日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
112 巻, 6 号
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特別寄稿
総説
  • 鎌田 智有, 春間 賢, 井上 和彦, 塩谷 昭子
    2015 年 112 巻 6 号 p. 982-993
    発行日: 2015/06/05
    公開日: 2015/06/05
    ジャーナル フリー
    胃癌などの上部消化管疾患とH. pylori感染との関連については明らかであり,H. pylori感染の有無を内視鏡所見から診断することは重要である.「胃炎の京都分類」はH. pylori感染動態と内視鏡所見との関連を包括した分類であり,未感染者の特徴的な内視鏡所見としてRAC,胃底腺ポリープなど,現感染者の所見として,びまん性発赤や萎縮,腸上皮化生,皺襞腫大,鳥肌など,既感染者の所見として,斑状・地図状発赤などが挙げられる.内視鏡専門医のみならずプライマリケアなどで内視鏡に従事する医師にも感染診断の補助となるように作成されており,臨床現場での活用が今後期待されている.
今月のテーマ:H. pylori感染胃炎の診断と治療
  • 加藤 智惠子, 杉山 敏郎
    2015 年 112 巻 6 号 p. 994-999
    発行日: 2015/06/05
    公開日: 2015/06/05
    ジャーナル フリー
    現在保険適用があるHelicobacter pyloriH. pylori)診断法は迅速ウレアーゼ法,鏡検法,培養法,尿素呼気試験,抗H. pylori抗体測定法,便中H. pylori抗原測定法である.H. pyloriの診断は感染診断と除菌判定に分けられる.感染診断はH. pyloriの存在診断であり感度が重要であるが,それぞれの検査法の診断精度には大きな差はない.これに対して,除菌治療後の除菌判定は,特異度が重視され,尿素呼気試験,単クローン抗体を用いた便中抗原法が推奨される.各々の検査法には利点,欠点があり,ひとつの方法で完全に診断可能な検査法は存在しない.その特徴を理解して検査法を選択することが肝要である.また,頻度は低いものの,除菌後の再陽性化についても留意しなければならない.
  • 下山 克, 福田 眞作
    2015 年 112 巻 6 号 p. 1000-1005
    発行日: 2015/06/05
    公開日: 2015/06/05
    ジャーナル フリー
    除菌治療の保険適用が「H. pylori感染胃炎」に拡大されてから,多くの感染者が除菌治療を受けるようになり,除菌不成功者の数が多くなってきた.除菌不成功の最大の原因は抗菌薬,とくにクラリスロマイシンへの耐性である.しかし,2015年春より除菌治療に使用できるようになったカリウムイオン競合型胃酸抑制剤の登場により,耐性菌の問題が小さなものになることが期待されている.それでも除菌が成功しない例があると考えられるが,そのような保険診療外の除菌治療が必要となる場合には,専門施設への紹介が望ましい.もちろん,治療後の除菌判定を忘れないことも肝心である.
  • 兒玉 雅明, 沖本 忠義, 村上 和成
    2015 年 112 巻 6 号 p. 1006-1015
    発行日: 2015/06/05
    公開日: 2015/06/05
    ジャーナル フリー
    H. pylori除菌による胃粘膜萎縮および腸上皮化生(IM)の改善は,3編のメタ解析にて前庭部萎縮改善,体部IM非改善は一致している.Updated Sydney systemを用いた胃内5点の比較では萎縮はいずれも改善,IMは体部小弯のみ改善が見られた.除菌による胃癌抑制を示す報告でも完全には除菌後胃癌は消失しない.除菌後胃癌の危険因子として,除菌時高齢,男性,胃潰瘍,高度萎縮,IMが挙げられ,特徴として前庭部,陥凹型,表層の‘gastritis-like appearance’などがある.除菌適応が拡大された現在,除菌後胃粘膜,除菌後胃癌の特性を踏まえたサーベイランスが必要である.
症例報告
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