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胃粘膜内PAS陽性粘液を指標として
杉山 圭一, 高橋 寛, 藤田 力也, 菅田 文夫, 中村 良子
1992 年 89 巻 3 号 p.
571-579
発行日: 1992年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Helicobacter pylori (Hp) は胃粘膜障害の一因であると考えられている. われわれは胃炎, 胃潰瘍患者の胃粘膜生検組織を用い, 胃粘膜内粘液をコンピューター画像解析により定量化し, Hpとの関連を検討した.
Hp陽性例の胃粘膜では胃粘膜内粘液量は有意に低下していた(P<0.05). Hpが胃粘膜内粘液量を低 下させる機序としてアンモニアを想定し, ラットに投与したところ, 胃粘膜内粘液量の低下が認められた.
さらに難治性胃潰瘍症例について検討したところ, 難治例ではHpの陽性率が高く, 胃粘膜内粘液の低下が認められ, Hpは胃潰瘍の難治化の一因子となりうることが示唆された.
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古賀 紳一郎, 柏木 秀幸, 青木 照明
1992 年 89 巻 3 号 p.
580-587
発行日: 1992年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Cysteamine 潰瘍は, ヒト十二指腸潰瘍との異同において興味ある実験モデルであるが, その酸分泌の異常状態について adrenalin に対する反応性を中心に, ラットを用いた実験系より検討を行つた. Adrenalin の投与量の増加にともない, 対照群では酸分泌の抑制が認められたのに対し, cysteamine 前処置高酸分泌状態下では酸分泌の増加反応が認められた. また血清 gastrin 値, 血漿 noradrenalin 値も cysteamine 投与により高値を示した. 以上より, cysteamine 潰瘍の発生過程においてヒト十二指腸潰瘍と類似した胃内外分泌動態異常が出現しているものと推測された.
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原 歩, 日比 紀文, 吉岡 政洋, 戸田 京子, 渡辺 憲明, 森田 稔, 鈴木 達夫, 芹澤 宏, 斉藤 英胤, 岩男 泰, 渡辺 哲, ...
1992 年 89 巻 3 号 p.
588-595
発行日: 1992年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
通常の培養条件で自然に分化する大腸癌細胞株であるCaco-2細胞を用いて, 細胞分化と細胞増殖能の変化をウシ胎児血清 (FCS) (+) およびFCS (-) の培養条件で検討した. FCS (+) ではドーム形成や alkaline phosphatase 活性の増加といつた分化形質が出現し, それに伴いS期細胞群の減少が起こることが示された. FCS (-) ではS期細胞群の割合に変化はなく分化形質も発現しなかつた. この細胞にFCSを加えると急速に分化形質の発現がみられた.
以上の成績よりCaco-2細胞の分化は細胞増殖能低下と密接に関係しており, それにはFCSの存在が必要であることが示唆された.
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竹内 信道, 福島 恒男, 杉田 昭, 土屋 周二
1992 年 89 巻 3 号 p.
596-600
発行日: 1992年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
Crohn 病患者34人の血清アンギオテンシン変換酵素 (angiotensin converting enzyme: ACE) 濃度を測定した. 対照群と比較してACEは有意に低下し, CDAIと負の相関関係を示していた. ステロイド治療を受けている患者群では受けていない患者群と比較してACEは低下していたが有意差はなかつた. ステロイド治療を受けていない患者群のACEは対照群に比較して有意に低下していた.
腸管におけるACEの分布から病変部位による血清ACE濃度の変化が予想されたが今回の検討では認められなかつた.
以上より血清ACE濃度は Crohn 病における消化管の炎症と強い関連があると考えられた.
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II. 免疫組織学的定量分析
及川 隆司
1992 年 89 巻 3 号 p.
601-609
発行日: 1992年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
大腸癌併存例を含む潰瘍性大腸炎切除症例6例の全割標本を作製し, ras 癌遺伝子産物p21と secretory component の免疫組織染色の定量分析を行い, dysplasia と深達度sm以上に浸潤した大腸癌, 腺腫, 正常大腸粘膜を対照として比較検討した. ras癌遺伝子産物p21を用いた染色密度係数 (ISD), 染色腺管係数 (ISG) は, severe dysplasia, moderate dysplasia では, 対照例のsm以上に浸潤した大腸癌と同様の値を示し, 腺腫より有意に高かつた (P<0.01). secretory component を用いたISGは, moderate dysplasia は腺腫と同じであり, severe dysplasia や潰瘍性大腸炎症例のsm以上に浸潤した癌より有意に高かつた (P<0.05). 前報のINGの結果と併せて, 以上の結果から, severe dysplasia は粘膜内癌であり, moderate dysplasia は悪性あるいは, いわゆる良性悪性境界領域病変であると示された.
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瓜田 純久, 松崎 浩司, 蜂矢 朗彦, 片山 雅彦, 甲斐 俊吉, 鈴木 誠, 大塚 幸雄
1992 年 89 巻 3 号 p.
610-615
発行日: 1992年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー
血管分岐形態は血液循環で消費されるエネルギーが最小になるように構成されている, という最適原理の考えを用いて, 肝硬変の肝動脈分岐形態を検討した. 対象は肝硬変16例, 対照14例. 選択的腹腔動脈造影フィルムで, 右肝動脈前枝から3次分枝が分岐する前後の血管径を計測した. 超音波検査にて同部位の門脈分岐角度を計測し, これを肝動脈分岐角度と仮定した. Zamir の方法に従い, 非対称のパラメーターを設定し, 計測した数値が理論曲線の近傍にプロットされるかどうかを検討した. 血管径のみの検討では肝硬変群と対照群はともに理論曲線に近似した. 分岐角度と血管径の両者について検討すると, 肝硬変群では理論曲線から解離する傾向があつた. 即ち, 肝硬変では血管分岐形態に変化が強いといえる. 肝硬変の肝動脈分岐形態では, 血管内部の血液は多く, 血管で消費されるエネルギーも大きいと考えられた.
