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第2編:各種胃疾患におけるヒト胃粘膜内UDP-galactosyl transferase活性
岡本 伸
1982 年 79 巻 1 号 p.
1-8
発行日: 1982/01/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
各種胃疾患において,胃内3点(胃体中部大弯側,胃角部,前庭部大弯側)と十二指腸球部粘膜の生検材料を用いてUDP-galactosyl transferase活性を測定し,防御因子としての粘膜内糖蛋白質の生合成能を検討した.正常胃粘膜では胃内3点での本酵素活性に差はなく,瘢痕期胃潰瘍の前庭部,ビラン性胃炎の前庭部,十二指腸潰瘍の前庭部と十二指腸球部で酵素活性が高く,糖蛋白質生合成能の亢進が示唆された.胃潰瘍辺縁粘膜では,治癒期に高く,瘢痕期に低い傾向を示し,その合目的性が注目された.また,萎縮性胃炎では胃体部において酵素活性が低く,胃癌では胃内3点とも酵素活性が高い傾向を認めた.
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橋本 正好
1982 年 79 巻 1 号 p.
9-17
発行日: 1982/01/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ヒト切除胃の腸上皮化生について,alkaline phosphataseの酵素組織化学的検索に
3H-Thymi-dineのオートラジオグラフィーを併用して,酵素発現と細胞動態との関連性を検討した.腸上皮化生には,alkaline phosphatase陽性と陰性の腺管が認められた.陽性腺管では,腺底部から粘膜表層まで陽性を示す腺管と,表層部のみに陽性を示す腺管とがあり,前者では3
3H-Thymidine標識細胞は腺底部に限局していたが,後者では前者に較べて広範囲に分布していた.一方,陰性腺管の標識細胞は腺底部から中間部にかけて分布しており,陽性腺管に較べさらに増殖帯が拡大していた.増殖帯が腺底部に限局している腸上皮化生は,小腸類似の酵素発現を示し,増殖帯の拡大している腺管では,小腸と異なつた酵
素発現を示した.
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森瀬 公友
1982 年 79 巻 1 号 p.
18-27
発行日: 1982/01/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
腸上皮化生および胃癌の免疫グロブリン含有細胞の変動をimmunoglobulin-enzyme bridgemethodで検討した.胃前庭部粘膜では,他の腸管と同様にIgA含有細胞が主体であつた.腸上皮化生粘膜では,IgA, IgM含有細胞数が有意に減少していた.また,杯細胞数とIgA含有細胞数は負の相関を示した.胃癌組織ではすべての免疫グロブリン含有細胞は減少していた.癌境界部のIgA含有細胞数は,分化型癌では変化を認めないが未分化型癌では増加しており,癌性びらんに対する周囲粘膜の反応の差と考えられた.また,Borrmann IV型癌の1例で癌巣内にIgG含有細胞が著増しており,癌と関連した免疫学的な反応の存在が示唆された.
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とくに膵酵素の面から
松本 恒司, 正宗 研, 布出 泰紀, 正木 啓子, 築山 順一, 竹田 喜信, 大柴 三郎, 岡田 勝彦, 桜本 邦男, 岡島 邦雄
1982 年 79 巻 1 号 p.
28-37
発行日: 1982/01/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
胃全摘後の消化吸収障害を,主に消化に関与する膵酵素の面から検討した.対象は,Double tract法16例,Roux-en Y法5例である.これらに対し(I)BT-PABA単独投与法,(II)試験食併用BT-PABA試験を行い,1時間毎6時間,分割採尿し経時的な動態をみた.(I)法では,健常者に比し胃全摘例で総PABA排泄率に差異は認められなかつたが,(II)法では有意に尿中PABA排泄率は低下し,しかもRoux-en Y法は,Double tract法と比べ有意に低値を示した.さらに,1日糞便脂肪および窒素量を測定しBT-PABA試験の成績と比較した.胃全摘とくにRoux-en Y法では,脂肪量と(II)法の成績共に異常を示す症例が多くみられたことから,十二指腸を食物が通過する術式の意義を明らかにした.
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奥村 信義, 早川 哲夫, 野田 愛司, 近藤 孝晴, 榊原 啓, 片田 直幸, 加藤 活大, 武市 政之
1982 年 79 巻 1 号 p.
