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木村 健, 酒井 秀朗, 吉田 行雄, 広瀬 完夫, 笠野 哲夫, 鈴木 勉
1986 年 83 巻 4 号 p.
759-763
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
現在, 抗潰瘍剤の薬効判定は, ある時期における潰瘍の累積治癒率をみるという極めて単純な方法であり, そこには潰瘍の治癒速度の解析は一切行われていない. これに代る新しい方法として, 今回, 潰瘍治癒速度の統計学的解析法を提唱した. 即ち未治癒率 y (y=100-累積治癒率) と観察期間t(w)は指数回帰であり, y=Ae
-ktが成り立つ. 具体的にはy=100: 0_??_<Ti, y=100 e
-k(t-Ti): Ti_??_tであり, この式より算出された理論値は観測値とよく一致する. 各パラメーターは次の如く定義され, いずれも潰瘍の治癒速度を表わすものである. k: 治癒速度定数, Ti: 治癒発現期, T
1/2: 未治癒率半減期, T
50: 50%治癒時間.
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宮尾 昌宏, 岡崎 和一, 山本 泰朗
1986 年 83 巻 4 号 p.
764-770
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
急性出血性腸炎患者では Klebsiella oxytoca (K.O)菌に対する白血球遊走阻止試験が陽性との成績を得ているので種々の免疫学的条件下で AB-Penicillin 処置マウスの盲腸内にK.O菌を注入, 腸炎の発生率を検討し腸炎発生の免疫学的要因を検討した. 対照のK.O菌, AB-Penicillin 併用投与群での腸炎発生率は64%, X線照射による免疫抑制群, K.O菌の菌体成分での免疫マウス群, 非免疫マウス群, K.O菌感作の全脾細胞移入群, 感作T細胞移入群, nonT 細胞移入群の腸炎発生率はそれぞれ29%, 75%, 45%, 71%, 75%, 11%であつた. 本症の発生には腸内のK.O菌の存在, 抗生物質の投与と共に, 宿主側のK.O菌に対する細胞性免疫の成立が重要と考えられた.
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日本住血吸虫卵の組織学的検索
吉岡 正和, 山本 正之, 松本 由朗, 関川 敬義, 江口 英雄, 三浦 和夫, 飯村 譲, 和田 敏史, 菅原 克彦
1986 年 83 巻 4 号 p.
771-777
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
山梨医大第1外科の1983年10月より1985年5月までの20カ月間に行なつた開腹手術症例は291例で, そのうち手術標本を組織学的に検索した282例中54例において日本住血吸虫の石灰化した虫卵を認めた. 虫卵検出率, 19.1%は国内, 特に山梨県内の報告と比べても高率であつた. 臓器別では, 虫卵は肝臓 (22.5%), 十二指腸 (22.7%), 結腸と直腸 (18.8%), 胃 (17.2%) などでは高頻度にみられ, 胆道系 (108例), 脾臓 (31例), 食道 (31例) などでは認められなかつた. この54例の慢性日住症においては, 肝硬変が5例(うち3例は肝細胞癌を併存), 肝線維症が22例に併存し, 疫学的に言われるような日住症と肝細胞癌との密接な関係が示唆された.
日本病理剖検輯報の集計 (1973~1982年の10年間) では, 山梨県内の病院において剖検された症例の20.5%が日住症であつた.
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野浪 敏明, 原田 明生, 星野 澄人, 加藤 俊之, 中尾 昭公, 末永 昌宏, 高木 弘
1986 年 83 巻 4 号 p.
778-783
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝硬変症91例を対象として, Swan-Ganz catheter を用いて全身血行動態を測定するとともに, 血漿量, 門脈圧, 血漿 catecholamine 濃度, 血漿 glucagon 濃度を測定した. 対象をK
ICG0.09を境に2群に分けて, 肝障害の程度と全身血行動態の関連を検討するとともに, 肝硬変症における hyperdynamic systemic circujation の発生機序について考察した. その結果, 肝硬変症の全身血行動態は肝障害の高度なものほど, より hyperdynamic な傾向を示した. そしてその発生機序として血漿量の増加が重要な因子の一つであり, これには末梢 shunt 量の増加, 門脈圧の上昇が関与することを認めた. また血漿 catecholamine, glucagon も肝硬変症の全身血行動態を修飾している可能性が考えられた.
