日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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99 巻, 1 号
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  • 炎症性腸疾患治療の最前線
    牧山 和也
    2002 年 99 巻 1 号 p. 1-14
    発行日: 2002/01/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    潰瘍性大腸炎(UC)の内科的治療における深刻な難点は難治性(ステロイド(SH)依存性・抵抗性)UCの治療である.治療の主眼は,まず,(1)難治性UCに陥らせないことである.ポイントは発症時初期治療と患者管理にあると考えられる.またSH治療の限界を認識し非SH療法への転換を積極的に試みる必要がある.一方,難治化した患者に対しては,(2)非SH療法を駆使しSH離脱を図ることである.非SH療法では白血球除去療法やazathioprine/6-mercaptopurine,Gyclosporine,ulinastatinあるいはrebamipideやecabet sodium,5-ASAなどの局所療法を病態に応じて選択し併用療法として組み込む治療を試みる.近年,SHとほぼ同等の臨床的有用性が認められるprobiotics therapyやcyclosporine微小乳剤あるいはepidermal growth factor注腸療法など新しい治療法が登場しており,非SH療法として基本療法あるいは難治性UCの併用療法への適応が期待される.
  • 炎症性腸疾患治療の最前線
    清水 誠治, 奥山 祐右, 藤本 荘太郎
    2002 年 99 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 2002/01/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    クローン病の病態が解明されるにともない,免疫ネットワークを標的とした治療法が開発されてきている.中でも抗TNF-α抗体は既に実用段階に入り,従来の治療法を塗り替えかねない勢いである,しかし本剤が万能な訳ではなく中和抗体をはじめとする問題点を抱えている.本症の原因が不明であることには変わりがなく,多彩な治療の試みが現在進行中である.免疫抑制剤,抗体医薬,遺伝子組換え技術に基づく治療法,thalidomide,抗生物質,probiotics,成長ホルモンなど,新旧様々の薬剤が入り乱れて本症の治療法が模索されている現状につき解説した.
  • 足立 聡, 大浦 元, 澤井 瑞穂, 池中 康英, 安 辰一, 上田 重彦, 森安 博人, 松本 昌美, 松村 雅彦, 福井 博
    2002 年 99 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 2002/01/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    Pull法で経皮内視鏡的胃痩造設術(PEG)を施行した29例を対象に,創部感染症,特にメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)感染とその対策について検討した、I群(Povidoneiodine口腔清拭と術後の抗菌剤投与)8例中,創部感染が4例(50.0%)にみられ,起因菌はすべてMRSAで,3例は咽頭部MRSA陽性者であった,II群(上記処置に加え,咽頭部MRSA陽性者6例にはMupirocin calcium hydrate塗布でMRSA除菌)21例中,創部感染の発生は1例(4.8%)のみであった.Pull法によるPEGでは,著者らの感染対策により創部感染は予防可能であることが示唆された.
  • 稲葉 知己, 水野 元夫, 河合 公三, 高口 浩一, 吉田 康博, 喜田 恵治, 岡田 裕之, 辻 孝夫
    2002 年 99 巻 1 号 p. 27-33
    発行日: 2002/01/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    RebamipideとEcabet sodiumの13C-尿素呼気試験(UBT)に与える影響を検討した.無投薬では,赤外分光計により測定したUBT値は,平均4.4カ月の経過で有意な変化は認めなかった.器質的疾患を有さないHelicobacterer pylori(H.pylori)陽性患者21名に,RebamipideとEcabet sodiumの無作為割付を行い,28日間投与した,UBTは,投与前,投与14日目,28日目,投与中止14日目に施行した.RebamipideはUBT値に影響をおよぼさなかったが,Ecabet sodiumは,14日目でUBT値が有意に低下した(p=0.0113).また,Ecabet sodiumを投与した11例中1例に偽陰性を生じた.この影響は薬剤投与中止2週後には消失した.さらに,H.pylori陽性ボランティアに対するクロスオーバー法による検討でも,Ecabet sodiumはRebamipideと異なり,UBT値を有意に低下させた(p=0.0058).以上より,Ecabet sodiumはUBTの正確性に影響を及ぼし,偽陰性を避けるためにUBT施行前には休薬期間を要することが明らかとなった.