38-45
発行日: 1982/01/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
慢性肝疾患45例(肝硬変25例,慢性肝炎20例)に50gブドウ糖経口負荷試験(GTT)を施行し,その膵内分泌機能を健常人12例と比較検討した.血中インスリン(IRI),C-ペプタイド(CPR)は健常人に対して負荷後高反応を示したが,IRIの方がより著明であつた.膵グルカゴン(IRG)は空腹時では肝機能が低下するほど高値を示したが,負荷後の抑制は基礎値が高いほど大きかつた.
慢性肝疾患の高IRI血症にはブドウ糖に対する膵β細胞の分泌反応の亢進のほかに肝におけるインスリン破壊の減少も関与している.一方,高IRG血症には肝機能障害が関連するが,ブドウ糖に対する膵α細胞の感受性はよく保たれていた.
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清沢 研道, 赤羽 賢浩, 小池 ゆり子, 山村 伸吉, 小松 敬直, 宜保 行雄, 神山 健, 長田 敦夫, 古田 精市
1982 年 79 巻 1 号 p.
46-54
発行日: 1982/01/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
非A非B型輸血後肝炎(NANB-PTH)70例のfollow-up studyと,非A非B型慢性肝疾患(NANB-CLD)406例のretrospective studyを行い,NANB-CLDにおける輸血の意義を検討した.
NANB-PTH中トランスアミナーゼが6ヵ月以上遷延した例は45例(64.3%)であつた.このうち組織学的に5例が慢性肝炎活動型へ,5例が同非活動型へと進展していた.NANB-CLD中輸血歴を有したのは慢性肝炎42,8%,肝硬変37,1%,原発性肝癌13,2%であつた.NANB-PTHより慢性肝炎,肝硬変を経て19年後に原発性肝細胞癌へ進展したと思われる1例を報告した.以上の成績はNANB-CLDにおいては,輸血によるNANB肝炎ウイルスの持続感染が主要な原因の1つであることを示唆している.
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岩田 章
1982 年 79 巻 1 号 p.
55-63
発行日: 1982/01/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
急性肝炎69例(うちHBsAg陽性22例),慢性肝炎活動性43例(同21例),肝硬変33例(同12例),正常対照者36例につき,サイトメガロウィルス(CMV)補体結合反応抗体(CF抗体),後期抗原に対するIgG抗体(LA抗体),初期抗原に対するIgG抗体(EA抗体),膜抗原に対するIgM抗体(MA-IgM抗体)を測定した.正常対照者に比し,肝疾患患者ではCF, LA, EA抗体価が高値を示す例が多く,特に急性肝炎ではHBsAg陰性群の方が,HBsAg陽性群に比べEA抗体陽性例が有意に多かつた.また,成人のCMV単核症と診断した例が1例認められた.以上より,各種肝疾患特にHBsAg陰性急性肝炎の一部の症例ではCMVが病態に関連している可能性が推測された.
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向坂 彰太郎
1982 年 79 巻 1 号 p.
64-71
発行日: 1982/01/05
公開日: 2007/12/26
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フリー
ラット肝からコラゲナーゼ灌流法により得られた単離肝細胞は,遠心分離により低比重肝細胞(LH)と高比重肝細胞(HH)に分けられた.平均比重はLH1.10,HH1.13で,平均細胞容績はLH3550μm3,HH3250μm3とLHの方が大きく,G-6-Pase活性はHHの方がLHより高値を示した.細胞内小器管のMorphometric analysisではMitochondriaのvolume densityはHHで高く,SERのvolume densityはLHで高値を示した.また,in vivoにおいて門脈周囲肝細胞を障害するallylalcoholを加えた培養下のHHは,LHに比べて著明なviabilityの低下がみられた.これらのことより,LHは中心静脈周囲肝細胞に主として由来し,HHは門脈周囲肝細胞に由来すると考えられた.
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笠島 眞
1982 年 79 巻 1 号 p.
