日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
75 巻, 12 号
選択された号の論文の18件中1~18を表示しています
  • 池崎 稔, 吉川 敏一, 竹村 周平, 加藤 治樹, 横江 信義, 堀田 忠弘, 松村 直幸, 細川 計明, 近藤 元治
    1978 年 75 巻 12 号 p. 1891-1897
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    イヌに Dithiothreitol (DTT) を胃内に投与して実験的蛋白漏出性胃症を作製し, 胃粘膜の局所線溶,粘膜内及び胃潅流液中のβ-glucuronidase を marker とした lysosome 酵素を測定した. その結果, DTTによる蛋白漏出と局所線溶, β-glucuronidase 活性の間に相関が認められ, 酵素組織化学的にも, DTT使用時に胃粘膜内のβ-glucuronidase の増加が観察された. 又, DTTによる蛋白漏出は, trans-AMCHAにより阻止されたが, 粘膜内のβ-glucuronidase 活性は抑制されず, trans-AMCHAの蛋白漏出阻止効果は, lysosome の安定化ではなく, 放出された lysosome 酵素の一つである plasminogen 組織 activator による plasmin の活性化過程が, 阻止されたためと考えられ.
  • 今村 洋, 石沢 光郎
    1978 年 75 巻 12 号 p. 1898-1910
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Schild ラットにおける tetragastrin, histamine, 2 deoxy-D-glucose, insulin および acetylcholine 静注による刺激分泌はPGE1の追加静注で強く抑制された. ヒト基礎酸分泌はPGE1, PGE2 (0.04μg/kg-min) の連続静注で抑制されたが, pepsin 分泌は抑制されなかつた. メチレンブルー色素のラット胃内流出は tetragastrin 刺激で酸分泌と平行して増加するが, 色素流出はPGE1の投与で必ずしも抑制されなかつた. ラット血中 gastrinはPGE1の静注で増加するが, histamine 刺激による血中 gastrin 上昇はPGE1で抑制された.
    以上, E型PGは直接胃壁細胞に作用して胃酸分泌を抑制していると考えられる.
  • 胃癌と大腸癌について
    正木 盛夫, 飯塚 美伸, 森藤 隆夫, 村井 隆夫, 吉田 浩, 五十嵐 勤, 粕川 礼司, 五ノ井 哲朗, 吉田 赴夫
    1978 年 75 巻 12 号 p. 1911-1923
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    胃, 大腸の癌, 非癌組織CEAと血漿CEA (p-CEA) のRIAキットでの定量及び癌組織所見より,癌組織CEA (ca-CEA) 量とp-CEA値との関連, それらの規定因子を検討した. p-CEA上昇の基本的要因はca-CEA量 (癌組織CEA濃度, 癌全体のCEA量) と癌進展度であつた. ca-CEA量は癌発生臓器, 癌組織型に左右された. 癌重量とp-CEAとは, 大腸で正相関, 胃で非相関であつた. 胃癌, 大腸癌で癌浸潤度又は癌間質線維増生の著明な群に, p-CEA低値例が多く, 大腸癌で癌組織のリンパ管又は静脈侵襲が著明な群にp-CEA高値例が多かつた. 非癌部CEAは大腸, 胃幽門腺領域, 胃底腺領域の順に多く含有し, 胃幽門腺領域に多い腸上皮化生が関連していた.
  • 患者リンパ球の細胞障害作用について
    山口 勝治, 小林 絢三, 村井 雅己, 田中 吉之助, 片山 照義, 桑島 士郎, 北野 厚生, 木下 喜博
    1978 年 75 巻 12 号 p. 1924-1933
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    非特異的標的細胞としてマウスL細胞を用い, この単層培養試料に分離リンパ球と抗原または mitogenを添加する実験系により, 大腸粘膜抗原および腸内細菌抗原さらにPHAによつて誘導される潰瘍性大腸炎患者リンパ球のL細胞障害作用について検討し, 以下の結果を得た. 1. リンパ球のPHA-induced cytotoxicityは本症と健常人の間には差がみられなかつたが, L細胞にリンパ球を添加した場合のL細胞障害は本症の静止期に明らかな低値を示した. 2. 大腸粘膜抗原に対して本症の約13%に, 腸内細菌抗原に対して本症の約29%に細胞障害の亢進がみられ, ともに本症の活動期にみられた. 3. 対照の健常人では両抗原ともに細胞障害の亢進はみられなかつた.
