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竹村 俊樹, 吉川 敏一, 岩本 一秀, 福田 亙, 伊谷 賢次, 粉川 隆文, 竹村 周平, 杉野 成, 福本 圭志, 近藤 元治
1987 年 84 巻 8 号 p.
1567-1572
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
食道静脈瘤を有する肝硬変患者12例を対象に, トロンビンを用いた食道静脈瘤の内視鏡的硬化療法を施行し, 術後の血圧, 凝固•線溶系および補体系の変動について検討した. 血圧は術直後に一過性に低下した. 凝固•線溶系では, 術後2時間をピークとして, 血小板減少, フィブリノーゲン減少, ATIII活性低下, FDP増加を認め, DIC類似の変化を認めたが, DICの際にみられる出血症状や臓器症状はみられず, 真のDICとはその病態を異にしていると考えられた. 補体系では, CH50•C4•C3とも有意な変動は示さなかつたが, 血圧低下と同時期に anaphylatoxin であるC3a, C5aの上昇を認め, 血圧低下との関連の可能性が示唆された.
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顎下腺摘出ラットにおける検討
今井 新平, 伊藤 誠, 勝見 康平, 横山 善文, 宮本 忠寿, 城 卓志, 池田 和雄, 松佐古 敬, 野口 良樹, 友松 武, 安江 ...
1987 年 84 巻 8 号 p.
1573-1578
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
内因性EGFの胃粘膜に対する作用を知る目的で, 顎下腺摘出後10日目のラット (SMRラット) を用い, 胃酸分泌, 胃粘膜内粘液および塩酸潰瘍に対する効果を検討した.
SMRラットでは sham 手術ラットに較べ, 統計学的有意差をもつてBAOの過分泌, 胃粘膜内粘液量の著減, 潰瘍指数の高値がみられた. 顎下腺摘出後10日間マウスEGFを与えたSMR+EGFラットでは, SMRラットに対し胃酸分泌は統計学的に有意ではなかつたが抑制され, BAOはSMRラットの約60%であつた. また, 粘膜内粘液の減少と潰瘍形成は有意に抑制された.
これらの成績から内因性EGFは胃酸分泌の抑制, 胃粘膜内粘液の維持を介して胃粘膜防禦に働くと考えられた.
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草野 元康, 関口 利和, 西岡 利夫
1987 年 84 巻 8 号 p.
1579-1590
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
健常人 (N) 8例と十二指腸潰瘍患者 (DU) 14例の血漿モチリンと胃十二指腸運動, 胃十二指腸内pHを同時に測定し比較検討した. その結果, 1) N群ではモチリンは phase IIで胃十二指腸運動と有意に相関し, 胃の interdigestive migrating complex (IMC) 直前に最高値をとり十二指腸の phase IIIではすでに低下していた. 2) DUではIMCの発現頻度が有意に低く, モチリンと胃運動とは相関していなかつた. またモチリンがピークを示してもIMCが発現しない症例が存在した. 以上より胃のIMC発現のためにはモチリンの上昇は必要条件ではあるが最終 mediator ではなく, DUの消化管運動障害はモチリン以外の消化管運動調節機序によるものと推定された.
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天野 和代
1987 年 84 巻 8 号 p.
1591-1604
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
消化性潰瘍で広範囲胃切除をうけた患者から試験食投与下に消化管カプセルを用いて上部小腸液を採取し, 細菌叢と脂肪便発生の関係を検討した. 上部小腸液の細菌数が10
8/ml以上になると脂肪便がみられるようになり, とくに嫌気性菌が10
8/ml以上になると脂肪便を呈する症例が多い. 細菌数と糞便脂肪排泄率の相関を菌群•菌属別に検討したところ, Bacteroidaceae, Eubacteria, Streptococci に強い正の相関が得られた. なかでも Bacteroidaceae は検出率•菌•相関係数が最も高かつた. これら菌群•菌属には, いずれも抱合胆汁酸に対する脱抱合能を有する菌株が存在し, 菌が異常増殖した場合は脂肪のミセル形成相が障害されて脂肪便を発することが予想された.
