日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
112 巻, 2 号
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総説
  • 天野 祐二, 安積 貴年, 坪井 優, 本告 成淳, 石村 典久
    2015 年 112 巻 2 号 p. 219-231
    発行日: 2015/02/05
    公開日: 2015/02/05
    ジャーナル フリー
    近年,欧米において著明な増加を示す癌がBarrett食道癌である.欧米ではLSBEが主体でありSSBE主体の本邦とは背景が異なる上に,発癌には人種差や民族差が認められるものの,逆流性食道炎の著増などの背景から,本邦でも徐々に増加してきている.したがって,日常診療において正確な疫学データが必要であるが,いまだ不十分であるのが現状である.欧米の疫学データとの対比によると, 本邦での発癌リスク因子はLSBE,高齢者,男性,肥満,喫煙,逆流性食道炎,H. pylori非感染,大腸腫瘍などが推察され,これらの情報を取り入れた効率よいBarrett食道のサーベイランス法が早期に確立される必要があると考える.
今月のテーマ:本邦におけるBarrett食道癌の現況
  • 小池 智幸, 飯島 克則
    2015 年 112 巻 2 号 p. 232-241
    発行日: 2015/02/05
    公開日: 2015/02/05
    ジャーナル フリー
    食道への胃酸および胆汁酸の逆流は,Barrett食道癌発生においても重要な因子のひとつである.胆汁酸はNF-κBを介して細胞増殖活性を亢進させ,CDX2を介して腸上皮化生の発生に関与している.慢性炎症にともなう種々のサイトカインの関与も重要である.一方,H. pylori感染は胃粘膜萎縮,胃酸分泌の低下を介してBarrett食道の発生に抑制的に働いていると考えられる.また,Barrett食道癌の発生には,H. pylori感染の有無にかかわらず胃酸分泌が保たれていることが重要である.さらに,食道内腔で発生するNOがBarrett食道発生のみならず,その癌化にも関与している可能性が示唆されている.
  • 郷田 憲一, 加藤 正之, 田尻 久雄
    2015 年 112 巻 2 号 p. 242-256
    発行日: 2015/02/05
    公開日: 2015/02/05
    ジャーナル フリー
    食道腺癌の大多数はBarrett食道から発生し,欧米において食道腺癌は急増しているが,本邦では依然まれである.しかし,本邦において逆流性食道炎罹患率は上昇しており,今後,Barrett食道および食道腺癌の増加が憂慮されている.進行した食道腺癌の予後は不良であり,患者予後の改善には内視鏡による早期(表在癌)診断が必要である.近年,先進的内視鏡画像技術の開発が相ついだ.それらの表在癌診断における有用性は,主に疾患頻度の高い欧米において検討され,本邦からの報告は限られている.本稿ではBarrett食道表在癌に対する先進的内視鏡診断に関する最新の知見を述べるとともに,本邦の現状と課題について言及したい.
  • 田久保 海誉, 相田 順子, 西村 誠, 松田 陽子, 新井 冨生, 熊谷 洋一, 岩切 勝彦, 星原 芳雄
    2015 年 112 巻 2 号 p. 257-263
    発行日: 2015/02/05
    公開日: 2015/02/05
    ジャーナル フリー
    Barrett癌の病理組織診断上の問題点としては,良悪性診断の困難さ,欧米との診断用語の差と,Barrett癌と胃癌の鑑別に関する点がある.Barrett食道は常に逆流液にさらされ再生上皮と癌の鑑別が困難であると同時に,欧米における高度異形成など,用語上の問題がある.また,胃癌との鑑別に関しては,癌組織・細胞自体によって両者を鑑別する方法はない.このため,存在部位により両者を鑑別する.Barrett食道では胃とは異なり固有食道腺,扁平上皮島,組織学的柵状静脈,二重化した粘膜筋板のBarrett食道に固有な組織学的4徴が存在し,それらとの関係により両者を鑑別する.しかし,食道胃接合部にまたがる癌の発生母地の決定方法には議論がある.
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