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胃十二指腸粘膜攻撃, 防御因子の経時的解析
池田 義毅
1985 年 82 巻 8 号 p.
1843-1852
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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Cysteamine hydrochloride (以下 Cyst. と略す) 投与による実験的十二指腸潰瘍発生機序について, 胃十二指腸粘膜攻撃, 防御因子を中心に検討した. さらに Cyst. の薬理学的特異性を検討するために
35S-Cysteamine を投与し, 液体シンチレーションカウンターおよびオートラジオグラフィーを用いて胃, 十二指腸における局所部位および分布について観察した. その結果, Cyst. には他臓器に比較して十二指腸に高濃度に取り込まれるという特異性があり, さらに取り込まれた Cyst. は, 十二指腸組織に長く留まることが認められた. また攻撃因子である胃酸, ペプシン活性の上昇に先行して粘膜血流の低下, Brunner 腺の破壊など十二指腸粘膜防御機構の破綻を惹起し, 同時に炎症性細胞浸潤, リンパ管の拡張などの変化が存在した.
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星原 芳雄, 福地 創太郎, 早川 和雄, 山田 直行, 吉田 行哉, 橋本 光代, 小川 高伴, 西坂 剛
1985 年 82 巻 8 号 p.
1853-1857
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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胃及び大腸の正常粘膜面におけるアルゴンレーザー光励起蛍光スペクトルは540及び580nm付近に陥凹があり, 560及び600nm付近が突出している. この520nmから600nmまでの凹凸はエピネフリン液の散布や測定用ファイバーによる対象粘膜の圧迫により消失あるいは減少する. 蛍光観察用スライドグラスにて作製した chamber 内にヘモグロビン溶液をいれ, 切除胃固定標本の粘膜筋板を露出させた部位に置いて記録した蛍光スペクトルは生体内の粘膜面から得られるものと酷似している. 従つて, 540及び580nm付近の蛍光強度の減弱と560及び600nm付近の相対的増強は, 組織内ヘモグロビンによつて蛍光が吸収されて生じるものと考えられる.
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エタノール潰瘍の場合
桑田 肇, 石原 和彦, 小原 進, 岡部 治弥, 堀田 恭子
1985 年 82 巻 8 号 p.
1858-1864
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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ラットエタノール潰瘍において, プロスタグランディン (PG) 製剤の胃粘液に及ぼす影響を生化学的に解析する目的で, PGE
1またはPGE
2誘導体を単独経口投与, あるいは70%エタノール経口投与の1時間前に投与し3及び5時間目の胃粘膜内粘液糖タンパク質量を定量し, 肉眼的潰瘍指数と比較検討した. その結果, PG製剤 (100μg/kg) を前投与すると肉眼的病変は著明に抑制された. 一方胃粘液糖タンパク質の減少は, エタノール単独群 (対照群の約50%) に比べ著明に抑制されたが, 対照群に対しては有意な低下 (15~20%) を認め肉眼的には明らかでない胃粘膜表層の損傷が示唆された. またPG製剤単独投与では粘膜内粘液量は対照群と比べ有意な変化を認めなかつた.
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判定方法とその問題点
山中 桓夫, 吉田 行雄, 上野 規男, 木村 健, 山口 隆子, 斎藤 建
1985 年 82 巻 8 号 p.
1865-1874
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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超音波内視鏡による胃癌深達度判定方法を示し, その診断能と問題点について切除標本の病理所見と対比して検討した.
深達度判定は, 現在の超音波解像能から粘膜癌 (m癌), 粘膜下層癌 (sm癌), 固有筋層および漿膜下層癌 (pm•ss癌), 漿膜癌 (s癌) の4段階とした.
今回呈示した判定方法による病理診断と対比した正診率は, m癌15例中13例, 87%, sm癌12例中10例, 83%, pm•ss癌19例中16例, 84%, s癌4例中4例, 100%であつた.
誤診例の検討から, 問題点として癌部と潰瘍瘢痕部識別の困難性, 胃壁層構造の変化を示さないわずかな癌細胞浸潤は捉えられないことが指摘された.
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多羅尾 和郎, 沢上 健, 豊田 浩二, 桜井 彰, 林 和弘, 池田 俊夫, 岡田 哲郎, 伊東 達郎, 鈴木 慶, 石渡 悦郎
1985 年 82 巻 8 号 p.
1875-1883
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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最近糞便中の最優勢菌である嫌気性グラム陰性桿菌の Bacteroides にも Urease 活性の存在が証明された. したがつて肝性脳症時には, 従来考えられてきた好気性グラム陰性桿菌ではなく, 嫌気性菌が主としてアンモニアを産生することが考えられ, この問題を解明するためわれわれは Vancomycin hydrochloride という好気性グラム陰性桿菌は抑えないが嫌気性桿菌を抑える非吸収性抗生物質を肝性脳症患者に繰り返し投与したところ, その都度, 症状, 血中アンモニア値, 脳波等の改善を認め, それとともに糞便中の Bacteroides を主とする嫌気性菌の激減を認めた. 一方, 好気性グラム陰性桿菌はほとんど変動しなかつた. 嫌気性グラム陰性桿菌は肝性脳症の発現に重要である.
