日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
97 巻 , 12 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
  • 杉山 敏郎, 浅香 正博
    2000 年 97 巻 12 号 p. 1451-1459
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    元来,胃粘膜は免疫誘導組織とは考えられておらず胃の感染免疫はほとんど研究されていなかったが,H. pyloriが慢性胃炎,胃潰瘍,胃癌などに病因的役割を果たしていることが明らかにされ,胃の感染免疫が胃粘膜障害,病態形成に密接な関わりを有していることが明らかにされてきた,H. pylori感染胃粘膜ではH. pylori特異的分泌型IgA抗体産生があるが,感染は防御できず持続感染する.H. pyloriの持続感染にはH. pyloriの免疫回避機構も関与している.通常の組織学的胃炎では主にTh1にシフトし,細胞傷害に関与している可能性,さらに感染上皮細胞のアポトーシスにもT細胞が関与している可能性が推測されている.
  • 東 健
    2000 年 97 巻 12 号 p. 1460-1465
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    宿主の免疫遺伝学的背景因子が,H. pylori感染に対する易感染性または感染抵抗性に,さらに,H. pylori感染の疾患多様性に関与していることが,宿主のHLA解析において認められた.今後,H. pyloriゲノムおよびヒトゲノム解読により,H. pylori感染の疾患多様性における菌体側の因子および宿主側の因子の解析に新たな進展が得られ,H. pylori感染における疾患多様性の病態が明らかにされることが期待される.
  • 坂本 長逸
    2000 年 97 巻 12 号 p. 1466-1471
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    元来プロスタグランジン(PG)は胃粘膜で重要な役割を有するとされてきたが,その調節作用を担うcyclooxygenase(COX)の胃粘膜における発現調節作用は十分に理解されていなかった.最近,炎症反応によって発現誘導されるCOX-2が急性胃炎や潰瘍粘膜では修復反応に重要な役割を有することが明らかにされたが,その慢性胃炎粘膜における役割はまだ理解されていない.慢性胃炎粘膜では,増殖因子の放出や免疫応答の調節作用にCOX-2が関与する可能性も考えられ,今後検証が必要であろう.COX-2を介して生合成が予想されるPGJ2の抗炎症作用がはたして慢性胃炎粘膜で作動しているか否かの検討も必要と思われる.
  • 伊藤 啓, 藤田 直孝, 野田 裕, 小林 剛, 木村 克巳, 片倉 芳樹, 松永 厚生, 結城 豊彦, 野村 美樹子, 佐藤 匡, 石田 ...
    2000 年 97 巻 12 号 p. 1472-1479
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    急性胆嚢炎45例において急性期に施行したmagnetic resonance cholangiopancreatography(以下MRCP)像をretrospectiveに読影し,特徴的所見と出現率を検討した.MRCPでの急性胆嚢炎の所見として胆嚢周囲高信号,胆嚢腫大,胆嚢結石,嵌頓結石はそれぞれ84,71,53,18%に見られた.胆嚢周囲高信号の出現の程度は,臨床的,組織学的に胆嚢炎の重症度に相関していた.合併胆管結石に対する正診率も96%と高かった.急性胆嚢炎におけるMRCPはその病態を反映し,胆嚢ドレナージの適応決定,合併胆管病変の拾い上げに高い診断能を有し,治療法の選択上有用な診断法である.
  • 宮下 憲暢, 永坂 敦, 中西 満, 工藤 俊彦, 若浜 理, 西川 秀司, 樋口 晶文, 佐藤 英俊
    2000 年 97 巻 12 号 p. 1480-1486
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は,78歳女性.肝腫瘍精査目的で入院,多発性肝腫瘍および盲腸部に2型の大腸癌を認め,大腸癌の肝転移と診断した.腫瘍マーカーでは,CEA 17.9ng/ml,AFP 74400ng/ml,高感度PIVKA-II 517mAU/mlと上昇していた.初診後3カ月で永眠された.剖検上,本腫瘍は盲腸原発で形態的にも,胆汁産生という機能面でもHCCに極めて類似した部分を包括するhepatoid adenocarinomaであり,AFP,PIVKA-IIを同時に産生するというまれな症例であるため報告した.