72-82
発行日: 1982/01/05
公開日: 2007/12/26
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HBs抗原,抗HBs抗体を検索しえた金沢医科大学病院受診者のうち石川県在住者15,660名を対象とし,主として河北潟を主な生活圏としてきた地域住民についてのHBウイルス感染の疫学的検討を試みた.河北潟生活圏では非生活圏に比し明らかに高いHBs抗原陽性率を示し,とくにその主体となつている内灘町18地区の陽性率は7.3%ときわめて高く,また抗HBs抗体陽性率(22.2%),HBs抗原,抗HBs抗体を合わせたHBウイルス感染率(29.5%)についても高率であり,これらの値は他市町村よりの移住者が大多数を占める内灘町新地区ならびに非生活圏に比較して有意に高かつた.このように内灘町旧地区は本邦のうちでもHBウイルスの最も濃厚な汚染地区の一つと考えられ,この旧地区ではHBウイルスへの感染率およびそのキャリアー化率の高いことがHBs抗原陽性率の高いことにつながつていると考えられた.
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膵癌・肝癌治療の立場より
谷 友彦, 鈴木 敵, 戸部 隆吉
1982 年 79 巻 1 号 p.
83-92
発行日: 1982/01/05
公開日: 2007/12/26
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膵癌144例と肝細胞癌70例を対象に,術前の血管撮影像に示される既存血管の壁自体の変化と走行の変化,腫瘍新生血管の多寡,血流動態の変化などを観察し,これら実質性臓器癌の治療面からみた病態を検討した.血管像で圧排性変化の優位なものは膨脹性発育型腫瘍として,浸潤性変化を主体とするものは浸潤性発育型腫瘍として,それぞれ肉眼的にも確認され,前者は後者に比し,膵癌では膵被膜を突破しにくく,肝細胞癌ではA-P shunt出現率が低いことなどが示され,ともに易切除性で予後も相対的に良好であつた.腹部実質性臓器癌の発育進展様式,切除可能性,生存期間など癌の臨床的悪性度の一部は,術前の血管撮影像によく反映されていた.
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水口 明洋, 藤井 守, 中込 健郎, 岡部 和彦, 鈴木 博
1982 年 79 巻 1 号 p.
93-96
発行日: 1982/01/05
公開日: 2007/12/26
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松崎 勉, 秋山 隆司, 杉山 雅, 草野 元康, 加藤 良一, 松本 純一, 小暮 道夫, 西岡 利夫, 大和田 恒夫, 関口 利和, 小 ...
1982 年 79 巻 1 号 p.
97-101
発行日: 1982/01/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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高橋 建二, 浅香 正博, 長瀬 清, 斉藤 雅雄, 宮崎 保, 井上 和秋, 河西 紀夫, 平良 健康, 及能 健一, 葛西 洋一, 平良 ...
1982 年 79 巻 1 号 p.
102-106
発行日: 1982/01/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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貫野 徹, 三橋 武弘, 大川 清孝, 丸毛 俊明, 針原 重義, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 小林 伸行, 佐藤 守男, 中村 健治, 中 ...
1982 年 79 巻 1 号 p.
107-111
発行日: 1982/01/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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上田 章, 宮永 修, 石橋 大海, 大久保 英雄
1982 年 79 巻 1 号 p.
112-116
発行日: 1982/01/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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田口 忠男, 品川 孝, 石原 運雄, 今野 暁男, 奥田 邦雄
1982 年 79 巻 1 号 p.
117-120
発行日: 1982/01/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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古田 雄一, 小堀 鴎一郎, 島津 久明, 森岡 恭彦, 奥山 山治
1982 年 79 巻 1 号 p.
121
発行日: 1982/01/05
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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旦 明良, 有馬 暉勝, 長島 秀夫
1982 年 79 巻 1 号 p.
122
発行日: 1982/01/05
公開日: 2007/12/26
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坪内 博仁, 上別府 篤行, 藤崎 邦夫, 橋本 修治, 小平 司, 今川 健一
1982 年 79 巻 1 号 p.
123
発行日: 1982/01/05
公開日: 2007/12/26
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清水 昭一, 水口 明洋, 水口 明洋, 渡辺 勇四郎, 岡部 和彦
1982 年 79 巻 1 号 p.
124
発行日: 1982/01/05
公開日: 2007/12/26
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フリー