日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
100 巻 , 3 号
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  • 寺野 彰
    2003 年 100 巻 3 号 p. 269-279
    発行日: 2003/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    第88回日本消化器病学会総会 (牧野勲会長) において, 特別企画として「消化器病領域におけるリスクマネジメント」というシンポジウムが開催された. この中で, 消化器病領域における医療事故の実態とその対策, 予防策などが討論されたので, その概要を述べるにあたり, リスクマネジメントの概念, 米国や日本における実態などを概説した. さらに, わが国においても急増している医療事故の対策を厚生労働省のホームページから紹介し, 国家的取り組みの現状を略述した. 今後増力口し続けるであろう医療事故に対し, 日本消化器病学会としても積極的な対策を講じる必要を力説した.
  • 入澤 篤志, 引地 拓人, 山雄 健次, Manoop S. BHUTANI, 小原 勝敏, 竹之下 誠一, 佐藤 由紀夫
    2003 年 100 巻 3 号 p. 280-291
    発行日: 2003/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    超音波内視鏡下穿刺術 (EUS-FNAB/l=endoscopic ultrasound-guided fine needle aspiration biopsy/injection) は, 消化管を介して観察可能な病変の病理診断を, 高い診断能と安全性をもって行える手技として欧米を中心に発展してきた. 最近では診断のみならず, 治療にも応用されている. EUS-FNABの適応は, その施行が治療方針決定に有用な情報を与える場合である. 主として, 1) 腫瘤の鑑別診断, 2) 腫瘍の進展度診断, 3) 腫瘍の組織学的確診, が挙げられる. 膵腫瘤の診断に関しては90%前後の感度と正診率が報告されており, 偶発症発生率も1%程度と, その高い有用性が示されている. しかし, これまでにEUS-FNABによる腫瘍播種の可能性といった観点から, 腹腔を介する穿刺となる経胃的穿刺や, 内容液の漏出が懸念される嚢胞性腫瘍に対する穿刺は, その適応を厳密に考えなくてはならない. 膵癌に関連した治療に関しては, 癌性痙痛に対してEUS-FNlによる腹腔神経叢ブロックが行われている. また, 膵癌への直接穿刺による治療はこれからの研究課題である. 本法は, 膵癌診療において様々な可能性を持つ診療手技である.
  • 堀井 明
    2003 年 100 巻 3 号 p. 292-297
    発行日: 2003/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    膵癌は極めて治療成績が悪い. 現時点では切除可能な時期に診断して手術することが最良である. 現状として, 診断は画像によるものと細胞診, 組織診が中心である, しかしながら, これらの検査では, 担当する者の技量に負うところも大きい, 膵癌の治療成績向上のためには, 膵癌の発生メカニズムを理解した上で発癌の根底に関わる異常を指標とした診断戦略が必要である. 発がんに関わる遺伝子変異として, 膵癌ではKRAS, p16, p53, SMAD4などが高頻度に報告されているが, KRASを軸としたPCRによるDNA診断とSMAD4を軸としたFASHによる診断が有用であるものと考えられる. 現在のゲノム解析の知見を発展させ, より高感度, 高精度の遺伝子診断法を開発することが重要である.
  • 乾 明夫
    2003 年 100 巻 3 号 p. 298-305
    発行日: 2003/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    1994年のレプチンの発見以来, 食欲・体重調節機構のアウトラインが明らかとなってきた. レプチンは視床下部に存在する摂食促進系および抑制系ペプチドを始めとする種々のシグナルを介し, 食欲およびエネルギー代謝を調節する. この食欲・体脂肪量調節ループの異常により, 肥満のみならず, 感染症や癌にともなう悪液質が発症することも明らかとなりつつある.ペプチド受容体は創薬のターゲットとして重要であり, 今後, 食欲・体重調節にかかわるペプチド由来化合物が, 肥満症や悪液質の治療に応用されてゆくものと思われる.
  • 山元 隆文, 松元 淳, 有馬 暉勝
    2003 年 100 巻 3 号 p. 306-312
    発行日: 2003/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    胸焼け症状を訴えるものの, 内視鏡的異常所見を認めない60歳以上の高齢者で, PPIテストが陽性であった内視鏡陰性胃・食道逆流症 (endoscopy negative GERD: EN-GERD) 35名について, 逆流性食道炎 (RE) 群33名, 正常群41名とともに臨床的検討を行った. EN-GERD群のHelicobacterpylori感染率はRE群と同じく低値であったが, 内視鏡的胃粘膜萎縮の程度や血清Pepsinogenl/11比では正常群と有意差は認めなかった. EN-GERD群の食道裂孔ヘルニア合併はRE群より有意に低率であったが, アセトアミノフェン法による胃排出能では有意差はなかった. Hospitalanxiety anddepression scaieにおける不安スコアではEN-GERD群のみが有意に高く, またEN-GERD群の胸焼け症状はRE群とほぼ同じ重症度を示した. 以上より高齢者EN-GERDの症状発現には精神的不安感が大きく関与している可能性が示唆された.
  • 塚田 登思美, 大高 雅彦, 赤羽 賢浩, 藤野 雅之, 奥田 純一
    2003 年 100 巻 3 号 p. 313-316
    発行日: 2003/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    症例は72歳, 男性. 腹痛, 下痢, 血便を主訴に来院, 画像診断より門脈ガスをともなう急性上腸間膜動脈閉塞症が考えられた. 発症から50時間を超えて開腹術を行い救命しえた. 切除標本の検索で上腸間膜動脈の遠位部に陳旧性血栓が認められたことから発症前より側副血行路が発達していた可能性が考えられた.