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藤沼 澄夫
1987 年 84 巻 8 号 p.
1605-1615
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
クローン病における脂肪の吸収•代謝障害の機序を解明する一端として, ラット肝より精製した脂肪酸結合蛋白 (FABP) 抗体を用いて免疫組織学的検討を行つた. 材料は外科的切除例の対照群28例,クローン病12例, 腸結核11例で, それらの終末回腸を検索した. 非潰瘍部粘膜では, FABP陽性細胞数およびその出現率は, 対照群, 腸結核群, クローン病IVH(-)群間で差を認めなかつたが, クローン病IVH(+)群で有意に低下していた. また, 潰瘍辺縁部では腸結核群とクローン病群間で差を認めなかつた. 以上より, クローン病IVH(-)群の吸収上皮細胞内でのFABPは, 他群と比較して低下しておらず, 脂肪酸の転送•代謝を十分に行いうると考えられた. なお, IVH(+)群のFABP低下は腸管への脂肪負荷がないためと考えられた.
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森田 雅範, 岡崎 和一, 山本 泰朗
1987 年 84 巻 8 号 p.
1616-1622
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ラット単離大腸細胞感作マウスリンパ球とマウスミエローマ細胞の細胞融合により, ラットおよびヒトの消化管分泌物と反応するモノクローナル抗体 (MP-B11)を得た. 本抗体の臓器特異性の検討では, ラットの胃, 小腸, 大腸の粘液分泌物に反応した. 種特異性の検討では, ラットの胃, 小腸の分泌物質及び大腸の goblet cell 内容物に反応したが, サル, ウシ, ブタ, トリの消化管とは反応しなかつた.ヒトでは胃, 小腸の分泌物, 及び大腸の吸収上皮, 間質の一部, 腺管内粘液の一部と反応したが, 大腸の goblet cell 内容物とは反応しなかつた. 又, イムノブロット法にて, MP-B11の対応抗原蛋白は分子量60Kダルトンであり, 抗原決定基の一部は sialo-protein であることが明かとなつた.
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1985年全国集計の成績から
武内 重五郎, 奥平 雅彦, 高田 昭, 太田 康幸, 辻井 正, 伊藤 進, 藤沢 洌, 谷川 久一, 蓮村 靖
1987 年 84 巻 8 号 p.
1623-1630
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
われわれが先に提示したアルコール性肝障害の診断基準 (日消誌 76: 2128, 1979) を, 近年の研究成果にもとづいて一部改訂し, 1978年の全国調査に引続き本症の実態調査を施行した. 調査期間は1976~1985年の10年間, 調査対象は全国の病院内科113施設の入院肝疾患全症例である. 期間中, アルコール性肝障害全体には数量的な変化はなかつたが, アルコール性肝炎の増加, とくに, 従来からまれと考えられてきた重症型アルコール性肝炎と, アルコール性肝硬変の肝癌合併率に明らかな増加がみられ,アルコール性肝障害の質的変化がきわだつていた. これは, わが国におけるアルコール性肝障害の病態が, 近年欧米型に変化しつつあることを示唆している.
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松田 芳郎, 安原 稔, 高田 昭
1987 年 84 巻 8 号 p.
1631-1638
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
肝線維化の指標と考えられている血清 prolyl hydroxylase β-subunit (IRβ-PH) および血清procollagen type III N-terminal aminopeptide (Pro-III-N-P) 濃度を急性肝炎例について測定し, 両者の診断的意義の差を検討した. 血清Pro-III-N-Pは急性肝炎の全例で異常高値を示したが, 血清IRβ-PHの上昇を認めたものは約半数にすぎなかつた. 血清Pro-III-N-Pは長期にわたつて異常高値を持続する例が多かつたが, 血清IRβ-PHはほぼ全例が早期に正常化し, その推移は血清GPT活性の変化に先行していた. 以上より, 血清IRβ-PHは急性肝炎での変化は一過性であり, 肝での線維生成刺激のマーカーとしてはより特異性が高いと考えられた.