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小俣 政男, 横須賀 収, 森 順子, 山中 理, 松山 泰久, 今関 文夫, 内海 勝夫, 広田 勝太郎, 田中 晶子, 田川 まさみ, ...
1985 年 82 巻 8 号 p.
1884-1888
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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各種肝疾患を有する323名のHBsAg陽性者からの348検体に対し, δ抗原-抗体の検索を行い, 4名 (1.2%) にδ抗体が見い出された. うち1名には, 海外渡航歴があるも, 他の3名においては明らかな感染経路が見い出されなかつた. 2名においては, 血清及び肝でのウイルス抗原, 核酸量が抑制されていた.
肝実質内での著明な肝細胞変性, 染色性の多様性, 及び巣状壊死が2名に見られた.
本邦においても特殊な既往歴を有しない. "通常" のHBs抗原キャリアーにδ感染者が存在する事を示した.
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西田 修, 森安 史典, 中村 武史, 伴 信之, 三浦 賢佑, 酒井 正彦, 内野 治人, 三宅 健夫
1985 年 82 巻 8 号 p.
1889-1893
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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肝硬変20例, 慢性肝炎20例, 正常者20例, 合計60例の上腸間膜静脈血流について検討した. 検討にあたつては, 血流を血管断面積, 血流速度の2因子に分けた. 肝硬変群では, 血管断面積は1.13±0.54cm
2と増加しており, 正常群 (0.72±0.23cm
2), 慢性肝炎群 (0.83±0.34cm
2) と比較し, 統計学的に有意であつた. 血流速度は14.1±3.7cm/secであり, 正常群 (14.8±3.9cm/sec), 慢性肝炎群 (13.4±3.1cm/sec) との間に有意差は認められなかつた. 血管断面は, 肝硬変群で円に近くなり, すなわち, 断面の長径/短径は, 1.21±0.12で, 正常群 (1.36±0.18) との間に有意差をみた. 慢性肝炎群は, 1.31±0.29であつた. この形態の変化は, 門脈圧の亢進を反映していると考えられた.
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吉田 和朗, 小沢 厚
1985 年 82 巻 8 号 p.
1894-1900
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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血中のエンドトキシン (EDX) は肝胆膵疾患の病態と予後に大きな影響を与えているが, 感度の良い客観性に優れた測定法はない. われわれは limulus test を改良し, amebocyte lysate に fluorescamine をラベルし, 粘度の変化を蛍光偏光度の変化として捉えてEDX濃度を測定する方法を開発した. この方法では, 生理食塩水と蒸留水中のEDXは1×10-7μg/mlまで測定可能であり, 低濃度ブドウ糖溶液やアミノ酸溶液中のEDXも測定可能であつた. 高濃度ブドウ糖溶液中のEDXは生理食塩水で希釈することにより測定が可能となつた. ヒト血漿に添加したEDXは, chloroform および凍結乾燥処理により測定が可能となり, ほぼ100%の回収率がみられたが, limulus test 陽性血漿では測定不可能の検体も存在した.
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桝 明彦, 高橋 渉, 鈴木 範美, 後藤 順一, 南原 利夫
1985 年 82 巻 8 号 p.
1901-1907
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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ヒト胆汁中胆汁酸グルクロニドの分画定量法の開発を試みた. 胆汁試料をコリルグリシンヒドロレースで酵素水解後, 疎水性イオン交換ゲルPHP-LH-20で各抱合型に分画, グルクロニド画分をβ-グルクロニダーゼ (E. coli 由来) で水解し酵素法により測定した. 本法は再現性, 回収率に優れ, 胆汁試料も1~10μlで十分であつた. 本法を胆石症群20例と対照群6例の胆のう胆汁に適用したところ, 胆汁酸グルクロニドの総胆汁酸に占める割合は, それぞれ1.1±0.4%, 1.8±0.6%と胆石症群で少ない傾向が認められた. さらにグルクロニド画分の胆汁酸組成は総胆汁酸分画と比較してコール酸の含有率の相対的低下, リトコール酸の相対的増加が認められた.
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上野 規男, 山中 桓夫, 笠野 哲男, 北川 泰久, 荒井 博義, 広瀬 完夫, 吉田 行雄, 木村 健
1985 年 82 巻 8 号 p.
1908-1913
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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急性肝障害患者42例の超音波胆嚢像を肝機能検査成績, および臨床経過の関連において検討した. 胆嚢の超音波像を Type 1(正常型): 壁の肥厚3mm未満, Type 2: 壁の肥厚3mm以上6mm未満, Type 3: 壁の層状形成, 6mm以上の肥厚, および Type 4: 内腔消失, Debris 形成に分類した. 結果: (1) 急性肝障害症例42例中37例 (88%) に胆嚢の異常所見を認めた. (2) 胆嚢所見と肝機能検査成績, 臨床経過は相関性を示した. ただし, 劇症肝炎例では胆嚢所見と血清トランスアミナーゼ値との間に解離を認めた. (3) 急性肝障害時の超音波胆嚢像は, 病期および予後 (重症度) 判定の一助として有用と考えられた.
