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川西 幸貴, 森畠 康策, 加藤 順, 村田 顕也, 深津 和弘, 玉置 秀彦, 伊藤 大策, 和田 有紀, 一瀬 雅夫
2015 年 112 巻 1 号 p.
62-69
発行日: 2015/01/05
公開日: 2015/01/05
ジャーナル
フリー
症例は37歳女性.腹痛を主訴に入院,前医で特発性の慢性偽性腸閉塞症と診断されたが,当院での精査の結果,抗gAChR抗体陽性の自己免疫性自律神経節障害が原因疾患であると疑われた.コリンエステラーゼ阻害薬やステロイド,免疫調節薬の使用,単純血漿交換や二重膜濾過血漿交換,胃・腸管の減圧目的で胃瘻および腸瘻を内視鏡的に造設,大量免疫グロブリン療法とさまざまな治療を行ったが,治療抵抗性であった.
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小川 智, 福島 政司, 鄭 浩柄, 藤田 幹夫, 杉之下 与志樹, 岡田 明彦, 猪熊 哲朗, 佐竹 悠良, 三木 明, 今井 幸弘
2015 年 112 巻 1 号 p.
70-77
発行日: 2015/01/05
公開日: 2015/01/05
ジャーナル
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症例は70歳男性.検診でCA19-9の上昇を指摘され,当院へ紹介となった.MRI検査で周囲に腺管様構造をともなう小腸腫瘍を認め,異所性膵癌が疑われたため小腸切除術を施行した.病理学的検討でHeinrich I型の空腸異所性膵に発生した腺癌の診断に至り,現在化学療法を継続中である.異所性膵は胃や十二指腸での発生が多く,一部には癌化の報告もある.しかし,空腸の異所性膵癌の報告は非常にまれであり,貴重と考え,今回報告する.
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矢花 崇, 後藤 啓, 山本 元久, 伊志嶺 優, 矢島 秀教, 中垣 卓, 安達 雄哉, 近藤 吉宏
2015 年 112 巻 1 号 p.
78-85
発行日: 2015/01/05
公開日: 2015/01/05
ジャーナル
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患者は82歳,女性.下血を主訴に切除可能進行大腸癌と診断.入院時の活性化部分トロンボプラスチン時間延長と梅毒血清反応偽陽性を契機に,血栓症や妊娠合併症をともなわない無症候性抗リン脂質抗体キャリアと診断した.周術期に抗凝固療法を行い合併症なく経過した.無症候性抗リン脂質抗体キャリアはまれではないことが知られているが,その取扱いについては明確な指針がないのが現状である.文献的考察を含めて報告する.
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山﨑 明, 浦田 孝広, 池端 彰子, 南 信弘, 吉岡 律子, 北田 英貴, 横溝 博, 福田 精二, 内藤 嘉紀, 竹熊 与志
2015 年 112 巻 1 号 p.
86-93
発行日: 2015/01/05
公開日: 2015/01/05
ジャーナル
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52歳,男性.左側腹部痛を自覚し近医を受診.腹部CTにて膵体部腫瘍を指摘された.腫瘍は,EUSにて膵実質から主膵管内腔に連続する境界不明瞭な低エコーを呈し,腹部造影CTでは膵実質相から濃染する多血性腫瘍であった.ERPでは主膵管内腔の一部に透亮像が認められ,主膵管内進展が疑われた.膵体尾部切除術を施行し,病理組織学的には膵神経内分泌腫瘍(WHO分類G1)と最終診断された.
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清水 吉晃, 北原 征明, 山下 竜也, 荒井 邦明, 山下 太郎, 加賀谷 尚史, 酒井 佳夫, 水腰 英四郎, 本多 政夫, 金子 周一
2015 年 112 巻 1 号 p.
94-100
発行日: 2015/01/05
公開日: 2015/01/05
ジャーナル
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症例は45歳女性.B型慢性肝炎急性増悪の既往を有するも長期間経過観察されておらず,今回発熱,黄疸を主訴に近医を受診して肝不全と診断され,肝移植を含めた加療目的に当科転院となった.精査でBasedow病による高度の甲状腺機能亢進状態と右心不全が原因と診断し,人工肝補助療法と甲状腺全摘にて,すみやかに肝不全は改善した.慢性肝炎の急性増悪の原因の1つとして甲状腺機能亢進症を念頭におく必要がある.
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片岡 淳, 新田 敏勝, 藤井 研介, 山口 敏史, 平田 好正, 川上 研, 川﨑 浩資, 東野 健, 石橋 孝嗣
2015 年 112 巻 1 号 p.
101-107
発行日: 2015/01/05
公開日: 2015/01/05
ジャーナル
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症例は68歳女性,全身倦怠感を主訴に救急搬送された.診察中プレショックとなり,CT検査で10 cm大の脾動脈瘤を同定し,破裂が疑われた.バルーンカテーテルで脾動脈を閉塞し,循環動態の安定を図り,緊急手術を施行.18病日軽快退院となった.本邦で10 cm超の脾動脈瘤の報告は自験例が4例目で,破裂例では初となる.今回,血管内治療と手術の併用で救命し得た巨大脾動脈瘤破裂症例を経験したので,報告する.
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鈴木 悠平, 山崎 勇一, 橋爪 洋明, 大山 達也, 堀口 昇男, 佐藤 賢, 柿崎 暁, 山田 正信
2015 年 112 巻 1 号 p.
108-114
発行日: 2015/01/05
公開日: 2015/01/05
ジャーナル
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症例は70歳,女性.末梢の冷感,痺れに対してサプリメント(金時しょうが
®)の内服を開始.内服2カ月後より上腹部違和感,食欲低下,褐色尿などの症状が出現.内服中止するも改善せず,中止12日後に当院紹介受診.黄疸,肝機能障害を認め入院.精査の結果,金時しょうが
®による薬物性肝障害と診断.保存的治療により改善,第25病日退院となった.退院前に施行した肝生検では薬物性肝障害に矛盾しない組織所見であった.
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髙住 美香, 岡井 研, 浅野 智之, 菅野 有紀子, 阿部 和道, 高橋 敦史, 小林 浩子, 橋本 優子, 渡辺 浩志, 大平 弘正
2015 年 112 巻 1 号 p.
115-122
発行日: 2015/01/05
公開日: 2015/01/05
ジャーナル
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68歳女性.1998年に関節リウマチと診断されメトトレキサート(MTX)などで加療されていた.経過中に後腹膜リンパ節腫脹,肝脾腫が出現し,薬剤中止により軽快した.2012年3月に多発肝腫瘍と縦隔・大動脈周囲・後腹膜リンパ節の腫大が認められた.肝腫瘍生検の結果悪性リンパ腫と診断されたが,化学療法導入前に永眠された.MTX関連リンパ増殖性疾患の症例で肝にも腫瘤を形成したと考えられた.
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