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乾 由明, 河田 純男, 小畠 隆司, 田村 信司, 藤岡 滋典, 徳永 勝人, 南 雄三, 松沢 佑次, 垂井 清一郎
1987 年 84 巻 8 号 p.
1639-1644
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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肥満症に伴なう脂肪肝に対するα-glucosidase 阻害剤の抑制効果を分析した. すなわち自由摂食下にα-glucosidase 阻害剤 (AO-128) を飼料に混じ, Zucker (fa/fa) 肥満ラットと Lean (fa/-) ラットに10週間投与した後, 肝を生化学的ならびに形態学的に検討した. Zucker 肥満ラットで体重 (p<0.01), 肝内 triglyceride 含量 (p<0.05) および門脈血中 free fatty acid (p<0.01) が減少し, 組織学的にも肝細胞内沈着脂肪は著しく減少した. Lean ラットでは, 体重ならびに肝内 triglyceride 含量, 血清脂質に有意の変動はなかつた. Zucker 肥満ラットで肝細胞内沈着脂肪が減少した要因の一つとして門脈血より肝に流入すみ free fatty acid 量の低下が考えられた.
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インドメサシン投与の腫瘍発育に及ぼす影響について
安藤 静一郎, 野原 隆彦, 中瀬 明
1987 年 84 巻 8 号 p.
1645-1654
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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ヌードマウス移植ヒト肝細胞癌とヒト肝細胞癌培養細胞に対するインドメサシンの影響を調べた. 移植腫瘍は原腫瘍の形態およびα-fetoprotein (AFP)産生能を良く維持した. 移植当日よりインドメサシン腹腔内連日投与(4mg/kg体重)群6例中3例は, 生着増殖約2週間後より退縮を示し, 非退縮例3例で壊死巣の増大を認めた. マイクロアンギオグラム上, 腫瘍は乏血管性かっ血管は繊細で, 光顕的には類洞様血管網の内皮細胞の未熟性が窺われた. 一方, ヒト肝細胞癌培養細胞にインドメサシンを投与し, 10
-10M~10
-6M濃度下で細胞増殖促進傾向を認めた. インドメサシンは腫瘍血管新生を抑制し, 腫瘍の発育増大に影響を与える可能性が示唆された.
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川崎 俊彦, 森安 史典, 西田 修, 伴 信之, 中村 武史, 玉田 尚, 三浦 賢佑, 酒井 正彦, Takeo MIYAKE, 内野 ...
1987 年 84 巻 8 号 p.
1655-1660
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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肝硬変症133例, 肝細胞癌76例, 特発性門脈圧亢進症31例, 慢性肝炎134例, 急性肝炎18例, その他の疾患142例, 正常者146例の計680例を対象として, 延べ1109回, 超音波ドップラー法を用いて門脈血流量の測定を施行した. 対象のうち33例において, 門脈本幹, 上腸間膜静脈, 脾静脈のいずれかに遠肝性の血流を認め, この内19例は以前に短絡路手術など何らかの門脈圧減圧術を受けていた. 肝硬変症の2例に自然発生の門脈本幹血逆流を認めたが, 肝機能の回復に従い1例は順流となり1例は to-and-fro となつた. 短絡術後の症例と比較して自然発生短絡路が発達した症例では門脈本幹逆流は稀であり, 人工短絡路と自然発生短絡路の機能的差異が示唆された.
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第1報: 胆嚢癌に見出される腸上皮化生
伊関 丈治
1987 年 84 巻 8 号 p.
