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浅田 武夫, 佐古 伊康, 福島 豊, 北 徹, 三宅 健夫
1989 年 86 巻 12 号 p.
2705-2712
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
健常成人を対象として, 固形食摂取後120分間にわたり, 胃排出能および血清 gastrin 分泌反応に及ぼす背部皮膚への圧刺激の影響を検討した. 胃の脊髄分節支配 (T
6-9) に相当する背部の皮膚領域に圧刺激を加えると, 非刺激時に比して胃排出能は有意に低下し, 血清 gastrin 分泌反応も有意に抑制された. 一方, T
10-L
1に相当する背部への圧刺激では, 胃排出能や血清 gastrin 分泌反応は有意の変化を示さなかつた. 血漿ACTH, epinephrine および norepinephrine は, 圧刺激 (T
6-9) によつて変動しなかつた. 今回の成績は, 背部皮膚 (T
6-9) への圧刺激が胃の機能を抑制すること, さらにその反応には, 脳より脊髄の関与の大きいことを示唆する.
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経時的内視鏡観察による大腸腫瘍発生抑制効果の検討
岩根 覚
1989 年 86 巻 12 号 p.
2713-2720
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
1,2-Dimethylhydrazine 誘発ラット大腸腫瘍に対する食物繊維の効果を内視鏡観察を中心に検討した. 15%セルロース食と40%小麦フスマ食は基礎食に比し腫瘍発生を遅延させ, セルロース食群は第23から26週まで, 小麦フスマ食群は第26週 (P<0.01, P<0.05) に腫瘍発生率が低かつた. 剖検時 (第30週) の発生率は上記3群間に差がなかつた. また, セルロースと小麦フスマは糞便の一日の重量と容積を有意に増大した. 15%ペクチン食群の腫瘍の発生時期や糞便重量は基礎食群と差がなかつた. 以上から, セルロースと小麦フスマに含まれるある種の食物繊維が大腸腫瘍の発生を遅延させることが示唆され, 機序として糞便重量, 容積の増大の関与が考えられた.
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石丸 博明, 松田 隆秀, 原 俊雄
1989 年 86 巻 12 号 p.
2721-2727
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
FACS flow cytometry を用い蛍光モノクローナル抗体二重染色法により末梢血リンパ球IL-2R
+ Leulla
+cell (A) とHLADR
+Leulla
+ cell (B) を算定した. (A) の成績は, HCCではCALD, ASC, 健常人に比較して有意に減少していた. (A) が検出されなかつた (0.1%以下) 症例はHCC13例中8例, CALD22例, ASC11例中それぞれ1例であつた. (B) の成績は, HCC, CALD, ASC, AH, 健常人のいずれの群間においても有意の差を認めなかつた. 以上よりIL2Rを保有する成熟NK細胞はHCCで著明に減少していた. その減少はHCCの存在によると考えられた.
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安部井 誠人, 田中 直見, 大菅 俊明, 原田 勝二
1989 年 86 巻 12 号 p.
2728-2734
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ヒトの glutathione S-transferase (GST) のアイソザイム (GST
1 GST
2, GST
3) を精製し, これらに対する特異抗体を作製し, 免疫生化学的性状ならびに肝組織局在を検討した. 3群のアイソザイムは, 分子量, 等電点, 基質特異性および抗原性が異なつた. GST
1は遺伝的多型を示すが, その活性欠損型では蛋白そのものが存在せず, 非欠損型では免疫組織学的に肝細胞細胞質に分布した. 一方, GST
2は全例で肝細胞の細胞質および核が強く染色され, GST
3は胆管上皮細胞に分布した. 以上より, 3群のGSTアイソザイムは, 免疫生化学的性状, 遺伝的個体差, 組織ならびに細胞内局在が異なるが, zone 1から zone 3にかけてのGSTの分布は均一であることが示唆された.
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高野 進, 小俣 政男, 大藤 正雄, 里村 洋一
1989 年 86 巻 12 号 p.
