日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
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81 巻, 10 号
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  • 周山 秀昭
    1984 年 81 巻 10 号 p. 2507-2515
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肝硬変症患者における胃排出能を99mTc-DTPAを用いて検討した. 胃排出像と胃排出曲線を核医学データ処理装置で定量的に解析し, 胃排出時間T 1/2をその代表値とした. 肝硬変症では健常者に比べ有意に胃排出遅延が認められた. また肝硬変症においては胃あるいは食道静脈瘤を合併している方に, より胃排出遅延傾向が認められた. また肝硬変症の中でも胃炎, 胃潰瘍などの胃病変を合併している群に, より胃排出傾向が認められた. 胃排出時間が80分以上の著明な排出遅延の症例では約80%に胃病変の合併が認められた. 以上より肝硬変症患者での高頻度の胃病変の一成因として胃排出遅延の関与が推察された.
  • intragastric titration 法による検討
    稲田 正男
    1984 年 81 巻 10 号 p. 2516-2525
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    健常対照7例, 胃潰瘍16例および十二指腸潰瘍19例の胃内にpH 5.5と2.5の2種類のbeef consommé soup を投与し, その胃酸分泌反応を intragastric titration 法で測定した. 同時に血清ガストリン値の変飼をRIA•キットを用して測定した. 胃内酸性化による分泌抑制の状況をみるために, pH5.5に対するpH2.5の胃酸およびガストリン分泌反応の百分比を求めた. 胃内酸性化により健常対照群と胃潰瘍群ではそれぞれ45%と48%の胃酸分泌抑制がみられたが, 十二指腸潰瘍群では僅かに35%であつた. IGRに関しても, 健常対照群と胃潰瘍群では62%と63%の抑制がみられたが, 十二指腸潰瘍群では15%に過ぎなかつた. これらの差異は統計学的に有意のものであつた (p<0.05). 以上の成績より, 十二指腸潰瘍症例には胃酸およびガストリン分泌に関する negative feedback mechanism の破綻の機序が存在することが明らかにされた.
  • 池本 吉博, 溝口 靖紘, 加藤 寛子, 筒井 ひろ子, 新井 孝之, 宮島 慶治, 関 守一, 山本 祐夫, 門奈 丈之, 森沢 成司
    1984 年 81 巻 10 号 p. 2526-2531
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    健常ヒトおよび原発性胆汁性肝硬変 (PBC) 患者から分離した末梢血単核細胞を pokeweed mitogen (PWM) で刺激すると, いずれの場合もTNP化したヒツジ赤血球に対する抗体 (抗TNP-SRBC) が産生され, 誘導された抗体産生細胞数は両者間で有意の差を認めなかつた. しかし, 単核細胞をPWMで刺激する際に, 同時にエストロゲンを添加すると, 健常ヒトの末梢血単核細胞においては, 1×10-8mg/ml~1×10-6mg/mlの範囲で抗体産生が増強され, 5×10-7mg/mlの添加でその増強効果は最大であつた. これに反して, PBC患者の場合はエストロゲン (5×10-7mg/ml) をPWMとともに加えても, エストロゲンによる抗体産生の増強は認められず, 1×10-5mg/mlという高濃度のエストロゲンの添加で抗体産生細胞数は最高値を示した.
    以上の結果は, PBCの病態の少くとも一部に, 女性ホルモンに対する応答の差で示されるような何らかの免疫学的異常が関与していることを示唆している.
  • 豊原 時秋, 望月 福治, 藤田 直孝, 李 茂基, 伊東 正一郎, 池田 卓, 大久保 俊治, 石岡 国春
    1984 年 81 巻 10 号 p. 2532-2537
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    肝癌の細胞診では, 原発性肝癌と転移性肝癌の細胞鑑別が極めて重要である. 特に, 胆管細胞癌や転移性肝癌の細胞診では, 従来の染色方法からそれらの原発巣を推定することは困難である. 著者らは, 肝腫瘍における腺癌の原発巣を推定する目的で, 胆管細胞癌と消化器系腺癌の原発巣および肝転移巣に amino acid naphthylamidase 染色 (以下, N-ase 染色と略す) による細胞診を施行し, 染色形態の差異について検討した.
