日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
110 巻 , 5 号
選択された号の論文の19件中1~19を表示しています
総説
  • 香山 尚子, 竹田 潔
    2013 年 110 巻 5 号 p. 741-752
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/07
    ジャーナル フリー
    消化管に慢性の炎症が生じる潰瘍性大腸炎やクローン病といった炎症性腸疾患(IBD)は,食生活やライフスタイルの欧米化にともないわが国において急激な増加傾向を示す難治性疾患である.慢性炎症は多様な疾患に共通する基盤病態であり,腸管組織においても大腸癌リスク増大に関与する.近年,腸管組織において多様な自然免疫細胞が同定されるとともに,獲得免疫系の活性化を制御することで腸管組織の恒常性維持に寄与することが明らかとなった.今後,自然免疫系を標的としたIBDの病態解明および新規治療法の開発が期待される.
今月のテーマ:自然免疫と消化器疾患
  • 久松 理一, 日比 紀文
    2013 年 110 巻 5 号 p. 753-763
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/07
    ジャーナル フリー
    自然免疫機構の制御異常が炎症性腸疾患の病態に関与することは,疾患感受性遺伝子としてのNOD2遺伝子変異の同定以来注目されてきた.最近のGWASの進歩により続々と炎症性腸疾患の疾患感受性遺伝子が同定され,その中には自然免疫に関与するサイトカインやシグナル伝達分子に加え,オートファジー,ERストレス,インフラマソームといった細胞レベルでの恒常性維持に関与する分子が含まれている.また腸内細菌叢の研究が進み,特定の腸内細菌やその菌体成分が宿主の腸管免疫を制御していることも明らかになりつつある.これらの新たに登場した病態論を解説し,炎症性腸疾患における自然免疫機構の破綻について考察する.
  • 巽 智秀, 竹原 徹郎
    2013 年 110 巻 5 号 p. 764-771
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/07
    ジャーナル フリー
    ウイルス性肝炎において,慢性肝炎から肝硬変,肝癌へと病態が進展していく過程や,発癌機構,ウイルス性肝炎に対する治療効果に自然免疫が深く関わることが相次いで報告されている.特に自然免疫において重要な役割を担うInterferon(IFN)とnatural killer(NK)細胞に関して注目が集まっている.また,それらを標的とした新たな治療戦略の構築もなされている.本稿では,ウイルス性肝炎に対する自然免疫応答に関する最新の報告について解説し,今後の展望について概説した.
  • 阿部 和道, 高橋 敦史, 大平 弘正
    2013 年 110 巻 5 号 p. 772-779
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/07
    ジャーナル フリー
    自然免疫応答は病原体の体内への侵入に対し初期におこる生体反応である.近年,自然免疫の過剰反応が自己免疫性疾患の発症に関与することが明らかになってきた.肝臓は独自の免疫機構を有し,自己免疫性肝疾患である自己免疫性肝炎(AIH),原発性胆汁性肝硬変(PBC),原発性硬化性胆管炎(PSC)においても,自然免疫に関する知見が数多く示されている.PBCではToll様受容体を主体とする自然免疫と病態形成に関する研究が進められ,AIHやPSCにおいても腸管微生物由来の病原体関連分子パターンとパターン認識受容体を介する病態の関与が推察されている.自然免疫の理解がこれら疾患の病態を考える上で重要である.
  • 岡崎 和一, 光山 俊行, 住本 貴美, 内田 一茂
    2013 年 110 巻 5 号 p. 780-787
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/07
    ジャーナル フリー
    自己免疫性膵炎(autoimmune pancreatitis;AIP)とIgG4関連疾患(IgG4-related disease;IgG4-RD)における,自然免疫の関与について述べた.TNF-α調節遺伝子,Th1/2免疫,制御性T細胞などの異常が病態形成に関与する可能性がある.IgG4の産生にはIL-4,IL-10,IL-13などのTh2サイトカインの関与が示唆されるが,自然免疫系の関与は不明である.最近,Toll-like receptor(TLR)やNOD-like receptor(NLR)などの活性化がIgG4の産生に関与する可能性が示唆されている.
特別寄稿―日本消化器病学会専門医カリキュラムの改訂を終えて―
  • 石橋 大海, 滝川 一, 中尾 昭公, 渡辺 守, 丹羽 康正, 中村 哲也, 穂苅 量太, 福沢 嘉孝, 元雄 良治, 森實 敏夫, 菅野 ...
    2013 年 110 巻 5 号 p. 788-795
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/07
    ジャーナル フリー
    医学の進歩,医療を取り巻く環境の変化はめざましい.卒前医学教育カリキュラムは大きく変わり,卒後初期研修制度の改変も行われた.それにともない,現在専門医の在り方が問われ,専門医制度が論議されている.日本消化器病学会は,これらの時代の要請に対応すべく,専門医研修カリキュラムの改訂を企画した.現行の研修カリキュラムは知識やスキルに偏重し,かつ研修項目の羅列である.患者―医師コミュニケーションやチーム医療など,新しい医学・医療への対応が取り上げられていない.改訂案は,消化器病専門医としてあるべき姿を示し,日本内科学会の新研修カリキュラムをベースに,コンピテンスに基づいた学習理論に則り作成されている.