  • 石川 忠雄, 原田 明生, 大谷 由幸, 中村 隆昭
    2003 年 100 巻 3 号 p. 317-321
    発行日: 2003/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    症例は56歳女性, 2001年3月近医より胆嚢摘出術目的にて当科紹介, 末梢血好酸球増多および画像上腹水貯留と腸管壁肥厚とが認められ, 腹水検査では細胞のほとんどが好酸球であった. 入院後腹痛・嘔吐が増悪し, 消化管の絞扼も否定できず開腹術を施行, 小腸漿膜の線状発赤を認め, 小腸の一部を切除生検した. 術後好酸球性胃腸炎と診断され, ステロイド治療を開始, 嘔気・上腹部痛などの自覚症状は速やかに改善した.
  • 伊原 栄吉, 落合 利彰, 佐々木 達, 志賀 典子, 本田 邦臣, 松本 真裕, 小柳 信洋, 原田 直彦, 壁村 哲平
    2003 年 100 巻 3 号 p. 322-327
    発行日: 2003/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    穿孔, 瘻孔を来した非ステロイド系消炎鎮痛剤 (NSAID) の2例を経験した. 症例1は72歳女性.diclofenac坐剤により, 終末回腸に出血性小腸潰瘍を発症し, 絶食とNSADの減量, 変更で一旦軽快した. しかし再度同坐剤の投与で, 消化管穿孔を発症し緊急手術となった. 症例2は, 94歳女性. loxoprofen, indomethacin坐剤の投与により, 直腸~回腸間に瘻孔を認めた. NSAID起因性腸症の1病型として, 穿孔や瘻孔を来すことを認識する必要があると考える.
  • 岸川 浩, 西田 次郎, 中野 雅, 平野 江利香, 森下 鉄夫, 小川 信二, 安藤 暢敏, 小出 紀, 石井 裕正
    2003 年 100 巻 3 号 p. 328-332
    発行日: 2003/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    症例は30歳, 女性. 腹膜刺激症状をともなう右下腹部痛にて当院救急外来を受診した. 腹部CTにて上行結腸に腸管の嵌入を認め腸重積と考え, 外科にて開腹術を施行した, 著明に腫大した虫垂を先進部として回盲部が横行結腸まで重積しており用手的に整復し, 回盲部切除術を施行した. 組織学的検索では虫垂粘液嚢胞腺腫であり, これにより腸重積となり急性腹症を呈したまれな1例と考えられた.
  • 久持 顕子, 神代 龍吉, 古賀 郁利子, 田中 英介, 井出 達也, 日野 照子, 村島 史朗, 緒方 啓, 桑原 礼一郎, 古賀 浩徳, ...
    2003 年 100 巻 3 号 p. 333-336
    発行日: 2003/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    症例は51歳女性, 1989年より2型糖尿病と高脂血症でグリベンクラミドなどで加療中であった. ピオグリタゾンの追加投与開始81日後に, 肝細胞型肝障害が認められた, 同薬の中止4週間後に肝機能は正常化した. チトクロームP450 (CYP) 2C19遺伝子型は2/2, CYP2C9遺伝子型は1/1であった. トログリタゾンと類薬の本剤によっても肝障害のおこる可能性があり, 注意が必要と思われる.
  • 梅原 泰, 国立 裕之, 大崎 往夫, 高松 正剛, 木村 達, 喜多 竜一, 蜂谷 勉, 福山 隆之, 圓尾 隆典, 辻 賢太郎, 波多野 ...
    2003 年 100 巻 3 号 p. 337-343
    発行日: 2003/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    症例は74歳, 男性. 肝嚢胞, 胆石症にて外来通院中, 軽度の右季肋部痛が出現し, CRP14.5mg/dlと上昇を認めた. 腹部超音波検査で, 肝S1の嚢胞内に内部エコーが出現し, 嚢胞サイズの軽度増大を認めたため精査目的で入院, 嚢胞ドレナージを施行した.穿刺液培養よりサルモネラパラチフスAが検出された. ドレナージのみではキャリアー状態が持続すると考え, 肝嚢胞切除術および胆嚢摘出術を施行した.
  • 安藤 孝将, 品川 和子, 南部 修二, 清水 幸裕, 新敷 吉成, 峯村 正実, 樋口 清博, 渡辺 明治, 高川 清
    2003 年 100 巻 3 号 p. 344-348
    発行日: 2003/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    症例は72歳, 女性. 全身倦怠感と黄疸を主訴に近医を受診し, 第6病日に劇症肝炎 (急性型) と診断され当科に転院. γグロブリン29g/dl, 抗核抗体1280倍, 自己免疫性肝炎国際診断基準11点より自己免疫性肝炎 (疑診) と診断した.ステロイドパルス療法, プロスタグランジン日投与, 血漿交換を行うも, 深在性真菌症, 消化管出血を併発し第51病日に死亡した.
  • 渡邉 典子, 長谷川 浩司, 恒矢 保雄, 熊澤 正継, 馬場 優, 草野 五男, 渡邉 昌俊, 山雄 健次
    2003 年 100 巻 3 号 p. 349-353
    発行日: 2003/03/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    症例は40歳代, 女性. 上腹部痛と発熱を主訴に来院-各種画像診断にて膵粘液性嚢胞腫瘍と診断し手術を予定したが, 胃潰瘍部より大量出血を来し, 緊急で膵体尾部, 胃合併切除が施行された. 肉眼的に腫瘍は多房性嚢胞で, 病理学的には卵巣様間質をともなう粘液嚢胞腺癌であった. 嚢胞壁の一部に管状腺癌の形で浸潤を認めたが, 胃壁と痩孔を形成した部分には腫瘍は全く認められず, 痩孔は嚢胞の壁外性圧排により生じたものと推測した.
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