  • 佐藤 慎一郎, 熊谷 一郎, 千田 貴之, 山口 隆将, 坂下 佳子, 藤原 隆雄, 佐々木 浩行, 熊谷 和久, 遠藤 龍人, 岩井 正勝 ...
    2000 年 97 巻 12 号 p. 1487-1491
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    肝内胆汁うっ滞症に対しcoenzyme Q10(ユビデカレノン)投与が有効と考えられた症例を経験した.症例は68歳,女性.食欲不振を主訴に前院受診,黄疸と肝機能障害を認め,薬剤性肝障害の疑いで同院に入院した.黄疸が遷延したためUDCA,PSL,G-I療法を施行したがいずれも効果がなく,約2カ月間T. Bil. 10mg/dl以上で経過したため,当科に転院となった.上記の治療に加え,血漿交換を施行.しかし,T. Bil. 10mg/dl以上の黄疸が持続したため,第79病日よりcoenzyme Q10(ユビデカレノン)30mg/日を開始した.その後,徐々に黄疸は軽減し第183病日に退院した.
  • 野村 俊之, 村野 直子, 佐々木 有一, 泉屋 隆, 岩倉 研二, 松尾 隆広, 江川 泰人, 板橋 司, 栗栖 義賢, 勝 健一, 森田 ...
    2000 年 97 巻 12 号 p. 1492-1496
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は73歳,男性.肝細胞癌の診断で入院となった.血管造影で右肝動脈前区域枝は頻回の肝動脈塞栓術のため閉塞しており,肝細胞癌は胆嚢動脈より栄養されていた.胆嚢動脈末梢よりchemolipiodolizationを施行した.1′型胃癌を合併しており,幽門側広範囲胃切除術,肝前区域切除術および胆嚢摘出術が施行された.肝細胞癌の大部分は壊死していたが,胆嚢壊死の所見は認めなかった.
  • 伊賀 大二郎, 富松 昌彦, 斉藤 壽仁, 加藤 義和, 大塚 洋子, 遠藤 仁, 高橋 春樹, 大川 真一郎, 岩井 恵理子
    2000 年 97 巻 12 号 p. 1497-1501
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌(HCC)に対する経皮的マイクロ波凝固療法(PMCT)後に胆汁性嚢胞(biloma)が発生した1例を経験した.本症例は,S7/8とS4/5のHCCに対して,5回のTAEと3回のPEITを施行した.その後,S2/3に出現した新たなHCCに,PMCTを3回施行.その10カ月後に発熱,腹痛をともない,S2/3に嚢胞性病変が出現した.画像診断と嚢胞液の性状より,感染性胆汁性嚢胞と診断.ドレナージと抗生剤投与にて症状軽快し,6カ月後にはbilomaも消失した.
  • 新美 寛正, 山本 滋, 土田 明, 佐々木 民人, 川崎 陽介, 森中 賢二, 井上 寛己, 刈屋 憲次, 藤本 佳史, 桑田 幸央, 村 ...
    2000 年 97 巻 12 号 p. 1502-1505
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は70歳男性.他疾患経過観察中,偶然腹部超音波検査(US)で胆嚢壁の限局性肥厚を指摘され,当科へ精査目的入院となった.US,CT,MRCPでは,垂直ならびに水平方向進展度の正確な診断が困難であったが,内視鏡的胆嚢二重造影によりほぼ正確な病変範囲の描出がなされ,同時に施行された胆嚢胆汁細胞診と合わせIIa+IIb様平坦浸潤型胆嚢癌と術前診断可能であった症例を経験したので報告する.
  • 米満 春美, 木村 孝, 香川 浩一, 岩波 栄逸, 津田 富康
    2000 年 97 巻 12 号 p. 1506-1510
    発行日: 2000/12/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は32歳男性.25歳時に自己免疫性肝炎と診断され治療経過中,胆汁うっ滞型の肝障害を呈し,内視鏡的逆行性胆道造影(ERC)にて肝外胆管の狭窄と肝内胆管のbeaded appearanceを認め,原発性硬化性胆管炎(PSC)の確定診断が得られた.25歳時のERCでは肝外胆管は拡張を示し,PSCとして特徴的所見を呈するに至るまでの血液生化学所見,ERC像,肝生検組織像の経過を追跡し得たので報告する.
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