1970年6月より1971年10月末までに国立呉病院における肝機能検査の提出された患者実数7, 337名についてAu抗原及びAu抗体の検査を行なつた.
受血者458例中49例の輸血後肝炎の発症をみた. そのうち11例にAu抗体陽性, 7例にAu抗原陽性であつた.
初回輸血より肝炎発生までの潜伏期は, Au抗体陽性群では平均29.8日と短かく11例中9例はMS-1型の肝炎であり, Au抗体陰性群では平均57.9日と長く, 38例中13例はMS-1型の肝炎であり, 残りの25例はMS-2型の肝炎であつた. 輸血後肝炎にはMS-1型とMS-2型の2種類の肝炎があると考えられる.
Au抗体はMS-1型の肝炎の発症を防止し得ないがMS-2型の肝炎の発症は予防の可能性を示唆する成績を得た.
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