ラット胃粘液分泌に対するPGE1の影響を検討すると共に,indomethacinおよび寒冷拘束潰瘍に対するPGE
1の抗潰瘍作用について検討した.
胃粘膜粘液量はalcian blue色素の結合量で測定した.PGE
1(10μg/kg)の持続静注(1時間)は剥離粘膜の粘液量を14.2%,粘膜表面粘液量を16.7%増加した.
Indomethacin経口投与および寒冷拘束によるラット胃は著明な急性粘膜障害を生じ,粘膜粘液量もそれぞれ17.8%,16.1%の減少を示した.しかし,同時にPGE
1(10μg/kg)持続静注すると粘膜障害は著明に抑制され,粘液量の減少も抑制された.
以上,酸分泌をほとんど抑制しない濃度のPGE
1により胃粘液分泌亢進がみられた.またこの作用は,胃粘膜の保護作用を強め,その結果潰瘍形成が抑制されると推論した.
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