日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
74 巻, 4 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
  • 中尾 昌弘, 黒木 哲夫, 門奈 丈之, 山本 祐夫, 森沢 成司
    1977 年 74 巻 4 号 p. 405-412
    発行日: 1977/04/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    肝疾患患者の血清中にしばしぼ検出される免疫抑制因子は, 肝炎の慢性化と重要な関連をもつと推測される.また, 肝癌をはじめ, 種々の肝疾患患者の血清中には胎児性蛋白質の一つであるAFPがある頻度で認められ, しかも, AFPには免疫抑制的な作用があるとの報告がある.本報においては, 免疫抑制因子とAFPの関係を明らかにするために行なつた実験について述べる.
    各種肝疾患の患者血清について, 正常人リンパ球のPHA刺激応答抑制を指標として免疫抑倒因子の出現率をしらべると, 急性肝炎では20.0%, 慢性肝炎43.8%, 肝硬変症53.3%.原発性肝癌83.3%でいずれもかなり高かつた.しかも, この抑制因子陽性例は陰性例に比し, 血中AFPの陽性率が高かつた.ただし, 免疫抑制因子陽性例と陰性例について, 血清中の各種の蛋白質の含量を定量比較しても, 両者に差異は認めなかつた.
    精製AFPを用いて検討すると, AFPは健常人リンパ球のヒツジ赤血球によるrosette形成を著明に抑制した.また, 軽度ではあるが, 健常人リンパ球のPHA刺激応答を抑制することを認めた.PHAとは異なり, 8細胞に主として作用し, リンパ球幼若化を起こすと考えられているPWMの刺激に対する応答はAFPによつてほとんど影響をうけなかつた.
    これらの結果から, AFPは生体の細胞性免疫を抑制する可能性があり, 肝疾患において, このAFPの免疫抑制作用は, その病態を考察する上に重要な研究課題となると思われる.
  • 岡田 武志
    1977 年 74 巻 4 号 p. 413-420
    発行日: 1977/04/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    肝障害時におけるLysozyme (LZM) の役割を検討する目的で, ラットおよびマウスを用い, CCl4障害肝におけるLZMの動態について検討した.その結果CCl, とLZM併用投与群 (LZM群) では肝壊死が少なく, 血清中と肝組織中LZM量はLZM群でもCCl, 単独投与群 (CCl4群) でも共に増加したが, 血清LZM値はCCl, 群でより上昇が著明であつた.肝組織中LZM量は, CCl4群とLZM群の間に有意差はなかつたが, 125I標識LZMをCCl4障害マウスに投与した際には, 肝小葉の中心静脈周辺の壊死部にLZMが集簇したが, 正常マウスに投与した時には, そのとりこみがほとんどみられなかった.以上のことからLZMは, 肝細胞壊死の防止, 壊死細胞の浄化に役立つことが示唆された.
  • 高橋 精一, 中谷 勝紀, 白鳥 常男, 小西 陽一, 小島 清秀
    1977 年 74 巻 4 号 p. 421-431
    発行日: 1977/04/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ヒト胃癌の増殖態度や生物学的特性の追求を目的として, 種々の組織型のヒト胃癌の移植系を確立するため, それらの組織を手術材料より直接ヌードマウス皮下に移植した.
    15症例中6例に組織学的に生着をみ, その内訳はtub1 0/1, tub2 1/1, pap 2/2, por 2/7, muc 1/2, sig 0/1例, そして腺腫性ポリープ0/1例であつた.生着例6例の発育態度は腫瘍の大きさと, その大きさに至る期間によつて急速発育型と遅速発育型, そして生着をみるも発育しない非発育型に分けた.又, 腫瘍発育速度は継代によつて増加した.組織学的所見では, 移植腫瘍と原発腫瘍の間には原則的に組織型の変化はなかつた.
  • 渡辺 英生, 木下 真人, 近藤 肇彦, 櫛田 俊明, 宮本 英之, 小西 正甫, 仁木 寛治, 加納 嘉明, 桑島 輝夫, 古味 信彦, ...
    1977 年 74 巻 4 号 p. 432-440
    発行日: 1977/04/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1) 消化性潰瘍および胃癌の症例並びに正常対照例の合計58例について肉汁刺激による血清ガストリン値の変動を調べた.
    胃潰瘍, 十二指腸潰瘍ともに肉汁刺激後7分値では対照例よりも有意に高値を示した. しかし, 胃潰瘍ではその発生部位により血清ガストリン値は異なり, 高位胃潰瘍では空腹時および肉汁刺激後ともに高値を示した.胃癌においても同様な傾向を示した.
    各種手術後48例について肉汁刺激による血清ガストリン値の変動を調べた.
    近位選迷切兼幽門形成術後は術前に比べて血清ガストリン値は全般に高値を示した. また, antral gastrinとduodenal gastrinの問題についても検討した.
  • 多田 正大, 宮岡 孝幸, 赤坂 裕三, 川井 啓市, 須藤 洋昌, 下野 道広, 本井 重博, 加藤 三郎, 郡 大裕, 木下 俊昭, 川 ...
    1977 年 74 巻 4 号 p. 441-448
    発行日: 1977/04/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    放射線直腸炎は骨盤内病変に対する放射線療法に際して高頻度に発症することからも, 臨床上なおざりにできない医原性疾患の一つである.そこで本症に対する内視鏡的見地から, 病期と重症度をもとに本症の内視鏡分類を試み, 臨床像と内視鏡所見とを対比検討した.その結果, 内視鏡像と下血の程度はほぼ相関したものの, 時には軽微な内視鏡像を呈しても重篤な下血をきたすこともあり, さらに内視鏡像と照射総線量, 病悩期間の間にも一定の関係はなく, 内視鏡像と臨床像との間にはいくつかの乖離がみられた.
