連解析(GWAS)の登場以降,肝疾患領域においてもさまざまな疾患病態についての遺伝子多型解析が急速に拡大してきた.その結果IL28Bのように予測マーカーとして臨床応用が急速に進展したSNPがある一方で,進捗のないものも多い.また発見された全SNPでもその遺伝性のごく一部分しか説明し得ない事例が多数報告されており,GWASの改良のみならずrare SNPや構造多型,遺伝子間作用,遺伝子環境間作用,epigeneticsなどへのアプローチの必要性が提唱されている.本総説では主にGWASによる肝疾患関連遺伝子研究について概括するとともに,疾患関連遺伝子研究の問題点と方向性についても論じる.
今月のテーマ:肝疾患の疾患関連遺伝子探索の現状と展望
  • 加藤 直也
    2013 年 110 巻 9 号 p. 1591-1596
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/05
    ジャーナル フリー
    わが国の肝癌の原因の70~80%がB型およびC型肝炎ウイルスによるものであり,20~30%がその他の原因,主にアルコールや非アルコール性脂肪性肝炎によるものである.それぞれ,長期の経過を経て肝癌を発症するが,肝癌への進展には著しい個人差がある.その個人差の原因として,一塩基多型に代表される遺伝的要因が挙げられる.肝細胞癌の遺伝的要因を決定しているのが疾患関連遺伝子の量的あるいは質的な違いであり,その疾患関連遺伝子の信頼できる同定方法としてゲノムワイド関連解析が行われている.ゲノムワイド関連解析により,いくつかの肝細胞癌関連遺伝子が同定された.
  • 宮本 敬子, 小野 正文, 西原 利治
    2013 年 110 巻 9 号 p. 1597-1601
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/05
    ジャーナル フリー
    Genome-wide association studyでは,patatin-like phospholipase domain containing 3 gene(PNPLA3)が唯一NAFLD/NASHの疾患感受性遺伝子として同定されている.PNPLA3は脂肪滴膜に局在し,リパーゼ活性を促進させ脂質代謝に関与することから,この部位の遺伝子多型は脂質代謝異常に関与する可能性がある.また,同定された遺伝子多型はアルコール性肝障害を含め,他の慢性肝疾患進展の危険因子である可能性も報告されている.しかし,どのような機序を介して肝線維化の進展に寄与するかについては,今後の研究成果に期待したい.
  • 中村 稔
    2013 年 110 巻 9 号 p. 1602-1610
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/05
    ジャーナル フリー
    近年,ヨーロッパ系集団(欧米人)を対象としたゲノムワイド関連解析(GWAS)により,PBCの疾患感受性遺伝子としてHLA領域の遺伝子多型の他に,IL12/IL12Rシグナル伝達,TLR/TNFα-NFκBシグナル伝達などに関連する計21の遺伝子多型が同定された.本邦においても全国規模のGWAS共同研究が実施され,日本人集団のPBCの新規疾患感受性遺伝子が2カ所(TNFSF15POU2AF1)同定された.また,欧米人の疾患感受性遺伝子のうち約半数が日本人集団でも疾患感受性遺伝子であることが確認された.欧米人と日本人との間にはPBCの疾患感受性遺伝子に集団差を認めるものの,Tリンパ球のTh1/Th17への分化(TNFSF15IL12AIL12RB2STAT4)や,Bリンパ球の形質細胞への分化(POU2AF1IKZF3SPIB)経路が,共通した疾患発症経路であることが示唆された.
原著
  • 在原 洋平, 黒田 裕行, 定免 渉, 三浦 翔吾, 山田 充子, 平子 匡, 安部 智之, 櫻井 環, 藤井 重之, 前田 征洋, 藤田 ...
    2013 年 110 巻 9 号 p. 1611-1618
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/09/05
    ジャーナル フリー
    腸管合併症により手術を要した消化管非Hodgkinリンパ腫(NHL)症例の臨床病理学的特徴を検討した.2007年から5年間に当科で経験した消化管に病変を有するNHL 28例中7例(25.0%)で腸閉塞・穿孔・出血のため手術を要した.空腸・回腸病変を有する消化管リンパ腫の半数で手術を要しており,小腸病変を有するリンパ腫症例は腸管合併症の高危険群である.同様に,半周性以上の深掘れ潰瘍型または隆起型,全身性リンパ腫の消化管浸潤例は,治療経過で腸管合併症をきたす可能性が高いと考えられた.
症例報告
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