  • 特に好発部位の癌の組織発生について
    上谷 潤二郎, 武藤 徹一郎
    1978 年 75 巻 12 号 p. 1934-1946
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ウイスター系ラットと1, 2-Dimethylhydrazine を用いて実験大腸癌を発生させその組織発生について検討した. 大きなリンパ濾胞が存在する上行結腸の一定の部位に癌が好発し, この部位の連続切片を詳細に検討した結果, この部位の癌組織発生には次の四つの様式が認められた. (1) リンパ濾胞を覆う上皮の腺管の底部から印環細胞癌が発生する. (2) リンパ濾胞を覆う上皮には腺腫も好発し, 腺腫を母地として高分化腺癌が発生する. (3) 粘膜下のリンパ濾胞内の異所性腺管から癌が発生する. (4) リンパ濾胞を覆う上皮に癌が多中心性に発生する. また本実験系はリンパ濾胞の存在が発癌部位に密接に関連していた.
  • 渡辺 明治, 芳原 準男, 長島 秀夫
    1978 年 75 巻 12 号 p. 1947-1959
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    原発性肝癌における 1-(2-tetrahydrofuryl)-5-fluorouracil (FT-207) の代謝動態の特性とその臨床効果について, 胃, 腸および肺癌の症例を対照として検討した. 肝硬変を伴う肝癌例のFT-207静注後の血中消失率(K) は, 肝機能検査に異常のみられない対照例に比べて明らかに低値を示し, 連日経口投与した際にもその血中濃度が次第に増加した. 対照例でのK値は, インドメタシンやトコフェロール•ニコチネートの3日間の前投与でそれぞれ低下あるいは増加したが, 肝癌例ではこれら薬剤の前投与でもK値に明らかな変化がみられなかつた. FT-207投与が臨床的に有効であつたのは, 原発性肝癌10例中1例で, その成績は消化管癌に比べて劣つた. 経口投与中の血中FT-207濃度の経時的変化を観察した結果, 肝癌例では対照例より高値を示すことが多いが, 血中濃度の高低やK値と臨床効果や副作用出現との関連性は明らかでなかつた.
  • 吉次 通泰, 岩瀬 透, 佐々 隆之
    1978 年 75 巻 12 号 p. 1960-1971
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    ドック受診者および外来患者を対象に, 肥満•高脂血症•耐糖能異常が肝機能検査 (T.P.•A/G比• ZTT•TTT•ALP•GOT•GPT•LDH) に及ぼす影響について検討した. 男性では, 肝機能検査値は肥満による影響が強く, 高脂血症•耐糖能異常による影響は少なかつた. 肥満度と相関して肝機能検査の異常値の頻度が増加したが, 主たる異常所見は血清トランスアミナーゼ活性値の軽度上昇とGOT/GPT比の逆転であつた. 女性では, 各肝機能検査項目とも肥満•高脂血症•耐糖能異常との間に有意の相関を認めなかつた.
  • 酵素抗体法と Autoradiography 法の併用
    野口 武英
    1978 年 75 巻 12 号 p. 1972-1982
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    Galactosamine ラット急性肝障害回復期にみられるα-Fetoprotein (以下AFP) 産生細胞の検索同定を試みた. 3日目以降に, 肝細胞の著明な再生が認められ, その像と一致して, 酵素抗体法AFP陽性肝細胞の小葉内分布が観察された. Autoradiography と酵素抗体法を併用したところ, DNA合成期にある再生肝細胞の出現にやや遅れて, AFP陽性肝細胞が出現して来る傾向が認められた. 一方, 酵素抗体法電顕的観察では, 肝細胞の polyribosome の周囲にAFP陽性所見が見られた. 以上の所見は, AFPが障害後の再生肝細胞にて産生されていることを, 組織学的に示唆するものと考える.
  • 特に胆汁酸代謝異常について
    久野 信一郎
    1978 年 75 巻 12 号 p. 1983-1990
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    胆石症に於ける胆汁中胆汁酸及び脂質組成を検討した. 胆嚢胆管ビリルビン系石例では胆汁の総胆汁酸, 脂質組成比には異常を認めなかつた. 胆汁酸の組成では chol 酸の有意な減少と chenodeoxychol 酸の増加を認め, 更に ursodeoxychol 酸を検出する例を多くみた. 高齢者の4例を含めてグリシン抱合胆汁酸/タウリン抱合胆汁酸比が著明に上昇している例が多く腸内細菌の関与が考えられた. 一方胆嚢内コレステロール系石例では胆汁中総胆汁酸/コレステロール比の有意な低下があり, その胆汁がコレステロール過飽和状態にある事を示した. 胆汁酸の組成では chol 酸及び deoxychol 酸の上昇と chenodeoxychol 酸の有意な低下を認め, グリシン抱合胆汁酸/タウリン抱合胆汁酸比の変化との関連から胆汁酸合成の低下が示唆された. 急性閉塞性黄疸症例の胆汁では chol 酸の著明な上昇を認めた.