    N-ase 染色による各腺癌の細胞診成績は次に示すとおりである.
    1) 胆管細胞癌と胆道系腺癌の原発巣および肝移巣は, 細胞質内が赤褐色の顆粒を有する悪性細胞として染色された. 2) 胆管細胞癌は, 細胞質内の顆粒が均等に分布して染色され, 胆道系腺癌の原発巣および肝転移巣は, 細胞質内の顆粒が密に集合し半月状に偏在して染色された. 3) その他の消化器系腺癌の原発巣および肝転移巣は, 全く染色されなかつた. 4) 以上の所見から, N-ase 染色による細胞診は, 胆管細胞癌, 胆道系腺癌の肝転移巣およびその他の消化器系腺癌の肝転移巣の細胞鑑別に有用であると考えられた.
  • 矢島 義昭, 大槻 昌夫, 鈴木 勃志, 太田 慎一, 石井 元康, 後藤 由夫
    1984 年 81 巻 10 号 p. 2538-2543
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    健常者及び各種肝疾患, 敗血症患者を対象としてエンドトキシン (Et) 血症について検討した. 血中Etの測定は合成基質法に基づく測定キットであるトキシカラーを用いた. 健常者及び患者の plasma への標準Etの添加実験では, トキシカラーでの回収率が90%前後と高く, かつ, 黄疸血においてもEtの回収率に影響がないことが明らかとなつた. 従来高率にEt血症の報告されている肝硬変では腹水を伴う非代償性肝硬変にのみEtが検出されたが, その値は従来の報告の1/100のオーダーであつた. 肝癌例は肝不全状態においてのみEt血症を呈した. グラム陰性菌敗血症では全例Et血症が証明された. DIC合併例ではEt値は高値を示す傾向がみられ, 50pg/ml以上に位置した.
  • 木谷 恒, 澤武 紀雄, 登谷 大修, 米島 正廣, 竹森 康弘, 米島 学, 宮森 弘年, 若林 時夫, 尾崎 監治, 加登 康洋, 小林 ...
    1984 年 81 巻 10 号 p. 2544-2551
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    22例の原発性胆汁性肝硬変(PBC)における膵病変について, PSテスト, ERCPの成績を中心とした臨床的な分析をし, また4例の剖検膵において病理学的検討をおこなつた. PSテストでは15例中4例, 26.7%に, ERCPでは17例中8例, 47.1%に何らかの異常を認めたものの, 軽度の異常に留まるものが多かつた. PSテストやERCPの異常出現とPBCのステージ分類や sicca complex の合併の有無との間には関連性はみられなかつた. 剖検膵4例中2例に軽度な慢性膵炎像がえられ, ともにリンパ球浸潤を伴つていた.
    以上より, PBCにおいても膵障害はかなりおこるものの, 軽度な障害が多いと思われる.
  • 小野地 章一, 枡 明彦, 高橋 渉, 鈴木 範美
    1984 年 81 巻 10 号 p. 2552-2560
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    胆石症例の胆嚢胆汁並びに胆石中の脂質を高速液体クロマトグラフィーを用いて分析し, とくにビリルビンカルシウム石例を中心に他種結石例と比較検討した. ビリルビンカルシウム石例の特徴として, 胆嚢胆汁の分析では遊離型胆汁酸の検出, 胆汁総脂質濃度の低下および lithogenic index の高値が認められた. 胆石の分析では, コレステロール, 脂肪酸, 総胆汁酸がそれぞれ, 10.8%, 6.3%, 5.3%含有されており, 総胆汁酸量の36.5%は遊離型胆汁酸であつた. また胆石中抱合型胆汁酸はビリルビンカルシウム粒子が凝集, 結石化する際に, 胆石中に取り込まれたものと推察された.
  • 古川 正人, 伊藤 新一郎, 中田 俊則, 山田 隆平, 酒井 敦, 前田 滋, 森永 敏行, 千葉 憲哉, 糸瀬 薫, 大坪 光次, 大野 ...
