日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
106 巻 , 12 号
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総説
  • 有井 滋樹
    2009 年 106 巻 12 号 p. 1701-1711
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/07
    ジャーナル フリー
    肝癌に対する分子生物学的研究の成果に基づいて,分子標的治療薬創出研究が精力的に行われている.その分子標的は血管新生因子VEGF,PDGFや増殖因子であるEGFファミリー,インスリンファミリーのシグナル伝達に必須のチロシンキナーゼやリガンド,受容体,さらには細胞内増殖シグナル伝達に深く関わるMAPキナーゼ系,PI3キナーゼ系である.すでに上記標的に対する多くの阻害薬が臨床試験に入っており,わが国ではマルチキナーゼ阻害剤であるソラフェニブが保険収載された.これら薬剤により診療体系が如何に変化するか大きな興味が抱かれるとともに,まだまだ課題の多い分子標的治療研究に積極的に取り組む必要がある.
今月のテーマ:肝細胞癌に対する新規の治療
  • 工藤 正俊
    2009 年 106 巻 12 号 p. 1712-1726
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/07
    ジャーナル フリー
    分子標的治療薬は近年,さまざまな腫瘍に対し臨床応用されているが,肝細胞癌においてもようやく,2009年5月にSorafenib(Nexavar®)が「治癒切除不能な肝細胞癌」としての適応を取得し,肝臓癌診療医にとって初の分子標的治療薬の使用が可能となった.現在,無作為化臨床第III相比較試験にて生存延長効果が証明され,承認されている分子標的治療薬はSorafenibしかないものの,Sorafenibを標準治療群とし他の分子標的治療薬とを比較する臨床第III相試験,VEGFRやPDGFRなどに対するmulti-kinase inhibitorやEGFR,IGFR,mTORを標的とした薬剤をはじめ,各種シグナル伝達に関わる分子をターゲットとした薬剤の臨床試験も行われている状況である.本稿では,肝細胞癌の発癌·進展に関わる主な経路と,それらをターゲットとした分子標的治療薬につき概説する.
  • 金井 文彦, 小俣 政男, 横須賀 收
    2009 年 106 巻 12 号 p. 1727-1735
    発行日: 2009年
    公開日: 2009/12/07
    ジャーナル フリー
    肝細胞癌に対して,血管新生阻害剤をはじめとする分子標的薬の開発が,世界中で進行中である.開発の先頭を行くsorafenibは,海外で行われた2つの試験で肝細胞癌の生命予後を改善することが初めて示された全身化学療法薬であり,本邦でも2009年5月肝細胞癌に対する適応を取得した.医療環境の異なるわが国での安全性·有効性が検証中である.分子標的薬の効果はいまだ限定的であり,他薬剤·肝動脈塞栓術との併用,術後補助化学療法としての有用性検討とともに,肝細胞癌の真の標的分子の同定や治療効果を予測するバイオマーカー探索などが重要課題である.分子標的薬の副作用プロファイルは,従来の細胞障害性の抗悪性腫瘍薬と全く異なり,使用にあたっては特に注意が必要である.
症例報告
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