  • 松末 智, 柏原 貞夫, 倉本 信二
    1978 年 75 巻 12 号 p. 1991-1999
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    天理よろづ相談所病院において, 1970年より1978年までに肝胆道系疾患のスクリーニング検査 (対象1,615人) として行つた超音波断層検査にて診断のついた先天性総胆管拡張症 (総胆管嚢腫) は8例である. これらの確定診断は手術時に得られており, 男は2カ月の乳児のみで, あとは女性であつた. 年齢は2カ月より57歳 (癌発生例) に及ぶ. その超音波像は cystic pattern が5例, mixed pattern が3例であつた. 本症と診断する為には他の上腹部の嚢腫性病変との鑑別が重要な点でありその鑑別の要点を述べた. 現時点では超音波検査が本症の診断に他の検査より有用であり, 第一に行う必要がある.
  • 鈴木 重弘
    1978 年 75 巻 12 号 p. 2000-2012
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    経十二指腸乳頭形成術後, 追跡できた50例について乳頭部の形態学的変化を内視鏡的, 数学的に検討し, あわせて本術式の有用性についても検討した. その結果, 胆管と膵管は上下に分離独立し, かつ相隣接して開口し, 胆管開口部はほぼ円形であつた.
    胆管開口部の大きさは, 手術時の乳頭部切除の大きさに左右されることはもちろん, 胆管の太さ (最大径) とも相関が認められた.
    なお50症例において結石の再発および遺残を認めなかつた. 即ち一定の適応基準にしたがい, かつ一定以上の乳頭切除を加えることによつて, 生化学的検査値および愁訴のうえでもきわめて良好な結果が得られることをしつた.
  • とくに血漿 Lipoprotein-X (LP-X) の発現機序について
    臼井 公之
    1978 年 75 巻 12 号 p. 2013-2024
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    胆汁うつ滞における脂質代謝異常の特徴とその成立機序を明らかにする目的で本研究を行つた.
    胆汁うつ滞症例において, 血漿各脂質-とくに遊離コレステロールとリン脂質の著増が認められた. また, 各種リポ蛋白分析法により, 特殊なリポ蛋白即ち lipoprotein-X (LP-X) がかなりの量存在することが確認された. 胆汁うつ滞時にみられるコレステロール比の低下はこのLP-Xによつて説明可能であろうが, 一方, 中性脂肪の増加は低比重リポ蛋白の異常によると推定される.
    Lp-Xの由来をカイロマイクロンおよび胆汁などの脂質-とくにレシチンおよびコレステロールエステル中の脂酸組成の類似性から検討した結果, 腸管由来ではなく, 胆汁中に分泌される脂質の血中への逆流によつて発生してくることが推定された.
  • 木南 義男, 宮崎 逸夫, 小西 孝司, 小山 文誉, 泉 良平, 新村 康二
    1978 年 75 巻 12 号 p. 2025-2035
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    慢性膵炎確診112例を4成因群に分け, 各臨床像を比較検討した. 症例は特発性群44例, アルコール性群42例, 胆道原性群17例およびその他群9例である. 特発性群は性差がなく, 疼痛例が最も少なく, 膵石灰化が低率であつた. アルコール性群では97.6%が男性例で, 膵石灰化率も高く, 膵機能障害例が多く, 最も予後不良を示した. 胆道原性群は高齢者に多く, 胆道病変に関連した臨床所見を呈した. その他群は若年者にもみられ, 膵機能障害例が多く, 難治性を認めた.
  • 大井 至, 宮坂 京子, 竹内 正
    1978 年 75 巻 12 号 p. 2036-2043
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    膵石の疑われた症例のうち, 膵管造影で膵石と診断されなかつたものと, 先天性総胆管嚢腫に合併した非陽性膵石を除外して, 残る36例を膵管像との位置関係から6型に分類した.
    大結石のみを有する群は, 飲酒歴を有するものや, 糖尿病合併が少なく, 女性は全員大結石を有していた.
    小結石を有する群は, 約半数に飲酒歴と糖尿病合併がみられた.
    非陽性膵石は, 全例に飲酒歴があり, 糖尿病合併は50%で, 小結石や混合型に近く, 膵石症としてとりあつかつてよいと考えられた. 頭部分枝内のみに結石の存在する型は特殊な形と考えて, 頭部分枝限局型とした.
  • 松井 敏幸, 淵上 忠彦, 八尾 恒良, 尾前 照雄, 小樋 剛
    1978 年 75 巻 12 号 p. 2044-2048
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 牧山 和也, 原口 増穂, 村上 一生, 今村 和之, 三島 致衍, 松永 圭一郎, 城間 盛光, 藤岡 利生, 今西 健夫, 原 耕平, ...
    1978 年 75 巻 12 号 p. 2049-2054
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 金井 弘一, 神谷 直紀, 賀古 眞, 中島 猛行, 船木 治雄, 井上 昇
    1978 年 75 巻 12 号 p. 2055-2058
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 吉本 信次郎, 別府 真琴, 大田 暉和, 由利 秀久, 宮地 知男, 谷中 清, 小川 敏夫, 水守 彰一, 土居 幸子, 松尾 導昌
    1978 年 75 巻 12 号 p. 2059-2064
    発行日: 1978年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
feedback
Top