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佐原 康太, 田畑 拓久, 荒川 丈夫, 藤原 崇, 江頭 秀人, 藤原 純子, 門馬 久美子, 比島 恒和, 小泉 浩一, 神澤 輝実
2015 年 112 巻 2 号 p.
270-277
発行日: 2015/02/05
公開日: 2015/02/05
ジャーナル
フリー
症例は85歳,男性.大腸MALTリンパ腫と診断されたが,
H. pyloriの除菌治療は無効で,無症状のため内視鏡的に経過観察していた.初診時より9年後,大腸病変の増大を認め,新たに胃と小腸にMALTリンパ腫を認めた.遺伝子解析ではAPI2/MALT1キメラ遺伝子が陽性で,胃と大腸病変は同一クローンであった.本症例はAPI2/MALT1陽性MALTリンパ腫の長期経過における多臓器浸潤例と考えられた.MALTリンパ腫では注意深い全身検索と長期にわたる経過観察が重要である.
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野﨑 泰俊, 西田 勉, 堀 由美子, 新崎 信一郎, 加藤 元彦, 藥師神 崇行, 飯島 英樹, 辻井 正彦, 森井 英一, 竹原 徹郎
2015 年 112 巻 2 号 p.
278-286
発行日: 2015/02/05
公開日: 2015/02/05
ジャーナル
フリー
症例は62歳,男性.嚥下障害を主訴に受診し,画像検査にて多発肺・骨転移をともなう胸部食道癌を認め,内視鏡下生検で低分化型扁平上皮癌と診断された.化学放射線療法を施行し原発巣は縮小したが,転移巣には治療が奏効せず,第67病日に永眠された.剖検では原発巣,全身転移巣に腺癌を認め,食道腺扁平上皮癌の腺癌成分が治療抵抗性であったと考えられた.
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飯田 智哉, 我妻 康平, 谷 元博, 佐々木 基, 永縄 由美子, 一色 裕之, 村上 佳世, 佐藤 修司, 清水 晴夫, 金戸 宏行
2015 年 112 巻 2 号 p.
287-296
発行日: 2015/02/05
公開日: 2015/02/05
ジャーナル
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5-FUによる高アンモニア血症の報告はまれである.今回われわれは,5-FUにより意識障害をともなう高アンモニア血症をきたした大腸癌多発肝転移の4例を経験した.4例全例で腎機能障害を認め,4例中3例では分岐鎖アミノ酸製剤が奏功し,重症例1例では血液透析が有効であった.腎機能低下例においては5-FUによる高アンモニア血症の発現に注意を要し,重篤な高アンモニア血症に対しては血液透析が有効であると考えられた.
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羽賀 智明, 柴原 弘明, 成田 道彦, 大久保 賢治, 西村 大作, 片田 直幸
2015 年 112 巻 2 号 p.
297-306
発行日: 2015/02/05
公開日: 2015/02/05
ジャーナル
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症例は70歳男性.Stage IV肺腺癌による癌性疼痛の治療中,腹痛をともなうショックに陥った.CTで後腹膜内,大腿周囲の筋層に空気像がみられ,消化管後腹膜穿通による敗血症性ショックと考えられた.剖検でS状結腸憩室の漿膜下穿通と診断した.本症例の病態は主に空気の漏出であり,膿瘍形成・腹膜炎所見を認めなかった.穿通では腹腔内穿孔と異なり腹痛の顕在化が乏しく,注意が必要である.
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生田 亮子, 上田 通雅, 山本 富一, 山田 貴裕, 竹中 淳雄, 小中 義禎, 足立 靖, 和田 直樹
2015 年 112 巻 2 号 p.
307-316
発行日: 2015/02/05
公開日: 2015/02/05
ジャーナル
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症例は66歳男性.右季肋部痛,黄疸を主訴に入院となった.精査で総胆管の狭窄,十二指腸乳頭部の腫大,回腸末端のびらん性病変を認めた.生検結果はいずれもMALTリンパ腫であり,回腸病変を併存する総胆管・十二指腸乳頭部MALTリンパ腫と診断した.
Helicobacter pylori除菌療法を行い一時的に病変の縮小を認めたが,その後増大傾向となったため化学療法を追加し,病変の縮小・消失を認めた.
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清島 淳, 酒井 佳夫, 北原 征明, 北村 和哉, 荒井 邦明, 加賀谷 尚史, 山下 竜也, 水腰 英四郎, 本多 政夫, 金子 周一
2015 年 112 巻 2 号 p.
317-324
発行日: 2015/02/05
公開日: 2015/02/05
ジャーナル
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症例は62歳女性.糖尿病と肥満をともなう非アルコール性脂肪肝炎(NASH)による肝硬変として経過観察中に,黄疸のため紹介となった.腹部MRIで肝に金属沈着を疑う所見を呈し,肝機能が正常範囲内で推移していたため精査を行い,血清セルロプラスミン低値,尿中銅排泄量高値,肝生検組織中銅高値より,Wilson病と診断した.高齢であってもNASHのみでは説明困難な症例では,Wilson病も鑑別に挙げる必要がある.
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山下 万平, 曽山 明彦, 高槻 光寿, 日髙 匡章, 宮明 寿光, 黒木 保, 中尾 一彦, 江口 晋
2015 年 112 巻 2 号 p.
325-331
発行日: 2015/02/05
公開日: 2015/02/05
ジャーナル
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症例は60代女性.C型肝硬変に対して生体肝移植,脾臓摘出術を施行.C型肝炎再発に対するインターフェロン療法中に発熱,下痢,嘔気が出現,ショックとなり脾摘後劇症型感染症と診断されたが,集中治療により救命した.脾摘後劇症型感染症は生命予後が不良であり,救命率の改善には予防の徹底,症状が軽度の段階から劇症化する可能性があることを念頭において,きわめて迅速に治療を開始することが必要である.
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吉田 寿一郎, 中村 英樹, 山田 真也, 世古口 悟, 鈴木 隆裕, 戸祭 直也, 佐藤 秀樹, 奥山 祐右, 木村 浩之, 吉田 憲正
2015 年 112 巻 2 号 p.
332-338
発行日: 2015/02/05
公開日: 2015/02/05
ジャーナル
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症例は66歳男性.発熱を主訴に当院を受診.ガス産生性肝膿瘍と診断し,経皮的肝膿瘍ドレナージを行った.来院15時間後に,高度溶血とアシドーシスを認めた.
Clostridium perfringensの敗血症を疑い,抗菌薬投与,人工呼吸管理や血液浄化などに加え,乾燥ガス壊疽ウマ抗毒素を投与したが,来院43時間後に永眠された.本菌による敗血症に対し抗毒素を投与した報告はなく,文献的考察を加えて報告する.
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