1661-1667
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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癌の浸潤が胆嚢壁内にとどまる胆嚢癌38症例を対象に, 癌巣, 周囲粘膜における腸上皮化生および消化管内分泌細胞の出現頻度とその程度を検索した. 癌巣に腸上皮化生が (-), (±), (+), (++) のものは各13例, 8例, 11例, 6例であつた. その周囲粘膜に腸上皮化生が (-), (±), (+), (++) のものは各13例, 8例, 14例, 3例であつた. 胆嚢癌の組織発生にしめる腸上皮化生の意義を, 単に癌巣および周囲粘膜における腸上皮化生の出現頻度のみから解析することは困難と考えられた. 癌巣, 周囲粘膜にソマトスタチン分泌細胞を認めたものは各6例, 8例であつた. 癌巣にガストリン分泌細胞を認めたものはなく, 周囲粘膜にガストリン分泌細胞を認めたものが5例存在した.
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鈴木 寿彦, 武田 和憲, 松野 正紀, 山内 英生
1987 年 84 巻 8 号 p.
1668-1674
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
ウィスター系ラットを用い, 5%Na-taurocholate 0.5mlの膵管内注入により, 急性出血壊死性膵炎モデルを作成した. 急性膵炎の治療としての血液浄化療法の意義を検討するために12mlの血液交換を行い, ラットの生存率, 主要臓器障害に対する効果を検討した. 血液交換を行つた群では, 無治療対照群にくらべ24時間以内の生存率を有意に上昇させた. また, 無治療対照群では, 肺組織内水分量の著明な増加と, PaO
2の低下を認めたが, 血液交換群では肺組織内水分量の増加をほとんど認めずPaO
2の低下も認めなかつた.
これらの成績は, 急性膵炎早期における治療としての血液浄化療法の有効性を示すものと考えられた.
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三輪 洋子, 川村 雅枝, 重本 六男, 佐藤 秀一, 中井 呈子, 茂木 茂登子, 前田 淳, 赤上 晃, 勝 健一, 山内 大三, 山下 ...
1987 年 84 巻 8 号 p.
1675-1678
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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谷岡 千衣, 春間 賢, 隅井 浩治, 徳毛 健治, 松原 秀樹, 福原 一作, 木村 学, 村上 信三, 岸本 真也, 梶山 梧朗, 勝田 ...
1987 年 84 巻 8 号 p.
1679-1683
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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松浦 文三, 赤松 興一, 北井 浩一朗, 木村 洸, 太田 康幸
1987 年 84 巻 8 号 p.
1684-1689
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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長谷川 浩, 高田 忠敬, 安田 秀喜, 内山 勝弘, 土屋 繁之, 三須 雄二, 斉藤 康子, 四方 淳一, 鈴木 浩之
1987 年 84 巻 8 号 p.
1690-1694
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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河合 盛光, 飯川 能彦, 村本 弘昭, 春木 克夫, 辰巳 靖, 大石 誠, 島崎 英樹, 上野 敏男, 竹田 亮祐, 河野 尚子, 野々 ...
1987 年 84 巻 8 号 p.
1695-1698
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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太田 慎一, 寺野 彰, 志賀 淳治, 平石 秀幸, 島田 忠人, 吉田 晴彦, 川邊 隆夫, 片本 哲郎, 杉本 恒明
1987 年 84 巻 8 号 p.
1699
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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岩間 毅夫, 金沢 理昭, 岡本 寧一, 市原 正幸, 三島 好雄
1987 年 84 巻 8 号 p.
1700
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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布施 好信, 高升 正彦, 佐藤 達之, 西田 博, 児玉 正, 瀧野 辰郎
1987 年 84 巻 8 号 p.
1701
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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阪上 吉秀, 溝口 靖紘, 宮島 慶治, 武田 弘, 申 東桓, 河田 則文, 佐久間 裕之, 中村 肇, 荒川 哲男, 関 守一, 小林 ...
1987 年 84 巻 8 号 p.
1702
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
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平野 鉄也, 真辺 忠夫, 野中 敦, 浅野 昇, 山本 健一郎, 大塩 学而, 戸部 隆吉
1987 年 84 巻 8 号 p.
1703
発行日: 1987年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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