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急性肝障害における検討
工藤 正俊, 池窪 勝治, 藤堂 彰男, 三村 純, 岡部 純弘, 樫田 博史, 平佐 昌弘, 伊吹 康良, 冨田 周介, 小森 英司, 織 ...
1992 年 89 巻 3 号 p.
616-626
発行日: 1992年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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アシアロ糖タンパクレセプターに特異的に認識結合される合成糖タンパク galactosyl human serum albumin の Technetium 標識製剤Tc-99m GSA (TcGSA) 3mgを急性肝障害患者16例および肝機能正常のコントロール群3例に静注投与し, レセプターイメージングを試みた. 静注直後より35分間の動態データーをシンチカメラにて収集し、オンラインにて接続したコンピュータにて動態曲線の解析を行つた. 解析は, 投与15分後における肝の放射活性の (肝+心) の放射活性の比を Receptor Index, 投与3分後の血中の放射活性に対する15分後の血中放射活性の比を Clearance Index として算出した. Receptor Index, Clearance Index ともにプロトロンビン値, ヘパプラスチンテスト, 血中ビリルビン値とよく相関した. また臨床的重症度や臨床病期ともよく一致する結果が得られた. TcGSAレセプターイメージングは残存している機能肝細胞総数を反映する新しい肝機能検査法であり, 急性肝障害の程度, 予後の推測に有用と考えられた.
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考藤 達哉, 鞆津 浩一, 安保 博文, 臼井 辰彦
1992 年 89 巻 3 号 p.
627-632
発行日: 1992年
公開日: 2007/12/26
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高齢者急性閉塞性化膿性胆管炎 (AOSC) の臨床的特徴を明らかにするためAOSC 19例を, A群70歳以上 (12例), B群70歳未満 (7例) の2群にわけ検討した. 原因疾患は両群とも総胆管結石が多く, 18例に胆道ドレナージを行つた. 発症よりドレナージ迄の日数はA群2.1日, B群2.7日と短かく, 減黄率b値も良好で, 死亡はA群で2例のみであつた. 血液検査ではA群でBUNが高く, T. Bil低値, 血小板減少, Crn高値の傾向があつた. またA群でショック83%, DIC83%, 腎不全42%とB群に比し高率に合併症を認めた. 胆道造影にて総胆管径9mm以下の非拡張例はA群45%, B群17%であつた. 高齢者は胆道閉塞から短時間で容易にAOSCに移行し, DIC, 腎不全などを高率に合併することが示唆された.
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鈴木 稔也, 的崎 尚, 松田 康平, 誉田 芳孝, 中野 修, 和田 謙, 内田 亨, 西崎 朗, 長尾 宗彦, 竹山 宜典, 斎藤 洋一 ...
1992 年 89 巻 3 号 p.
633-638
発行日: 1992年
公開日: 2007/12/26
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家族性膵炎の発症に関与する遺伝子を明らかにする目的で, 膵石発症と密接に関与するとされる膵石蛋白 (PSP) 遺伝子異常の有無を, 2家系の家族性膵炎患者において検索した. 最初にサザン法にて患者末梢血白血球DNAから, PSP遺伝子の異常を検討した. さらに Polymerase chain reaction を用い, 患者ゲノムDNAよりPSP遺伝子を増幅後, 直接その塩基配列を決定した. しかしながら, 両家系においてPSP遺伝子に明らかな欠失や, 点変異等の異常を認めなかつた. 抗PSP抗体を用いた患者膵の免疫組織染色にても, 患者膵において, 正常者と同程度のPSP様免疫活性の存在が観察された. 以上により, PSP遺伝子の異常は直接, 家族性膵炎の病因に関与していないように思われた.
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西森 博幸, 奥村 利勝, 北守 茂, 藤井 常志, 上原 聡, 谷口 由輝, 柴田 好, 並木 正義, 伊藤 紀之, 熱田 友義, 神田 ...
1992 年 89 巻 3 号 p.
639-644
発行日: 1992年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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大川 清孝, 清水 豊, 菅 保夫, 宮城 邦栄, 青木 哲也, 進藤 嘉一, 山田 英明, 針原 重義, 北野 厚生, 小林 絢三
1992 年 89 巻 3 号 p.
645-649
発行日: 1992年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
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河野 通盛, 築沢 正倫, 山田 稔, 佐藤 方則, 川崎 寛中
1992 年 89 巻 3 号 p.
650-652
発行日: 1992年
公開日: 2007/12/26
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南條 博, 浅沼 義博, 佐藤 勤, 面川 進, 小山 研二, 橋本 正治, 阿保 七三郎, 小松 真史
1992 年 89 巻 3 号 p.
653-656
発行日: 1992年
公開日: 2007/12/26
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浜本 哲郎, 藤瀬 雅史, 星野 潮, 門原 三志男, 堀江 裕, 周防 武昭, 川崎 寛中
1992 年 89 巻 3 号 p.
657-661
発行日: 1992年
公開日: 2007/12/26
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村山 洋子, 中西 孝至, 篠村 恭久, 奥野 優, 坂村 泰久, 清原 達也, 安永 祐一, 近藤 真也, 清水 曜子, 垂井 清一郎
1992 年 89 巻 3 号 p.
662-666
発行日: 1992年
公開日: 2007/12/26
ジャーナル
フリー