大腸癌の外科的治療および化学療法に関するトピックスを概説した.外科的治療法としては,腹腔鏡手術が次第に普及しつつある.大腸癌症例を対象とした無作為化試験の成績がいくつか報告され,腹腔鏡手術と開腹手術の成績は,ほぼ同等のようである.今後,さらに腹腔鏡手術数が増加すると考えられる.直腸癌に対しては,術前放射線化学療法により,局所制御率が向上することが知られている.治療効果と有害事象とのバランスを考えて適応を決定することが重要と考えられる.化学療法に関しては,従来のフッ化ピリミジン系薬剤に加えて新薬が登場し,現在では静脈ポートを留置した外来での化学療法(FOLFOX,FOLFIRI)が主流となりつつある.さらにキメラ抗体を用いた治療も開始され,治療成績の向上が期待される.
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