    そこで内視鏡直視下に色素撒布法を試み, その所見を4段階に分類したが, 本法によつて本症の粘膜面の凹凸, 小区像の形や配列等を明瞭に識別することが可能であり, 病変範囲の観察や粘膜面の炎症の程度を知るうえに有用であつた.しかし本法によつても, 本症の予後の推定を行うことは十分になし得ることが出来ず, 本症に対する内視鏡診断の今後の課題として残つた.
  • 竹林 治朗, 山田 信行, 旦 明良, 佐々木 伸彌, 神野 健二, 山本 春美, 石河 勝, 岩原 定可, 平川 弘泰, 平田 和文, 島 ...
    1977 年 74 巻 4 号 p. 449-460
    発行日: 1977/04/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    アルコール性肝炎30例と多飲者の肝疾患18例を対象として臨床・病理的検討を加えた.HBs抗原は多飲者の肝疾患では18例中11例陰性, 18例中7例陽性であつた.アルコール性肝炎は, HBs抗原陰性で, 特徴ある肝組織所見を示す症例であつた.肝組織像は断酒後早い時期には診断価値が高いが, 時期を経ると特徴が少なかつた.断酒により改善し, 再飲酒により増悪を繰り返す病歴は診断に役立つが, 臨床症状と検査成績からアルコール性肝炎と診定することはかならずしも容易でない.多飲者の肝疾患では肝炎ウイルス感染などの要因も考慮して診断は慎重でありたい.
  • 岡崎 伸生, 吉野 正膿, 吉田 孝宣, 神田 裕三, 服部 信
    1977 年 74 巻 4 号 p. 461-467
    発行日: 1977/04/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    悪性腫瘍による肝外閉塞性黄疸の出現頻度と, その原発巣別にみた特徴を, 剖検例について検討した. 1962年5月から1968年12月までに剖検された悪性腫瘍患者1806例のうち, 肝外胆路の閉塞の証明された症例は147例 (8.2%) であつた.この147症例を原発巣, 転移性腫瘍, および悪性リンパ腫を胆管閉塞の原因とする3群に分けると, それぞれ46例, 97例, および4例となつた.黄疸を初発症状とした症例は, 胆管癌, 乳頭部癌, 胆のう癌, および膵癌例などに認められた.症例数の最も多いのは胃癌の肝門部リンパ節転移, 特異な例は原発性肝癌の胆管内腫瘍栓, 肺の小細胞癌の血行性膵転移, および肝転移巣から二次的に肝門部リンパ節転移をしたと推定される乳癌などであつた.
  • 棟久 龍夫
    1977 年 74 巻 4 号 p. 468-478
    発行日: 1977/04/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ヘパトーム兼肝硬変死亡率はわが国で長崎県が最も高い.筆者らは両疾患の原因を究明しようと試み, 県内で死亡率が一番高い五島富江町で30歳以上の917名について肝臓集団検診を行つた.1横指以上の肝触知者は180名 (19.6%) 肝機能異常者200名 (21.8%) で, 漁村が農村より多かつた.上記異常老中肝生検で肝硬変6, 慢性肝炎10, 肝線維症40, 脂肪肝6, 胆管炎6, 非特異的反応性肝炎5, その他7, 計80例が確認された.肝線維症40例は1横指以上の肝腫があり, 肝機能は正常又は軽度異常にすぎない.組織学的にウィルス肝炎由来14, アルコール由来5, 原因不明21例を考えた.血漿遊離チロジン, フェニールアラニン, メチオニンが肝線維症をはじめ各種潜在性肝障害者で高値を示した.
  • 久保 勝彦, 原田 善雄, 阿美古 秀美, 岩武 忠昭, 国重 一彦, 村上 浩昭, 有好 邦夫, 田辺 満彦, 楳田 実, 三沢 幸代, ...
    1977 年 74 巻 4 号 p. 479-487
    発行日: 1977/04/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    A boy was admitted to the hospital with complaint of epigastric pain. On medication of antacid, he become well.
    The diagnosis of macroamylasemia was induced by the persistence of high serum amylase level due to remarkable low amylase clearance.
    The molecular size of this macroamylase was shown as approximate 7S level by means with Sephadex G150 Superfine thin layer chromatography and with concentrative procedure adding dry Sephadex G75 grain to serun.
    The abnormal amylase was specifically precipitated with anti-human IgA rabbit antiserum.
    This might be the first reported case of the first decade of macroamylasemia.
  • 小野 慶一, 嶋野 松朗, 横内 正典, 塩谷 晃, 鈴木 英登士, 高野 敵
    1977 年 74 巻 4 号 p. 488-496
    発行日: 1977/04/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    Cystic dilatation of the common bile duct is rare in adult. Two cases of this lesion have been studied recently. One was a 19 aged female with acute obstructive suppurative cholangitis and another was a 24 aged female with chronic pancreatitis.
    The pressure and X-ray study of the biliary tract revealed long narrow distal segment in both cases. Under the control of the operative radiomanometry, transduodenal sphincteroplasty was performed for them. The patients were not eventful after the operations.
    These clinical features were presented in details.
  • 1977 年 74 巻 4 号 p. 497-512
    発行日: 1977/04/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 74 巻 4 号 p. 513-531
    発行日: 1977/04/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 74 巻 4 号 p. 532-540
    発行日: 1977/04/05
    公開日: 2011/06/17
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