    1984 年 81 巻 10 号 p. 2561-2567
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    胆汁中CEA値を胆石症110例と胆道系悪性腫瘍28例で測定した. 胆汁中のCEA値は, その平均値でも, 15ng/ml以上の高値例の頻度でも, 胆石症と悪性腫瘍で有意の差は認めなかつた. 胆汁中CEA値と血中CEA値及び胆汁中 Amylase 値とに相関々係はなく, 又, 検体としての胆汁の処理法を熱処理からHCLO4抽出にかえても, 悪性腫瘍で胆汁中CEA値が高値を示すことはなかつた. 更に, 組織内CEAをPAP法を用いて, 胆石胆嚢炎の胆嚢上皮と胆嚢癌で検索したところ, 両者共に陽性に染色された. 以上より, 胆汁中で測定されるCEAは, 腫瘍より分泌されたCEAのみが測定されているとは考えられず, 胆道系悪性腫瘍の診断に胆汁中CEAの測定を用いることが有用であるとは考えられなかつた.
  • 岡田 正典, 塚本 純久, 中澤 三郎
    1984 年 81 巻 10 号 p. 2568-2576
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    急性膵炎に伴なう急性胃粘膜障害について検討する目的で, ラットの総胆管末端部を結紮して急性膵炎を発生させた. 結紮4時間後には胃粘膜障害を殆んどの例で認めなかつたが, この時期ではアスピリン潰瘍が急性膵炎群で有意に増悪していた. 胃体部粘膜血流と膵血流を水素クリアランス法で同時に測定したところ, 急性膵炎発生の早期では膵血流の低下が15~20%にとどまるのに比し, 胃粘膜血流は総胆管末端部結紮4時間後には約50%も低下していた. このことが胃粘膜障害発生の準備状態になると考えられた. 一方, シメチジン10mg/kg投与は急性膵炎における胃粘膜血流低下の防止作用を示し, 臨床上の有用性が示唆された.
  • 岡 徹, 大槻 眞, 末広 逸夫, 大木 篤, 岡林 克典, 馬場 茂明
    1984 年 81 巻 10 号 p. 2577-2581
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
    腎不全患者の血清膵分泌性トリプシンインヒビター (PSTI) 値, 血清クレアチニン値, 血清尿素窒素 (BUN) 値, および内因性クレアチニンクリアランスを比較し, 腎機能の血清PSTI値に及ぼす影響を検討した. 腎不全患者では血清PSTI値は226.0±27.3ng/mlと正常人9.4±0.5ng/ml (mean±S.E.) の24倍を示した. 特に血液透析患者では非血液透析患者より高値であつた. 血清PSTI値は血清クレアチニン値, BUN値と正相関を, また内因性クレアチニンクリアランスと負相関を示した. 腎機能の低下と逆相関して血清PSTI値は上昇した. 血清PSTI値を臨床的に評価するにあたつては腎機能を考慮する必要がある.
  • 佐藤 輝彦, 鎌野 俊紀, 近藤 慶一郎, 近藤 高志, 東 昇, 田村 順二, 矢吹 清隆, 城所 仂, 松川 正明, 梁 承茂, 小林 ...
    1984 年 81 巻 10 号 p. 2582-2587
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 大高 英雄, 勝又 伴栄, 武宮 宗康, 岡部 治弥, 刑部 恒男, 根本 〓, 五十嵐 正広, 中 英男, 外山 久太郎
    1984 年 81 巻 10 号 p. 2588-2593
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 胆泥の揺変性に対する超音波学的検討
    安藤 久実, 弥政 洋太郎, 西村 美知子, 原 春久, 江間 幸雄, 小林 武彦
    1984 年 81 巻 10 号 p. 2594-2598
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 島山 俊夫, 香月 武人, 近藤 千博, 和田 徹也, 河野 正
    1984 年 81 巻 10 号 p. 2599-2603
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 山内 英生, 武田 和憲, 砂村 真琴, 宮川 菊雄, 浅沼 義博, 松原 修二, 佐藤 寿雄
    1984 年 81 巻 10 号 p. 2604
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
  • 森山 隆則, 建部 高明
    1984 年 81 巻 10 号 p. 2605
    発行日: 1984年
    公開日: 2007/12/26
    ジャーナル フリー
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