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田中 龍彦, 山本 正博, 奥村 修一, 大柳 治正, 斉藤 洋一
1985 年 82 巻 8 号 p.
1914-1923
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
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イヌ Pancreatic secretory trypsin inhibitor (以下PSTI) の radioimmunoassay (RIA) 法を確立し, 血中のPSTIの測定をイヌを用いた実験的急性膵炎にておこない急性膵炎における血中PSTI測定の意義を検討した. 精製は Sephadex G-50, SP-Sephadex C-25, HPLCを用い, 二抗体法によるRIAを作成した.
正常値は, 4.34±4.00ng/mlであり, 膵炎作成直後より血中PSTIは上昇した. 血中PSTIは, 浮腫性膵炎 (trypsin 注入群) と壊死性膵炎 (Deoxy cholic acid 注入群) との間で, 上昇の程度に有意の差がみられた. 又, 死亡群と生存群でも死亡群は有意に高値であつた. これらにより血中PSTIの測定は急性膵炎の重症度, 経過の把握, 治療効果の判定などに有力な指標となりうることが示唆された.
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岡崎 和一, 山本 泰朗
1985 年 82 巻 8 号 p.
1924-1931
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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慢性膵炎の病期進展に伴う膵管内圧の変動及び secretin, glucagon 負荷による膵管内圧の変動について検討した. (1) 慢性膵炎確診群における主膵管内圧は平均54.5±29.9mmHgで健常群の16.2±8.7mmHgに比して有意の圧上昇を認めた. (2) 臨床的疑診例(40mmHg), 軽度慢性膵炎 (平均51.8mmHg) でも既に膵管内圧は高値を認め, 病初期の膵管内圧の上昇が主膵管拡張の一因になりうると考えられた. 慢性膵炎例においては膵外分泌能が低下するにつれて膵管内圧が再び低下する傾向を認め, 高度慢性膵炎 (平均37.8mmHg) 4例中2例は正常域であつた. (3) glucagon 投与は慢性膵炎の内科的減圧法として有用である可能性が示唆された.
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正常者における上腸間膜動脈, 脾動脈, 総肝動脈の測定
中村 武史, 森安 史典, 伴 信之, 西田 修, 三浦 賢佑, 酒井 正彦, 内野 治人, 槇野 久春, 三宅 健夫
1985 年 82 巻 8 号 p.
1932-1939
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
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超音波ドップラー法による血流測定を臨床応用し, 腹部動脈血流を定量的に測定する事を目的として, 犬で基礎的検討を行い, 健常人の上腸間膜動脈 (SMA), 脾動脈 (SPA), 総肝動脈 (CHA) の血流計測を行つた. 犬SMA, 頚動脈で Doppler spectrum の最大偏位周波数の時間積分より時間平均流速を求め, Mモードで得た時間平均断面積を乗じて算出した時間平均流量は, 電磁流量計と良好な一次相関(r=0.98)を示し, 両者の比は1:0.62であつた. 健常人SMA, SPA, CHAの流量は, 各々478±166, 370±181, 254±131ml/min (mean±S.D.)で, 各々の pulsatility index は平均0.85, 0.75, 0.79とSMAがSPA, CHAに比し有意に大 (p<0.001) でSMAとSPA, CHAの血管抵抗の違いが示唆された.
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亀谷 さえ子, 渡辺 務, 柴田 偉雄
1985 年 82 巻 8 号 p.
1940-1943
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
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杉田 昭, 福島 恒男, 川本 勝, 諏訪 寛, 久保 章, 山崎 安信, 土屋 周二
1985 年 82 巻 8 号 p.
1944-1947
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
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吉田 行哉, 橋本 光代, 山田 直行, 早川 和雄, 福地 創太郎, 沢田 寿仁, 池永 達雄, 安達 実樹, 武藤 徹一郎
1985 年 82 巻 8 号 p.
1948-1953
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
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笹川 豊, 小田 浩之, 神坂 和明, 前沢 秀憲, 下川 伶子
1985 年 82 巻 8 号 p.
1954-1959
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
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辻 博, 村井 宏一郎, 梶原 英二, 赤木 公博, 池田 幹久, 藤島 正敏, 鮎川 勝彦, 岩城 徹
1985 年 82 巻 8 号 p.
1960-1964
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
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志沢 喜久, 小池 叔子, 葛西 登, 鈴木 道博, 秋山 新二郎, 藤井 守, 水口 明洋, 岡部 和彦, 打越 敏之, 谷 忠伸, 尾形 ...
1985 年 82 巻 8 号 p.
1965-1970
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
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梛野 正人, 近藤 成彦, 高柳 和男
1985 年 82 巻 8 号 p.
1971-1976
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
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藤樹 敏雄, 竹内 正
1985 年 82 巻 8 号 p.
1977
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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中村 正廣, 宮田 正彦, 伊豆蔵 正明, 津森 孝生, 浜路 政靖, 長谷川 順吉, 川島 康生, 西岡 清
1985 年 82 巻 8 号 p.
1978
発行日: 1985年
公開日: 2007/12/26
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フリー