  • 多保 孝典, 林 秀樹, 小野寺 久
    2002 年 99 巻 1 号 p. 34-39
    発行日: 2002/01/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    食道裂孔ヘルニアはしばしば認められる疾患だが,胃全体が縦隔内に脱出したいわゆるUpside-down stomachは本邦ではまれであるとされている.著者らは,数年の経過で傍食道型からいわゆるupside-down型に移行した食道裂孔ヘルニア症例を経験したので報告する.患者は傍食道型食道裂孔ヘルニアとして経過観察されていた76歳女性で,胸部圧迫感,心窩部痛,貧血をきたし再来院した.上部消化管造影X線検査にていわゆるupside-down型食道裂孔ヘルニアへの移行を認め,内視鏡検査にて胃潰瘍の合併を認めた.保存的治療に抗したため,Hill法に準じた手術を施行した.胃潰瘍や貧血の再発なく術後2年以上順調に経過している.
  • 今村 也寸志, 小原 一憲, 柴藤 俊彦, 馬場 芳郎, 田原 憲治, 窪薗 修
    2002 年 99 巻 1 号 p. 40-44
    発行日: 2002/01/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例1は60歳の男性.1997年に肝内側区域に発生した肝細胞癌に対して3回の肝動注・塞栓療法(TAE)を施行したが,2000年に再発を認め,TAEとラジオ波焼灼療法(RFA)を施行した.RFA終了直後のCTでは腫瘍内の造影効果は消失したが,2カ月後には局所の再発病巣の著しい増大と肺転移を認め,RFA施行82日目に死亡した,症例2は57歳の男性,肝前区域に低分化肝細胞癌を認めた.明らかな腫瘍塞栓は認められなかったが,A-Pのシャントの形成が見られ,門脈浸潤が疑われていた.RFA施行4カ月後の検査では広範に増大した局所の再発と門脈本幹に達する腫瘍塞栓の形成が見られた,この2例から,RFAでは治療が不十分で腫瘍が残存した場合や門脈浸潤がある場合には,かえって腫瘍の進展を促進させる可能性が示唆された.
  • 藤尾 智紀, 安藤 貴志, 磯崎 豊, 霜澤 真, 杉本 尚仁, 本郷 仁志, 加藤 治樹, 古木 武司, 高森 成之, 中島 晋, 山根 ...
    2002 年 99 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 2002/01/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    患者は84歳の女性.平成6年より横隔膜ヘルニアを指摘されていたが,症状はなく放置していた,平成10年1月より食後の嘔吐を認め,翌年12月より増悪し近医より紹介入院となった.胃・大網および横行結腸をヘルニア内容としたMorgagni孔ヘルニアと診断し保存的治療するも改善せず,開腹術にてヘルニア内容を整復した.胃および横行結腸を内容とするMorgagni孔ヘルニアの本邦報告は27例と少なく,文献的考察を加え報告した.
  • 初野 剛, 井上 総一郎, 金子 哲也, 木全 秀人, 八木 斎和, 竹田 伸, 中尾 昭公
    2002 年 99 巻 1 号 p. 50-56
    発行日: 2002/01/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は59歳,男性.糖尿病経過観察中に無症候性脾嚢胞が見つかった.精査にて,膵尾部仮性嚢胞および急性膵炎にともなう血流障害により生じた脾仮性嚢胞と術前診断し,膵尾部脾合併切除術,膵仮性嚢胞開窓・ドレナージ術を施行した.自験例の脾嚢胞の発生機序は,切除標本・病理組織所貝から,膵仮性嚢胞が脾門部より直接脾内に穿破した以外に,膵炎による血流障害で生じた脾梗塞も原因ではないかと推察された.
  • 大崎 往夫, 木村 達, 蜂谷 勉, 喜多 竜一, 圓尾 隆典, 辻 賢太郎, 谷口 由紀子, 米門 秀行, 波多野 広美, 澤武 建雄, ...
    2002 年 99 巻 1 号 p. 57-63
    発行日: 2002/01/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
    症例は21歳,女性.主訴は全身倦怠.心窩部に硬い腫瘤触知.CRP・ビリルビン値・肝胆道系酵素の上昇を認めたが肝炎ウイルスマーカー,腫瘍マーカーは陰性.画像上膵は著明に腫大し,膵内胆管の狭窄と上流胆管の拡張,膵管のびまん性狭細化を認め,膵管狭細型慢性膵炎と診断した.各種自己抗体は陰性であったが,ステロイドを投与し自覚症状改善,血液検査値も正常化した.画像所見での改善は軽度でステロイドの15mg/日以下への減量は困難であるが,2年10カ月経過は良好である.
  • 三浦 義明, 牛尾 晶, 及川 寛太, 肥田 憲彦, 黒田 英克, 葛西 和博, 山田 みちる, 熊谷 一郎, 熊谷 和久, 遠藤 龍人, ...
    2002 年 99 巻 1 号 p. 64-67
    発行日: 2002/01/05
    公開日: 2008/02/26
    ジャーナル フリー
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