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裏川 公章, 松井 祥治, 長畑 洋司, 福岡 秀治, 平井 康博, 熊谷 仁人, 中本 光春, 林 民樹, 高田 孝好, 安積 靖友, 伊 ...
1986 年 83 巻 4 号 p.
784-791
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝切除後のストレス潰瘍予防としての cimetidine, 16, 16-dm PGE
2, 迷切の肝再生に及ぼす影響について検討し以下の結論をえた. (1)3群はともに水浸拘束ストレス潰瘍の発生を著明に抑制した. (2) cimetidine 群と16, 16-dm PGE
2群では, 肝切除後の
3H-thymidine 取り込み率, thymidine kinase 活性, DNA量は単肝切群と差をみなかつたが, 迷切群では明らかに低下した. (3)迷切群の mitotic index は単肝切群よりもそのpeak 値は低下し, また肝再生率も明らかに抑制された. (4)以上より, 肝切除後のストレス潰瘍予防処置としての迷切術は不適当な手段と考えられた.
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火野坂 徹
1986 年 83 巻 4 号 p.
792-799
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
17例の肝細胞癌に見られた paraneoplantic syndrome の一つである低血糖の発生機序を検討した. 低血糖肝癌の頻度は2.9%であつた. 発育が速く, AFP高値の巨大肝腫瘍で, 多くは未期症状として認められ, 血糖値の維持には大量の経静脈的糖投与が必要であつた. 組織学的には肝硬変を伴うことが多い以外特徴はなく, 膵の変化は軽度であつた. 糖負荷曲線は平坦型を呈しIRI, c-peptide は前値低値, 低反応で, IRG前値は高値であつた. 肝癌に見る低血糖は, 癌の急速な発育による糖の消費の亢進と肝硬変の存在や巨大腫瘍による肝での糖代謝の場の減少, 低栄養状態などのために糖新生が減少し, 生体への糖供給不足をきたす事が主因と考えられた.
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小渋 陽一, 大藤 正雄, 江原 正明, 杉浦 信之, 広岡 昇, 近藤 福雄, 松谷 正一, 守田 政彦, 木村 邦夫, 税所 宏光, 土 ...
1986 年 83 巻 4 号 p.
800-811
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
小肝細胞癌23例の腫瘍発育速度を超音波で計測し, doubling time (DT) で表わした. 腫瘍径2cm以下と以上とでDTを比較したところ, 腫瘍径2cm以下よりも2cm以上の方がDTは短かかつた. 発育速度別に, slow growth, intermediate growth, rapid growth の3群に分けたところ, rapid growth と intermediate growth の両群は多発型や塊状型へと進展したのに対し, slow growth 群は結節型にとどまるものが多かつた. 又発育速度と予後とは相関し, 発育の速いものは遅いものより生存率が低かつた. 腫瘍組織は細胞異型度や腫瘍細胞索の太さ等の複数の因子が発育速度に関与した. アルコール常習飲酒 者のDTは, 非常習飲酒者のDTより長かつた.
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円山 恵子, 高瀬 修二郎, 高田 昭
1986 年 83 巻 4 号 p.
812-817
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
比重遠心法と遠心流出法の併用によりラット肝より分離した遊離類洞壁細胞の形態を透過および走査電子顕微鏡により検討した. Kupffer 細胞分画の細胞の透過電顕では, lysosome や, autophasic vacuole を多く含み, 走査電顕では, 表面に長い突起が密生していた. 内皮細胞分画の細胞の透過電顕では, 篩板が認められるのは約60%にすぎず, mitochondria および endoplasmic reticulum (ER) の少ない細胞で, 走査電顕では, 表面に粗な短い突起がみられた. 伊東細胞分画の細胞は透過電顕では, 脂肪滴をもち, ERが発達した細胞で, 走査電顕では, 表面に波状にうねつた突起が密生していた. 以上より, 遊離類洞壁細胞の同定には, 走査電顕的分析も有用と考えられた.
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早期膵障害例を中心として
多田 秀樹
1986 年 83 巻 4 号 p.