2735-2741
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
当施設における6年間の全輸血患者8637例の中から初回輸血で輸血前に肝障害がなく, 輸血が1週間以内に終了している2596例について輸血量, 輸血製剤の種類, 受血者の性, 年齢と輸血後肝炎の発生率の関係を検討した. 発生率は受血者の性, 年齢とは関係なく専ら輸血量によつて規定された. 発生率は軽血量が増加するとともに頭打ち傾向がなく増加し, 20単位では29.4%, 50単位では50.0%だつた. このデータから健常人における非A非B型肝炎ウイルスの保因者率を推測すると1.39%となつた. 濃厚赤血球, 保存血, 新鮮血を輸血した場合には発生率が高く, 新鮮凍結血漿を輸血した場合は発生率は低かつた.
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松田 博人, 竹田 康男, 上野 敏男, 竹田 亮祐
1989 年 86 巻 12 号 p.
2742-2748
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
各種肝疾患の血清P III P値を測定し, さらにTAEを施行した原発性肝癌を対象とし, TAE前後のP III P値の変動及びゲル濾過法による分画パターンについて検討した. 健常対象者に対し, 肝硬変, 肝硬変合併肝癌ともにP III P値は有意な高値を示したが, 両者間に有意差は認めなかつた. TAE前後において, 有効例では2~4週後にP III P値の低下を認めたが, 無効例では漸増した. これらのことより, P III Pは肝癌に特異的な腫瘍マーカーとはなりえないが, TAEの効果判定の有用な指標になると思われた. ゲル濾過分画パターンの検討では, 有効例にて
125I-P III P抗原と一致するピークがTAE後, 著明に低下し, その機序としてTAEによる腫瘍の壊死との関連が推定され, 肝癌組織のP III P産生の可能性が示唆された.
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奇静脈との関係を中心に
木村 達, 森安 史典, 川崎 俊彦, 小野 成樹, 山下 幸孝, 玉田 尚, 梶村 幸三, 染田 仁, 西田 修, 内野 治人
1989 年 86 巻 12 号 p.
2749-2756
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
門脈圧亢進症患者36例にシネPTPを用い, 食道静脈瘤の流出路を奇静脈との関係を中心に検討した. 流出路を奇静脈型18例 (50%), 頚部型5例 (14%), 混合型13例 (36%) の3型に分類した. 内視鏡所見では, 頚部型, 混合型では全例食道上部まで高度な静脈瘤が認められたが, 奇静脈型では軽度な症例も含まれていた. 食道静脈瘤の奇静脈との吻合部位と内視鏡所見との対比では, 奇静脈型では吻合部の高さと静脈瘤所見とは相関する傾向があつたが, 混合型では吻合部位による差異は認めなかつた. 流出路の詳細な検討は, 奇静脈血流の測定の意義や, 内視鏡的硬化療法の効果のばらつきを理解する上で重要である. シネPTPはこの目的には有用な検査法と思われた.
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池岡 直子, 門奈 丈之, 塩見 進, 黒木 哲夫, 小林 絢三, 越智 宏暢, 小野山 靖人, 山本 祐夫
1989 年 86 巻 12 号 p.
2757-2764
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
99mTc O
-4経直腸門脈シンチグラフィを用いて, 慢性肝疾患の門脈循環動態および肝硬変例の食道静脈瘤形成への進展について検討した. 経直腸門脈シャント率 (PRPSI) は, 肝病変の進展に伴い有意の高値を示した. また経過観察し得た食道静脈瘤非合併肝硬変74例では, 静脈瘤出現例でPRPSIの上昇を認め, PRPSI20%以上群は20%未満群に比べ2年以内の静脈瘤出現率は有意の高値を示した. 本法は, 非観血的に門脈血行動態の測定が可能であり, その異常度を画像と数量化との両面で表現でき, また検査法の簡便さより, 肝疾患患者の経過観察にも優れている.
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古沢 明彦, 鵜浦 雅志, 野ツ俣 和夫, 森岡 健, 早川 康治, 松下 栄紀, 小林 健一, 服部 信, 牧野 博, 福岡 賢一, 田中 ...
1989 年 86 巻 12 号 p.
2765-2772
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
40歳未満で発症した若年肝細胞癌 (HCC) 11例について, 非若年HCC187例と臨床病理学的に比較した. 若年ではHBsAg 陽性例が10例(91%)と非若年に比し有意に高率であり, 50%にHBVや進行性肝疾患の家族集積を認めた. 肝硬変合併率は73%と非若年と差異は認めなかつた. 肝障害の既往を有する例は27%で, 腹痛で発症し発見時進行例が多かつた. 腫瘍随伴症候群 (PNS) 合併例が若年では36.3%と非若年に比し有意に高率であつた. PNS合併若年HCCではLC合併例は25%と低く, AFP著増例が多く且つ著しく予後不良であつた. 以上より我が国の若年HCCではHBVが発癌に強く関与し, またPNSを伴う例はHCCの中でも特徴的な1群を形成しているものと推測された.
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ウサギ肝臓における210kDa微小管関連蛋白質の分離
小松 眞史, 山本 彰夫, 後藤 充男, 戸堀 文雄, 八木沢 仁, 豊島 至, 正宗 研
1989 年 86 巻 12 号 p.
2773-2778
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
微小管関連蛋白質 (MAPs) を Vallee の方法を応用してウサギ肝臓から分離し, その生化学的性状や肝内局在について検討した. ウサギ肝抽出物より分離したMAPs分画はSDSポリアクリルアミドゲル (SDS-PAG) 電気泳動で数本のバンドに分かれた. このうち主バンドは分子量210000の蛋白 (ウサギ210kDa MAP) であつた. このウサギ210kDa MAPは, 同様の方法でウサギ脳より分離したMAP1, MAP2, Tau とは分子量が明らかに異なつていた. 次いで, ウサギ210kDa MAPに対するモノクローナル抗体 (mAb), 抗ウサギ210kDa MAP mAbを作製した. イムノブロットで, 抗ウサギ210kDa MAP mAbはウサギ肝抽出物中の210kDa蛋白との反応が確認され, またウサギ脳より分離したMAPs分画のうち210kDa蛋白とも cross immunoreactivity がみられた. 抗ウサギ210kDa MAP mAbを用いたウサギ肝組織の免疫染色による検討で, 抗ウサギ210kDa MAP mAbの一つ7B10は肝実質細胞や胆管上皮細胞と反応したが, Kupffer 細胞や平滑筋細胞, 血管内皮細胞とは反応しなかつた.
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近藤 哲, 二村 雄次, 早川 直和, 神谷 順一, 岡本 勝司, 前田 正司, 塩野谷 恵彦
1989 年 86 巻 12 号 p.
2779-2786
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
原発性肝内コレステロール結石症16例の直接胆道造影所見および内視鏡所見を検討し, 続発性コレステロール結石症例やビリルビンカルシウム結石症例にはみられない, 以下の特徴的なX線所見が得られ, これらは炎症所見にきわめて乏しいという内視鏡所見に裏付けられていた. (1) 亜区域枝またはより末梢分枝の限局性拡張部内に多数の小透亮像が充満し, その下流側胆管に狭窄様所見はなく, 上流側胆管の拡張はないか軽度である. (2) この病変は肝内に単独または孤立性に散在する. (3) 肝外胆管の拡張は軽度で胆嚢, 胆嚢管, 乳頭部も正常に造影される. 典型例では胆道X線像のみでも本症の診断は可能で, ビリルビン結石症とは異なつた発生機序が示唆される.
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榊原 健治, 加納 英行, 加藤 哲夫, 平松 秀樹, 神原 政孝, 熊田 和徳, 徳田 泰司, 亀島 信利, 山本 正彦
1989 年 86 巻 12 号 p.
2787-2793
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
体外衝撃波による胆石破砕療法 (Extra corpreal Shochwave Lithotripsy 以下ESWL) は, 1985年にはじめて胆道系結石に応用されたが, 最近になり破砕装置の進歩により, 従来より正確に胆石を破砕することが可能になり, また同時に麻酔の必要もなくなり, 容易に治療が可能となつた. 著者らは新世代の破砕機といわれるドルニエ社製MPL-9000を使用して胆嚢内結石30例にESWL治療をしたので, 報告する. 破砕効果の成績は30例中26例 (87%) に有効性を認め, 消失率は平均追跡期間4.4ヵ月の現在の時点で18例60%であつた. 合併症としては, 破砕片の排出によると考えられる上腹部痛 (10例33%) を認めたが, 開腹術, 内視鏡的乳頭切開術等を施行した症例は認めなかつた.
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各種検査法との比較において
唐沢 英偉, 税所 宏光
1989 年 86 巻 12 号 p.
2794-2803
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
膵癌の治療成績の向上には, 根治切除可能な小膵癌の診断が必要である. 近年, 膵癌の検査法は著しい進歩をとげたが, なお小膵癌診断例は少なくその早期診断に関する体系的な検討が充分にされているとは言えない. そこで手術切除により病理学的に確定診断の得られたT1膵癌 (径2cm以下) 19例を対象として臨床症状の検討とともに生化学検査, 超音波検査 (US), 内視鏡的胆膵管造影 (ERCP), X線CT, 血管造影のそれぞれの診断成績を検討した. なお, 同時期に診断され切除された径2cmを越える膵癌40例の診断成績を対照として参照した. その結果, T1膵癌の診断においては, 各検査法の有用性にそれより大きい膵癌では目立たない差が見られた. 中でもUSは,小膵癌の検出から確診までの診断過程 で最も高い有用性を示した. 小膵癌の検出には超音波検査と膵酵素との併用が総合的にみて優れていた. この結果において, なお疑診である例にはERCPによる裏付けが有用であつた.
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安田 宏, 峯 徹哉, 出原 明子, 佐藤 栄一, 藤崎 順子, 秋元 公彦, 尾形 悦郎, 小林 正則, 倉本 秋, 伊原 治
1989 年 86 巻 12 号 p.
2804-2807
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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白山 泰明, 中村 哲彦, 奥野 清隆, 中嶋 一三, 中村 洋介, 田中 晃, 浜田 宏, 安富 正幸
1989 年 86 巻 12 号 p.
2808-2811
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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沖本 芳春, 藤原 卓也, 津田 政直, 木下 迪雄, 高岡 亮, 内田 善博, 福田 善弘, 井村 裕夫
1989 年 86 巻 12 号 p.
2812-2815
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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膵•胆管合流異常と先天性肝内胆管拡張症を合併したまれな症例
牧野 康彦, 中山 隆雅, 檜山 義明, 塚本 総一郎, 関 幸雄, 大藤 正雄
1989 年 86 巻 12 号 p.
2816-2821
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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北山 丈二, 原 宏介, 富山 次郎, 市川 紀俊, 佐藤 嘉彦, 福里 利夫
1989 年 86 巻 12 号 p.
2822-2827
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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増永 高晴, 大石 誠, 水毛生 直則, 織田 邦夫, 上野 敏男, 竹田 亮祐
1989 年 86 巻 12 号 p.
2828-2832
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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多施設アンケートによる集計ならびに早期診断症例の臨床的検討
武藤 泰敏, 森脇 久隆, 島崎 信, 福富 尉, 足立 定司, 河合 潔, 奥野 正隆, 星山 直基, 山田 昌夫, 清水 勝, 高井 哲 ...
1989 年 86 巻 12 号 p.
2833-2838
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝細胞癌をより早期に効率的に診断すべく多施設アンケートにて症例を集積した. 臨床的因子につき重回帰分析を用い高危険群を設定し, 臨床に応用して有用性及びその限界について検討した. 肝癌合併に有意に寄与する因子は HBs Ag, 年齢, 大酒歴, 性が挙げられた. この結果より1985年4月以降高危険群を中心にスクリーニングを行い28例の3cm以下の肝細胞癌を診断した. 高危険群より発見されたものは24例 (sensitivity 92%, specificity 44%) で, 本方法は肝細胞癌を早期に診断する上で極めて有用であつた. 今回診断し得た症例を検討したところ, 予後は比較的良好で, 予後規定因子として腫瘍自体に基づくものと同程度に肝不全合併の影響が関与していた.
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山田 昌弘, 梶浦 謙, 藤木 和彦, 武永 強, 田村 裕子, 山本 信彦, 高清水 一善, 佐々部 正孝, 中村 理恵子, 大草 敏史, ...
1989 年 86 巻 12 号 p.
2839
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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剣持 敬, 浅野 武秀, 中郡 聡夫, 有田 誠司, 磯野 可一
1989 年 86 巻 12 号 p.
2840
発行日: 1989年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー