消化性潰瘍における胃の諸機能とその相互関係を明らかにする目的で, 十二指腸潰瘍群 (UD), 胃角部より幽門側の胃潰瘍群 (UV-A), それより噴門側の胃潰瘍群 (UV-B) および対照群について, 胃幽門前庭部収縮運動, 血中 gastrin 値, 胃内容のpHなどを同時に測定して検討を行つた. 胃運動は空腹時においてUV-Bで高値を示したが, 試験液負荷後は, UV-A, UV-B, UDとも対照群より低値を示した. 血中 gastrin 値はUV-AおよびUV-Bで高値を, UDで低値を示した. 試験液負荷後における胃内容のpHはUDで特に強い低下傾向を示したが, 稀釈と排出率は各群の間に差が認められなかつた. また, 空腹時において胃運動と胃内容pHとの間, および血中 gastrin 値と胃内容pHとの間にそれぞれ正の相関が認められた.
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