弯隆部, 噴門部, 胃体上部を含めた胃上部の胃炎について組織学的に検討し, その拡がりを酸分泌機能を介して, 内視鏡的に観察する方法を確立し, 次の成績を得た.
1.噴門腺領域はヒトでは50%にしかみられない.噴門腺領域のあるものでも, その拡がりは狭く, 食道胃接合部まで胃底腺領域であるものが多い.
2.congo red色素を用い, 胃上部胃炎の拡がりを「不変帯」として内視鏡的に観察できる.
3.胃上部胃炎の組織像は胃底腺の萎縮, 腸上皮化生が主で, 上皮欠損, 浮腫, 炎症細胞の浸潤, 充血をみる.
4.胃上部胃炎には, 胃体下部より噴門側に拡大してきた胃炎以外に, 噴門側より始まる胃炎が存在する.
5.噴門側より始まる胃上部胃炎は加令とともに拡大し, 組織学的には胃底腺の萎縮, 腸上皮化生が高度になる.
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