日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
115 巻, 6 号
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特別寄稿
今月のテーマ(総論):胃癌化学療法 最新の話題
  • 棚橋 利行, 吉田 和弘, 山口 和也
    2018 年 115 巻 6 号 p. 500-506
    発行日: 2018/06/10
    公開日: 2018/06/10
    ジャーナル フリー

    胃癌における化学療法は,切除不能・進行再発胃癌に対するもの,手術の前後に行われるものに大別される.種々の臨床試験の結果より殺細胞性の抗癌剤や分子標的薬,免疫チェックポイント阻害剤などが使用されるようになってきた.切除不能・進行再発胃癌に対しては,胃癌治療ガイドラインには三次治療まで推奨されるレジメンが提示されている.また術後補助化学療法では新たなエビデンスができつつあり,今後は術前補助化学療法の治療開発に期待したい.

今月のテーマ(総説):胃癌化学療法 最新の話題
  • 吉川 貴己
    2018 年 115 巻 6 号 p. 507-513
    発行日: 2018/06/10
    公開日: 2018/06/10
    ジャーナル フリー

    補助化学療法の目的は,根治手術で取り切れる範囲外に散らばった微小な癌を死滅させることにある.本邦では,Stage II/IIIに対して,補助化学療法が行われる.現時点では,D2胃切除後にS-1またはCapeOXが標準治療として推奨される.Stage IIに対しては,可能な限りS-1を1年間,継続投与することが推奨される.Stage IIIに対しては,S-1/Docetaxelが標準治療として確立すると期待されている.現在,免疫チェックポイント阻害薬を含めた補助化学療法の開発,術前補助化学療法を含めた周術期補助化学療法の開発が進められている.欧州では,MAGIC試験によりECF療法が,FLOT4試験によりFLOT療法が,周術期補助化学療法として確立した.分子標的薬を上乗せするレジメンの開発も進められている.

  • 高張 大亮
    2018 年 115 巻 6 号 p. 514-520
    発行日: 2018/06/10
    公開日: 2018/06/10
    ジャーナル フリー

    切除不能・再発胃癌の主たる治療法は化学療法である.本邦における一次治療は,HER2陰性例ではS-1+シスプラチン療法やS-1+オキサリプラチン療法が,HER2陽性例ではカペシタビン+シスプラチン+トラスツズマブ療法が標準的である.また二次治療の意義が明らかになり,ラムシルマブ+パクリタキセル療法が標準的に用いられる.さらに,三次治療としてニボルマブの有用性が明らかになった.抗PD-1抗体薬と殺細胞薬のコンビネーションも各ラインで検証されており,今後のさらなる展開が期待される.臨床腫瘍医は,切除不能進行・再発胃癌に対し有効な6剤すべてを使い切る戦略を考慮して治療にあたることが望ましい.

  • 伊澤 直樹, 中島 貴子
    2018 年 115 巻 6 号 p. 521-528
    発行日: 2018/06/10
    公開日: 2018/06/10
    ジャーナル フリー

    胃癌の化学療法として,殺細胞性抗癌剤,分子標的薬,免疫チェックポイント阻害薬(ICI)が開発され,再発率の低下や生存期間の延長が示された.そのため,今まで認められなかったような有害事象への対応や高額な治療費用負担など,化学療法を行う上でさまざまな問題が生じている.特にICIは,自己免疫関連の有害事象の発生を認め,治療担当科のみだけでは対応が難しい.そのため,看護師,薬剤師,他科診療科との連携を行い,チームで有害事象の早期発見,治療に取り組む必要がある.当院では,一般的な化学療法に対応するチームとは別に,ICIにおける有害事象対策のためのチーム医療を構築し,安全に治療を継続するよう取り組んでいる.

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