  • 丹羽 康正, 神代 龍吉, 杉山 敏郎, 兵頭 一之介, 那須 淳一郎, 松浦 文三, 山口 幸二, 中山 健夫, 森實 敏夫, 鹿毛 政義 ...
    2013 年 110 巻 5 号 p. 796-800
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/07
    ジャーナル フリー
    総論では,まず消化器病専門医としてあるべき姿およびプロフェッショナリズムを記載し,引き続き,心得ておくべき事項として,患者利益を基盤としたチーム医療,医療安全,利益相反,院内感染対策といった新しい医療概念について記載した.さらに,消化器全体に関わる知識として,消化器症候と対応,救急病態と対応,消化器臨床腫瘍学,先端医療などを取り上げた.特に治療法に関しては,食事療法,栄養療法,生活指導を含めた治療法の基本も強調した.コンピテンス理論を用いた「行動目標」の評価,「態度」は,患者に対しての態度のみでなく,プロフェッショナリズムをもとにした消化器病専門医としての態度を含んでいる.
  • 中村 哲也, 下山 克, 山尾 純一, 柳田 修, 小寺 泰弘
    2013 年 110 巻 5 号 p. 801-807
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/07
    ジャーナル フリー
    上部消化管の改訂にあたっては,できる限り下部との統一性を図るため,下部消化管グループと共同で作業を行った.内視鏡検査に関しては,日本消化器内視鏡学会との整合性をとるようにし,既に当学会より発行されている消化器内視鏡ハンドブックやガイドラインを参照し,両学会のカリキュラムに大きな差ができないように配慮した.機能性消化管疾患,および慢性胃炎と萎縮性胃炎の項目は独立記載とした.コンピテンスを基盤とした新しいカリキュラム理論に基づき記載し,既存のガイドライン,関連学会や研究会などのガイドラインを参照することを「態度」に明記した.新規医療技術,低侵襲治療,高齢化社会への対応についても配慮するよう記載した.
  • 穂苅 量太, 菅 智明, 鶴田 修, 藤谷 幹浩, 小林 宏寿
    2013 年 110 巻 5 号 p. 808-811
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/07
    ジャーナル フリー
    下部消化管領域における研修カリキュラム改訂において,現行のカリキュラムに対して以下の項目につき重点的に改訂を行った.すなわち,1:基本的な治療(食事療法・生活指導)を記載した.2:最新診断・治療に対応した.3:頻度の低い疾患に関して記載した.4:発展途上の技術を記載した.5:時代に対応した分類がなされていない疾患を変更した.6:消化吸収異常を原因とした全身疾患,全身疾患を原因とした消化管機能異常に対応した.7:消化器がんに関して記載した.以上7点である.2011年度日本内科学会が作成した研修カリキュラムを雛形とし,作成理念は他分野同様にコンピテンスに基づく学習理論を採用した.
  • 福沢 嘉孝, 岩崎 信二, 吉治 仁志, 長谷川 潔, 正木 勉
    2013 年 110 巻 5 号 p. 812-819
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/07
    ジャーナル フリー
    肝臓領域では,「知識」,「技能」に関して,特にコンピテンスに基づく理論に則して改訂した主な疾患は,肝炎(含,劇症肝炎),肝硬変,肝細胞癌(HCC)などである.最近の知見では,de novo肝炎,薬物性肝障害診断基準案,リケッチア感染症,代謝性肝障害などを,インターフェロン関連では,遺伝子変異を考慮した治療法,3剤併用療法など,HCC関連では,分子標的治療,転移性肝癌の肝切適応・禁忌疾患などを新規追加した.手術法は最小限の術式名に留め,最近増加の腹腔鏡手術,肝移植を考慮し,記載を強調した.「態度」に関しては,患者・家族への配慮,倫理観・誠実さなどの姿勢以外に,消化器病専門医としてのプロフェッショナリズムも考慮し記載した.
  • 元雄 良治, 廣岡 芳樹, 清水 京子, 伊佐山 浩通, 吉留 博之
    2013 年 110 巻 5 号 p. 820-824
    発行日: 2013年
    公開日: 2013/05/07
    ジャーナル フリー
    胆膵領域における研修カリキュラム改訂において,疾患概念では,自己免疫性膵炎およびIgG4関連硬化性胆管炎,臨床検査では,これらに関連した血清IgG4測定が取り上げられている.専門医研修において,膵胆道系疾患の診療ではIgG4関連疾患を念頭に置き,これらの疾患と悪性腫瘍との鑑別が求められる.画像診断では超音波内視鏡下細径針吸引生検,ポジトロン断層撮影が重要であり,前者では組織学的確定診断が得られること,後者ではコンピューター断層撮影と組み合わせて全身精査ができることを学ぶ.治療では膵胆道癌の化学療法の具体的レジメンを知り,手術適応の判断に際しては,肝胆膵外科医と連携する態度を修得する.
原著
症例報告
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