日本消化器病学会雑誌
Online ISSN : 1349-7693
Print ISSN : 0446-6586
107 巻, 4 号
選択された号の論文の13件中1~13を表示しています
総説
  • 木下 芳一, 古田 賢司
    2010 年 107 巻 4 号 p. 531-537
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/05
    ジャーナル フリー
    2009年秋に日本消化器病学会から胃食道逆流症(GERD)診療ガイドラインが出版された.このガイドライン作成の目的は (1)臨床医にGERDの診療に関するエビデンスレベルの高い診療情報を伝えること,(2)エビデンスレベルの高い情報が欠けている領域を明らかとして,その領域での研究を加速することであった.GERDに関しては診断や治療を中心に多くの情報を今後作成する必要があること,特に日本人を対象とした診療情報が不足していることが明確となった.今後のガイドラインの改定に向けてこれらの空白部分を埋めるための臨床研究を積極的に進めていくことが必要であると考えられる.
今月のテーマ:PPI抵抗性NERDの診断と治療の新展開
  • 岩切 勝彦, 佐野 弘仁, 田中 由理子, 川見 典之, 梅澤 まり子, 飯泉 匡, 二神 生爾, 星原 芳雄, 野村 務, 宮下 正夫, ...
    2010 年 107 巻 4 号 p. 538-548
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/05
    ジャーナル フリー
    近年プロトンポンプ阻害薬(PPI)抵抗性非びらん性胃食道逆流症(NERD)の原因の1つとして,胃酸以外の液体逆流の関与が指摘されている.胃酸逆流(pH4未満)に加え,胃酸以外(pH4以上)の液体逆流や空気逆流を捉えるためには,食道pH・多チャンネルインピーダンスモニタリングによる評価が必要となる.PPI倍量投与にもかかわらず逆流症状が持続する患者に対し同検査を施行すると,約34~56%の患者の症状は液体逆流との関連が明らかとなり,その多くは胃酸以外の逆流によるものである.胃酸以外の液体逆流と症状の関連が明らかとなった場合には,逆流症状を改善・消失させるためには,逆流自体を抑制する必要があるが,現状では逆流自体を抑制する薬剤はなく,胃食道逆流症(GERD)診療ガイドラインで示されているように逆流防止術が治療の選択肢の1つとなる.
  • 時岡 聡, 梅垣 英次, 竹内 望, 竹内 利寿, 依田 有紀子, 樋口 和秀
    2010 年 107 巻 4 号 p. 549-558
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/05
    ジャーナル フリー
    逆流性食道炎の治療の第一選択は薬物治療であるが半永久的に内服し続けなければならない.また物理的な逆流には薬物療法での治療は不可能である.そこで,考え出されてきたのが内視鏡を使用したendoluminal surgeryで逆流性食道炎を治療しようとする試みであり,欧米を中心として盛んに行われつつある.方法としては,縫合法,焼灼法,局注法の三種類があり,本邦においては,縫合法,焼灼法が導入されている.手術に比較して低侵襲であること,再治療が可能であることから臨床応用され,約50~70%の患者は薬物療法から離脱できており有用性が証明されている.また,新たにわれわれは粘膜切除法を考案し現在検討している段階である.今後,商品の価格・輸入の問題や,長期予後が課題とされており,さらなる検討が必要と考えられる.
  • 柏木 秀幸, 小村 伸朗, 矢野 文章
    2010 年 107 巻 4 号 p. 559-568
    発行日: 2010年
    公開日: 2010/04/05
    ジャーナル フリー
    胃食道逆流症(GERD)に対する外科治療は,腹腔鏡下逆流防止手術(LARS)の登場により,増加してきた.噴門形成術としては,全周性のNissen法が多く用いられているが,術後の嚥下障害が少ない非全周性のToupet法が増加してきている.良好な治療成績が得られているが,LARSでは,軽症型の食道裂孔ヘルニアの再発がおこりやすい可能性がある.Collis胃形成術やメッシュの適応を含め,術式の改良が行われてきているが,個々の症例の病態から手術適応と術式の選択を判断する必要がある.非びらん性逆流症(NERD)は,病的酸逆流,酸や非酸逆流に対する食道過敏症,逆流の関与しない機能性胸焼けに分類されるが,手術適応にあたり,病態の解析が可能な多チャンネル・インピーダンスpHモニタリング検査が有用な診断法となってきている.
座談会:PPI抵抗性NERDの診断と治療の新展開
原著
症例報告
feedback
Top