818-828
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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アルコール性膵障害の病態とくに早期の病態を解明するため, アルコール多量常飲者より内視鏡的に採取した純粋膵液を試料として糖蛋白の主たる糖組成濃度を測定した. ERCPにて minimal chronic pancreatitis と診断された症例では膵外分泌機能はほぼ正常に保たれているものの, 純粋膵液中のヘキソサミン濃度は健常対照群に比してすでに有意の上昇を示した. このヘキソサミン濃度の上昇は, 膵管上皮の杯細胞増生による粘液分泌亢進と膵液の鬱滞濃縮化に起因すると考えられた. また膵管像の変化がより高度なほど, 純粋膵液中のヘキソサミン濃度は高値を呈し, フコース, ヘキソース濃度もヘキソサミン濃度とほぼ同様の変化を示した.
以上の成績から膵液中の糖蛋白はアルコール性膵障害の早期より, その進展並びに増悪に関与するものと推察され, 純粋膵液中の糖蛋白の分析はアルコール性膵障害の早期の病態把握に有用であると考えられる.
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特に消化器癌について
鈴木 利之, 鵜澤 龍一, 高木 康, 五味 邦英, 石井 暢, 石井 淳一
1986 年 83 巻 4 号 p.
829-837
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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悪性腫瘍に関連して, 血中で酵素活性が上昇し, さらに特異なアイソエンザイムの出現が知られている. 最近, クレアチンキナーゼにおいても, 悪性腫瘍に関連して出現するアイソエンザイム(CK-BB) が確認された. そこで我々は悪性腫瘍, 特に消化器系の癌において, CKの細胞上清に存在するアイソエンザイム (CK-BB, MB, MM) 以外のミトコンドリアに存在するm-CKの検討を行つた. その結果, 悪性腫瘍患者血清中に正常組織におけるm-CKと極めて酵素的性質が類似した atypical CK を見出した. それらは分子量の大きさで, 少なくとも2種類に区別でき, 臨床的にこれらが血中に存在する場合, 悪性腫瘍に対する特異性は極めて高いものであつた.
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井上 文彦, 北村 清明, 水本 孝, 古川 裕夫, 内野 治人
1986 年 83 巻 4 号 p.
838-843
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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前田 隆, 有沢 速雄, 藤川 正直, 栄枝 弘司, 富田 昭, 西原 利治, 大西 三朗, 伊藤 憲一, 大朏 祐治, 武田 功, 高橋 ...
1986 年 83 巻 4 号 p.
844-848
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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本邦報告例の統計的検討
井辻 智美, 宗像 良雄, 石井 真弓, 船津 和夫, 水野 嘉夫, 石田 元比古, 田中 豊治, 加藤 繁次, 宣保 一夫, 織田 正也, ...
1986 年 83 巻 4 号 p.
849-854
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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伴 信之, 森安 史典, 中村 武史, 西田 修, 宋 泰成, 三浦 賢佑, 酒井 正彦, 内野 治人, 三宅 健夫, 武田 保秀, 藤堂 ...
1986 年 83 巻 4 号 p.
855-859
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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新しい胃粘膜障害モデルの考案
村上 元庸, 水野 雅博, 芦田 豊, 保津 真一郎, 斉田 宏, 稲田 雅美, 三宅 健夫
1986 年 83 巻 4 号 p.
860
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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稲垣 貴史, 森瀬 公友, 森島 泰雄, 原 一夫, 林 伸行
1986 年 83 巻 4 号 p.
861
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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中村 厚, 山田 博明, 根引 浩子, 重本 達弘, 佐久間 裕之, 福田 隆, 樋口 和秀, 佐藤 博之, 中村 肇, 蝶野 慎治, 荒川 ...
1986 年 83 巻 4 号 p.
862
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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荒井 正夫, 奥野 府夫, 永田 茂之, 重田 洋介, 高木 敏, 海老原 洋子, 加藤 真三, 高橋 久雄, 継 摩利, 小林 利次, 石 ...
1986 年 83 巻 4 号 p.
863
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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白井 睦訓, 香川 博幸, 寺田 総一郎, 相引 利行, 渡辺 精四郎, 西岡 幹夫
1986 年 83 巻 4 号 p.
864
発行日: 1986年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー