日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
74 巻, 9 号
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  • 笹本 和啓
    1977 年 74 巻 9 号 p. 1105-1120
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    慢性膵炎74例につき, PS試験 (含, 血清酵素誘発試験, 全例), アイソアミラーゼ測定 (38例) 及びERP (22例) を施行し, 次の成績を得た, PS試験により機能低下の軽度な症例には, アイソアミラーゼを組合わせた血清酵素誘発試験が診断に有用であり, この場合膵由来アイソアミラーゼの増量を認める傾向が強い. 機能低下が中等度または高度な症例は, 誘発試験陰性のものが多い. 機能低下が更に著明な症例では, 膵由釆アイソアミラーゼは減少した. 一方, PS試験とERPの不一致例の存在が示唆された. 従つて膵炎の病期・病態診断には, 誘発試験を含むPS試験, ERPの他, アイソアミラーゼの検討を行い, 総合的に判断する事が臨床上必要である事を認めた.
  • 大槻 眞, 尤 芳才, 坂本 長逸, 岡野 邦泰, 前田 光雄, 山崎 富生, 佐伯 進, 神田 勤, 馬場 茂明
    1977 年 74 巻 9 号 p. 1121-1126
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ラット摘出膵潅流標本を用いてCaeruleinの膵外分泌と内分泌に対する作用を検討した.
    1. Ceruleinは膵液量, 膵amylase outputを共に刺激した.
    2. 最少有効濃度は0.01ng/mlであつた.膵外分泌の最大反応をきたす最低濃度は0.05ng/mlであつた.
    3. Supramaximal doseでは膵外分泌反応は低下し, Caeruleinによる膵外分泌抑制が示された.
    4. IRI, IRG反応は膵外分泌反応が刺激されるCaerulein濃度では認められずSupramaximal doseではじめて観察された.
    5. 膵内外分泌を刺激するCaerulinの有効濃度には解離があつた.
  • われわれの新しい作成法
    本多 隆一, 樋渡 克俊, 伊藤 漸, 中村 卓次
    1977 年 74 巻 9 号 p. 1127-1135
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    われわれは種々の慢性膵瘻犬作成法を追試検討し, 現在用いられている十二指腸嚢造設法は, 神経線維の切断, 腸液の混入は防ぎえないが, 長期使用に耐え, 旦つ生理的状態に最も近いものと結論した. その作成上の要点は十二指腸への誘導器具の装着と膵液の十二指腸内還元にあつた. われわれはこれらを理解し, 独自の方法を考案した. それは十二指腸嚢に貯まる膵液を25cmH20の陰圧下で一度体外へ誘導し, 一定量をphoto-switchにて感知し, infusion-pumpを作動させて腸瘻より体内へ還元する方法である. 本法は膵外分泌動態を長期間連続的に記録することが出来る上にsecretin及びCCKに対する反応も諸家の報告と一致し, 膵外分泌研究上極めて有用と考える.
  • 小山 捷平, 清水 祥子, 戸川 潔, 梅田 典嗣, 大菅 俊明, 崎田 隆夫
    1977 年 74 巻 9 号 p. 1136-1145
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    肝剖検例44例, 肝生検例82例につき, オルセイン, アルデヒド・フクシン染色を行い, さらに肝疾患患者の細胞性免疫能を併せて検討し以下の結果を得た.
    (1) 剖検例における肝組織内HBs抗原の陽性率は44例中26例 (59.1%) を示し, 生検例では82例中16例 (19.6%) を示した. 特に亜急性肝萎縮, 肝硬変, 肝細胞癌で陽性率が高く, 肝炎のみならず肝硬変, 肝細胞癌発生におけるHBs抗原の関与が強く示唆された.
    (2) HBs抗原の肝組織内の分布では肝疾患が重症化するにつれ, 単細胞型から散在型, 小葉型へと変化した.
    (3) 免疫学的検索では, 肝硬変, 肝細胞癌におけるT細胞絶体数の低下にみる宿主の細胞性免疫能の低下が特徴的である.
  • 仁木 弘典, 服部 隆則, 藤田 哲也, 郡 大裕, 川井 啓市
    1977 年 74 巻 9 号 p. 1146-1153
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    3H-thymidineによるin vitroのオートラジオグラフィーと顕微蛍光測光法によるDNA定量により, ヒト十二指腸粘膜の細胞動態を調べた. 十二指腸粘膜のARGでは陰窩下部に標識細胞が層状に分布しており, 陰窩下部から絨毛に向う細胞群には形態学的移行像が観察された. これらの所見は, 十二指腸粘膜の絨毛の吸収上皮細胞や杯細胞は陰窩下部の未分化な細胞から作り出されることを示している. 一方, ブルソナー氏腺では約0.6%の割合で, 増殖中の細胞が特に局在なく, atrandomに分布していることがARGと顕微蛍光測光法により示された. これはブルンナー氏腺では常時, 約0.6%の細胞が細胞喪失をうめるべくin situで分裂し, 細胞を作り出していることを意味する. したがつて, ブルンナー氏腺細胞は陰窩から作り出されているとは考えられず, 十二指腸粘膜には陰窩から絨毛に向う細胞更新の流れとは別にブルソナー氏腺の局所でおこる細胞更新の様式があると考えられた.
  • 古賀 明俊, 藤堂 省
    1977 年 74 巻 9 号 p. 1154-1159
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    2例のいわゆる黒色胆石の構造を結晶構造解析的技法, X線マイクロアナライザーならびに走査電子顕微鏡を用いて追求した. 黒色石は粉末x線回折で非晶質で, 走査電子顕微鏡による観察でも割面は無構造であるが, 10万倍の高倍率で観察すると直径約30nmの球状粒子が密に集合して結石を形成していた. 結石の研磨面には反射顕微鏡で島状に散在する部分とそれを埋める2つの異なつた反射光を示す部分が存在し, その硬度を比較すると後老の方が前者より硬度が大きかつた. 両部をx線マイクロアナライザーで元素分析すると島状の部分はその周囲よりSが高濃度に含有されていた. このSは結石内蛋白のS-S結合を意味するのではないかと考えられる.
  • 合成ヒトGastrinとTetragastrinの比較
    片山 敬, 大箸 富美子, 島村 真理子, 三浦 幸子, 木村 恒夫
    1977 年 74 巻 9 号 p. 1160-1165
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    ラットの胃体部腺細胞を培養し, 増殖した上皮様細胞colonyを観察対象に合成ヒトgastrinおよびtetragastrinを附加, その影響を観察した. その結果合成ヒトgastrin 10γ/ml附加によつても上皮様細胞colonyの保持には影響がみられず, 対照群と同様約4週間で消減した. 一方, 合成ヒトgastrinは0.05γ/ml, tetragastrinは10γ/ml附加によりそれぞれ3H-TdR取込率の有意の増加が認められた. したがつて, 胃体部腺細胞に対し, 両者ともに増殖促進性に作用するが, その強さには差があり, 合成ヒトgastrinがtetragastrinの約20倍の作用を有することが推察された.
  • 伊藤 漸, 竹内 真人, 相沢 勇, 高柳 隆一, 中村 卓次, 森幸 三郎, 田港 朝彦, 清野 裕, 井村 裕夫, 矢内原 昇
    1977 年 74 巻 9 号 p. 1166-1171
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    雑種成犬7頭を用い, その胃前庭部にforce transducerを慢性植込みし, 胃運動をmonitorしつつ, 血中motilin濃度を測定した. 胃運動がdigestive patternを示す時期はmotilin濃度は極めて低いか測定限界以下であつたが胃運動がintermediateから, interdigestive patternを示す時期には血中motilinは上昇した. しかるに摂食によつて胃運動がinterdigestive patternからdigestive patternへ変化すると共に血中motilinもふたたび低下した.このことにより, 前回のわれわれの報告と併せて, イヌにおけるinterdigestive motoractivityは血中motilinによつて調節されていると結論出来る.
  • 142例の組織学的経過とHB抗原との関係について
    中島 正男, 伊藤 喜一, 吉場 朗, 熊田 博光
    1977 年 74 巻 9 号 p. 1172-1178
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    今回調査の対象とした慢性肝炎は, 2回以上の肝生検により組織学的に経過が追跡できた142例である. 慢性肝炎はヨーロッパ分類に従い, 初回と最終回の組織診断の差により進行, 不変, 改善とした. 142例中67例 (47.2%) に進行がみられ, 経過年数の長いもの程進行率が高くなる傾向がみられた. 肝硬変となつたものは142例中26例 (18.3%) で, 1~3年の経過で硬変化する率が高かつた.
    このうちHBs抗原持続陽性41例 (28.9%) では, 進行率63.496, 肝硬変化率34.1%で陰性例に比し有意の高い悪化率を示した. この41例中25例にHBe抗原, HBe抗体を, 23例にDane粒子関連のDNA polymeraseを測定した. 測定の時点でHBe抗原陽性の3例では肝炎が進行性であるのに反しHBe抗体陽性の4例では安定した傾向がみられた. HBe抗原陽性例は全例Dane粒子関連のDNA polymeraseが共存しており, 両者の密接な関係が示唆された.
  • 加藤 活大, 武井 毅, 中村 昌男, 奥村 信義, 榊原 啓, 武市 政之, 菊地 三郎, 大屋 敬彦
    1977 年 74 巻 9 号 p. 1179-1186
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    慢性肝疾患の耐糖能異常の機序を追求するために, 慢性肝炎98例, 肝硬変68例について耐糖能と糖負荷後のインスリン反応を調べ, 肝機能検査成績や組織所見と対比した. 慢性肝疾患における糖負荷後のインスリン反応は必ずしも高反応ぼかりで無く, 耐糖能高度異常群ではむしろ低反応を示す傾向がみられた. 従つて糖尿病状態を伴う慢性肝疾患例の多くは元来一次性糖尿病素因を有していると考えられた. 一次性糖尿病素因や加齢の影響をできるだけ除いて, 耐糖能異常と関連する肝性因子について検討すると, 線維化の程度が最も重要であつた. 肝病変の活動性も肝機能検査上では耐糖能異常と関連している傾向がみられた.
  • 石井 公道, 鈴木 修, 桐生 恭好, 土屋 雅春
    1977 年 74 巻 9 号 p. 1187-1194
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
    慢性肝傷害の際の血中ヒスタミン (His) の意義に注目して, 他剤で無効であつた慢性活動性肝炎13例に, ヒスチヂン脱炭酸酵素阻害剤tritoqualine (Tr.) を投与して検討した. Tr投与前の平均値は, SGOT 252±24, SGPT 318±152単位, His 15.1±5.5μg/Lであつたが, 6週後には夫々57±24, 40±28, 8.6±0.4 (P<.001) と著明に下降し, 膠質反応も改善の傾向を示した (P<.1). 肝再生検所見で, 門脈域の線維化, 細胞浸潤に改善が見られ, 3例が治癒した. 副作用は自, 他覚的に特記すべきものは認められず, HBsAgは4例で陽性であつたが, 治療上陰性例と差は無かつた. 以上より, 肝傷害慢性化に於いて血管作動性物質のHisが占める役割は極めて大きいと考えられる.
  • 藤樹 敏雄, 三尾 明彦, 橋本 英明, 長 益悦, 高橋 一江, 兼高 達弐, 藤原 郁夫, 神津 忠彦, 竹内 正
    1977 年 74 巻 9 号 p. 1195-1202
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 鬼原 彰, 和賀 豊, 伊東 義智, 菊池 晃, 小笠原 徹也, 赤保内 良和, 大原 弘通, 和田 武雄
    1977 年 74 巻 9 号 p. 1203-1208
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 74 巻 9 号 p. 1209-1214
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 74 巻 9 号 p. 1215-1229
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
  • 1977 年 74 巻 9 号 p. 1230-1273
    発行日: 1977/09/05
    公開日: 2011/06/17
    ジャーナル フリー
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